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記事 7件
  • 成長戦略のカギが「女性」というなら、女性首相が生まれるくらいの国になれ!

    2014-01-31 13:43  
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    安倍政権にとって、2014年がたいへん重要な年になることは間違いないだろう。そして、この重要な年のカギとなるのが、「女性の活躍」だと僕は考えている。
    安倍首相自身、成長戦略のひとつとして女性の活躍を挙げている。それを体現するのが山田真貴子さんだ。昨年11月に、女性初の首相秘書官となった。情報通信、少子化、女性政策を受け持つ。また、2015年度の中央省庁の国家公務員採用について、全体、総合職ともに女性の割合を30%以上に引き上げる方針も決めている。
    山田さんには大いに期待したいのだが、とても残念なことに日本は、一部上場企業の管理職や国会議員に占める女性の割合が、先進国のなかで、おそろしく低い。企業の課長以上や管理的公務員を「管理的職業従事者」という。そのなかで女性が占める比率を調べたデータがある。アメリカ43%、フランス38%など、欧米の多くの国で30%を超える。だが、日本はなんと11.9%だ。
    この数字をみると、日本で女性首相が誕生することは、当分ないと思える。だが、そんななかで「彼女なら」と僕が期待する女性がいる。たとえば民主党の蓮舫さんだ。
    僕と蓮舫さんの付き合いは、彼女が国会議員になる前、キャスターをしていたころからになる。蓮舫さんはキャスター時代から、はっきりした性格で、頭の回転が速く、勉強熱心だった。そんな彼女のことを、僕はいつも感心していたのだ。 

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  • 長谷川幸洋コラム第35回 細川氏の公約に現実味はあるか。大阪府市の提言に照らして検証する

    2014-01-30 20:00  
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    東京都知事選がきょう1月23日、告示される。注目の細川護煕元首相や舛添要一元厚生労働相らが22日、相次いで会見し、抱負を述べた。脱原発問題が焦点ではあるが、2人は原発依存度を下げていく点については違いがない。 細川は「現在の『原発依存型のエネルギー多消費型社会』を180度、方向転換しなければだめだ。再稼働にストップをかける」と訴える一方、舛添は「長期的に原発依存度を下げていく。ただエネルギー政策は国の問題だ」と述べた。 すると、2人の違いはどこにあるか。いま日本の原発が1基も動いていない中で、細川は再稼働反対を唱えているのだから、論理的に「即原発ゼロ」を目指している。舛添はそうではなく長期的に脱原発を考え、国に政策を委ねるという立場である。 私も中長期的に脱原発を目指すべきだと思うので、こうした議論が盛り上がるのは歓迎である。ただ前回コラムにも書いたように、細川が再稼働反対=即原発ゼロを唱えても、自分には権限がない話だから、公約にはならない。 公約とは「自分が当選したら、これを実行します」という国民に対する政治的約束である。実行できない話を唱えるのは「私の信条はこうです」と政治姿勢の表明にとどまる。ここを有権者がどう受け止めるか。 これも選挙の一形態であるとは思うが、私は候補者には選挙で当選したら実行できる政策を約束し合って戦ってもらいたいと考えるから「これでよし」とは言いがたい。はっきり言えば「それでは選挙が単なる人気投票になってしまう」と心配する。「即ゼロ」の細川氏、「2030年を想定」の大阪
    実は、原発を止める権限がない地方自治体が脱原発を目指して活発に動いた先例がある。それは橋下徹大阪市長が率いる大阪府・市だ。橋下は「大阪府市エネルギー戦略会議」を設けて、有識者らが脱原発に向けた議論を重ねた。 成果は2013年5月に「大阪府市エネルギー戦略の提言」として報告書にまとめられている。副会長として議論をリードした1人が今回、細川陣営のブレーンに加わっている元経産官僚の古賀茂明である。したがって、細川の脱原発論も古賀の主張、あるいは大阪府市エネルギー戦略の提言の影響を受けているとみていいだろう。そこで提言を読んでみると、なんと書いてあるか。まず、なぜ大阪府市がエネルギー戦略を掲げるのか、という点である。 それは第1に、大阪府市がエネルギーの大消費地である。第2に琵琶湖を水源としているから、万が一、事故が発生した場合、大阪府市が「被害地元」になる。第3に、エネルギー産業が集積しているから、新たなエネルギー社会を目指すことで関西の経済成長の原動力になる。そして第4に、大阪市が関西電力の筆頭株主だから、市民と顧客の安心安全を求めるべき立場にある。 加えて根本の議論として「新しいエネルギー社会を目指すには、地方がその特性に応じて自主的にエネルギー政策を策定することが必要」であるという。 これらの主張に異論はない。 ただ、この主張を東京都にあてはめてみると、どうなるか。2番目の大阪が被害地元であるという話は、東京には当てはまりにくい。福島原発事故で東京も放射能に汚染されたが、限定的だった。4番目については東京電力の場合、筆頭株主は国の原子力損害賠償支援機構であり、大阪とは事情が異なる。 実際、大阪市は関電の筆頭株主である立場を利用して、関電にさまざまな要求を突き付けていったが、東京都は東電に対して大阪ほど強い立場にない。 細川の主張と決定的に異なるのは、大阪の提言が「即脱原発」にはなっていない点である。提言は終章で「エネルギー戦略の工程表」を記しており、そこには「2030年に原発ゼロになると想定した」と明記されている。そのうえで2017年度までの5年間にやるべき仕事を書いている。 つまり、細川は再稼働反対=即原発ゼロを求めているが、先達である大阪は2030年の原発ゼロを求めていたのだ。大阪の試みは当時、自治体として画期的だったが、それでも熱心な議論の末にまとめられたのは現実的な結論にとどまっていた。 今回、東京都は大阪に比べても肝心の権限が乏しい、というかほとんどないのに、細川が即ゼロを唱えるのだとしたら「現実離れしている」という批判は免れないのではないか。 

