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記事 3件
  • 長谷川幸洋コラム第55回 拉致被害者の生存情報を得た!? 安倍政権が北朝鮮に関する制裁の一部を解除!

    2014-07-09 20:00  
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    北朝鮮への制裁を通して二人のキズナは生まれた 〔PHOTO〕gettyimages
    安倍晋三政権が北朝鮮に対する制裁の一部解除を決めた。北朝鮮が設置する日本人拉致被害者に関する特別調査委員会の実効性について、前向きに評価したためだ。今回の調査委は国防委員会や国家安全保衛部など金正恩第一書記に直結する組織が主導する形になっている。拉致問題はいよいよ動き出すのだろうか。いま困っているのは北朝鮮
    救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)や家族会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)、あるいは国会議員らの拉致議連(北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟)など関係者の間には「(救出の前に制裁を解除するのは)順序がおかしいのではないか」(平沼赳夫拉致議連会長)といった声もあった(たとえば「日朝合意『再調査』ーこんな問題が起きないか緊急国民集会」報告、http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_4154.html)。そういう思いがあるのは理解できる。だが、いまは日本の中で内輪もめしている場合ではない。安倍首相と菅義偉官房長官、古屋圭司拉致問題担当相の3人は拉致問題で一貫して北朝鮮に毅然とした姿勢を貫いてきた。家族会からも信頼を得ている。自民党内も「あの3人がトップだから心強い」という雰囲気だ。たとえば、2004年に成立した「特定船舶の入港禁止に関する特別措置法」がある。これは、日本独自の制裁措置として万景峰号の国内入港を禁止した法律である。当時、自民党内に強かった慎重論を説き伏せて議員立法で成立させたのは、菅や山本一太、河野太郎の衆院議員(当時)たちだった。菅は自分のブログで「自ら取りまとめ、これまで効力を発揮してきた制裁の解除を、官房長官として発表したことは、大変感慨深いものがあります」と書いている(http://ameblo.jp/suga-yoshihide/entry-11867145205.html)。そして、この立法を後押ししたのが当時、内閣官房副長官だった安倍だ。菅が安倍を信頼し、また安倍も菅を信頼するようになったのは、このときの経緯がきっかけである。北朝鮮に対する制裁こそが、現在に至る2人の盟友関係を築く出発点なのだ。その2人がいま自ら「制裁の一部を解除する」というなら、判断を信頼する以外にない。そう評価したうえで、いくつか拉致問題を考える基本ポイントを指摘しておきたい。もっとも重要なのは「いま困っているのは北朝鮮だ」という点である。ここを間違えて「日本がお願いして生存者を返してもらう交渉」と理解すると、評価と対応を誤ってしまう。それは過去の経緯からもあきらかである。ソ連に見捨てられて金丸訪朝団を受け入れ
    たとえば1990年9月、自民党の元副総裁だった金丸信が社会党の田辺誠副委員長(当時)らと北朝鮮を訪問した。金丸訪朝団は拉致問題をまったく提起しなかった。それどころか、後に東京佐川急便事件で金丸の自宅が家宅捜索されたときには「北朝鮮からのお土産ではないか」と疑われた刻印なしの金の延べ棒が発見されたりした。実態は国交正常化後の経済協力をあてにした「利権外交」だった。金丸の意図はともかく、北がなぜ訪朝団を受け入れたか。それは1989年に冷戦が終了し、北への圧力が強まったからだ。冷戦が終わると、すぐルーマニアで反乱が起きてチャウシェスク大統領夫妻が処刑された。90年に入ると、当時のゴルバチョフ・ソ連大統領が北朝鮮の宿敵である韓国との国交正常化に合意した。そんな中で北朝鮮の金日成主席は「ソ連に見捨てられ、次は我が身か」と心配し、金丸訪朝団を受け入れた。窮地からの出口を日本に求め、関係改善を図るためだった。 
  • 長谷川幸洋 コラム第3回 『北朝鮮はどこまで本気なのか!? 米・国防総省の報告書から読み解く』

    2013-05-16 12:00  
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    北朝鮮はいったい、どこまで本気なのか。今回のミサイル危機で、あらためて北朝鮮問題について不安に思った人も多いだろう。タイミングよく、米国の国防総省(ペンタゴン)が5月初め、北朝鮮の脅威について評価した報告書を公表した。これは同省が法律に基づいて議会に提出した、きわめて正式な(というのも、妙な表現だが)ものだ。

     国防総省は中国については、同じような「中国に関する軍事・安全保障の展開」というタイトルの報告書を毎年、議会に提出している。だが、北朝鮮版は今回が初めてだ。それくらい北朝鮮問題を深刻に受け止めている証拠、と受け取っていい。

     報告書本文は国防総省のサイトに掲載されている。全部で26ページと短いので、興味がある人はぜひ、本文自体を読んでいただきたい。ついでに言うと、英語もそう難しくないし、きれいな文章なので英語の勉強がてらに読むのもいいだろう。

    ※"MILITARY AND SECURITY DEVELOPMENTS INVOLVING THE DEMOCRATIC PEOPLE'S REPUBLIC OF KOREA"
    (Annual Report to Congress, Office of the Secretary of Defense)

     だからというわけではないが、中身の概略をそのまま紹介するのはやめて(わずか1ページの「Executive Summary」がちゃんと付いている)、私が面白いと思ったところ、かつ、たぶん読者が疑問に抱いていそうな部分を選んで紹介したい。
    北朝鮮の本気度はペンタゴンにも「分からない」
     まず冒頭の「北朝鮮はどこまで本気なのか」という問題だ。これまで北朝鮮は韓国の哨戒艦「天安」を撃沈したり、延坪島に砲撃したりした。今回の危機でも「撃つぞ、撃つぞ」というポーズを示したが、現在に