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  • 長谷川幸洋コラム第34回 脱原発だけが争点?権限の及ばぬ問題で「運動論」競う都知事選への違和感

    2014-01-23 20:00  
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    東京都知事選は自民党が支援する舛添要一元厚生労働相と小泉純一郎元首相が支援する細川護煕元首相を軸に戦われる構図が決まった。焦点は小泉・細川連合が掲げた「脱原発」である。私も原発は止めたほうがいいと思っているので、原発への対応が議論になるのは歓迎したい。ただ、それが都知事選の焦点となると、正直言って戸惑ってしまう。都知事に原発を止める権限はないし、実質的に意味がある脱原発政策を都知事が展開できるとは思えないからだ。再稼働、最終処分、核燃料サイクル。都知事にできることはない
    脱原発にはとりあえず、乗り越えねばならない3つのハードルがある。まず原発再稼働をどうするか。再稼働するかどうかは、原子力規制委員会がチェックしたうえで政府が決める。このプロセスで都知事に権限はない。それから使用済み核燃料、いわゆる核のゴミ問題である。政府は最終処分場を探しているが、これといった候補は見つかっていない。そもそ

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  • 田原総一朗 今年どうする安倍首相、経済と安全保障はどうなるか?

    2014-01-20 11:08  
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    明けまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。さて、今年2014年はいったいどんな年になるだろうか。2013年の「今年の漢字」に選ばれたのは「輪」だった。2020年のオリンピック(五輪)が東京に決まったことや、そして助け合いの「輪」という意味が理由だという。僕が2013年の漢字を選ぶとしたら、ずばり「乱」である。国内外の災害、世界各地の紛争。そして緊張関係が続く中国や韓国……。2014年は、安倍晋三内閣にとって正念場となることは間違いないだろう。これまで安倍首相が進めてきた経済政策「アベノミクス」は、いってみれば「富国強兵」の「富国」の部分だ。今のところ景気は順調に回復し、上昇している。今年4月の消費税増税の影響が心配されるが、7月までには景気は持ち直すと、安倍首相は語っている。自信があるのだろう。2020年の東京オリンピックという好材料もある。次に安倍首相は、ついに「戦後レジームからの脱却」に乗り出すのではないだろうか。「戦後レジームの脱却」とは何か。すなわち、集団的自衛権を認めるということだ。昨年12月26日、就任1年目のこの日、靖国神社に参拝したのは、その決意表明といっていいだろう。もちろん、僕も争を知る世代として、断固として戦争には反対だ。ただし、国家の安全保障を考えねばならないということも、一方ではよくわかっている。国際ルールを破るような国に対して、圧倒的な軍事力を背景ににらみをきかせ、「世界の警察官」の役割を果たしてきたアメリカも、いま、変わろうとしている。昨年9月、オバマ大統領は化学兵器を使用したシリアへの軍事介入を宣言した。だが結局、ロシアの仲介で軍事行動を断念したという事件が、そのことを象徴している。 

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  • 長谷川幸洋コラム第33回 「政治化」した靖国参拝。安倍首相が考えるべきことは

    2014-01-09 20:00  
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    [PHOTO] Bloomberg via Getty Images
    安倍晋三首相の靖国神社参拝について、中国や韓国はもちろん、米国、ロシア、欧州連合(EU)などから批判や失望、遺憾の表明が相次いだ。この問題をどう考えるか。基本構図を確認しておきたい。まず、これまでの経過で明らかなのは、首相の靖国参拝問題は完全に「国際政治と外交の問題になった」という事実である。言うまでもないと思われるだろうが、国内の保守派からは「国のトップが犠牲になった英霊にお参りして、何が悪いのか」といった声がある。つまり「参拝は祈りの儀式」という主張である。たしかに、参拝という行為自体を取り出してみれば、そうだ。その限りで話が済むなら、何も問題はない。だが残念ながら、そうした主張は 靖国参拝が各国に呼び起こした国際的な反響を前に色あせてしまった。もはや、参拝問題は「祈り」という行為だけを単純に切り出して議論できない。言い換えれば、首相の靖国参拝は「政治化」してしまった。GDP8兆ドル、米国債1.3兆ドル保有。経済で「急所」握る中国
    なぜ、靖国参拝が「政治化」したのか。それは、小泉純一郎元首相が参拝したときに米国は何も言わなかったのに、安倍首相が参拝したら「失望した」と表明した事実に象徴されている。なぜ、米国の態度が変わったのか。その理由を一言で言えば、米国がもはや中国を無視できなくなったからだ。アジア太平洋における中国の存在感は、年を追うごとに増している。中国の国内総生産(GDP)は2012年に8兆ドル強になった。これに対して日本は6兆ドル弱だ。米国は16兆ドル弱なので、中国はまだ米国の半分にすぎないが、日本をすでにしのいでいる(世界銀行データ)。 加えて、中国は世界一の外貨準備高(3.6兆ドル)を背景に、米国債を1.3兆ドルも保有している。これは保有国の中で世界最大である。中国に米国債を売り浴びせられたら、米国経済はひとたまりもない。長期金利は急上昇し、米ドルは暴落してしまう。つまり、米国は中国に決定的な急所を握られている。周小川・中国人民銀行総裁は2011年3月の時点で「外貨準備高は合理的な水準を超えている」と述べた。中国が米国債を買う原資である外貨準備が増えたのは、貿易黒字を出していながら通貨、元の変動を小幅にとどめ、為替水準を人為的に低く抑えているからだ。このまま中央銀行がドルを買って(=外準の増加)、その裏側で市中の元を増やせば、国内のインフレ圧力を抑えられないので、やがてはドル買い介入を縮小して、本格的な変動相場制への移行が避けられなくなるはずだ。だから、周総裁の発言は自国の都合である。そうはいっても、米国にしてみれば「中国が膨大な米国債を保有してしまった」現実は、いまさら変えられない。米国との貿易関係も深まっている。つまり経済面では中国と手を握り、両者が利益を享受する「ウィンウィン関係」に持ち込む以外にない。 

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  • 田原総一朗 「サイバー戦争」やられ放題の日本の弱点は憲法9条にある、ってどうこうこと?

    2014-01-06 20:00  
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    国家安全保障会議の設置、それに関連した特定秘密保護法の制定……。安倍政権は、着々と安全保障体制を築いている。しかし、日本が諸外国に比べて、まだまだ安全保障の面が甘いことは間違いない。特に情報面、つまりは「サイバー戦争」に対して、日本は無防備といっていいほどなのだ。
    では、この「サイバー戦争」とは、どのようなものか。東大名誉教授の月尾嘉男さんにとことん話を聞いた。
    「サイバー戦争」では、コンピュータ・システムやインターネットを利用し、目標のコンピュータやネットワークに侵入し、データを盗んだり、改竄あるいは破壊したり、攪乱したりする。そして敵のシステムを機能不全に追い込む。恐ろしいことに、敵のシステムに侵入し、必要な情報を盗んでも、プロはまったく痕跡を残さないのだ。
    原理的には、インターネットにつながっているコンピュータなら必ず侵入できる。実際、世界ではたびたびサイバー攻撃が起きている。2007年には、バルト三国のエストニアがサイバー攻撃された。銀行のオンラインシステム、政府の電子サービスが停止して、大混乱に陥ったのだ。2009年には、アメリカや韓国も、サイバー攻撃を受けている。
    このような状況に対処するため、各国は「サイバー部隊」を配備している。そのなかで、もっとも進んでいるのは、やはりアメリカである。90年代初めには、すでに戦争情報センターという組織を作っているのだ。そして、国防大学では、サイバー戦争指揮官を養成するコースを設置している。2010年には、アメリカサイバー軍を作り、要員はなんと10万人規模といわれている。アメリカに次いでサイバー部隊が進んでいるのが中国だ。こちらは数万人規模といわれている。
    一方、日本はどうだろうか。2013年5月、「サイバー防衛隊準備室」をようやく設置したところである。完全に出遅れているのだ。なぜ、日本はこんなに遅れているのか。その原因のひとつは、なんといっても憲法9条だろう。憲法が国の交戦権を認めていないため、日本は「サイバー防御」はできても、「サイバー攻撃」ができないのだ。 

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  • 長谷川幸洋コラム第32回 韓国軍への「小銃弾提供」問題で考える武器輸出3原則

    2014-01-02 20:00  
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    南スーダンの国連平和維持活動に参加している日本の自衛隊が韓国軍に小銃弾1万発を提供した。これが武器輸出3原則や国連平和維持活動協力法(PKO協力法)に触れるのではないか、と問題になっている。政府は今回の措置について、緊急かつ人道的な理由による「武器輸出3原則の例外措置」という位置付けだ。そもそも紛争地域で平和維持と戦火は紙一重なのだから、日本が平和維持活動に積極的に参加していこうとするなら、今後もこうした予想できない事態に遭遇する可能性はある。今回のように何か事が起きてから、その都度、例外として処理していくのでは「場当たり主義」とみられても仕方がない。そうではなく、本来は原則自体を見直して、時代環境の変化と日本の役割を踏まえた新たな原則を考えていくべきではないか。民主党政権も認めていた「防衛装備品の海外移転」
    武器輸出3原則とは何か。あまり知られていないが、実は、これまでも何度か中身が見直

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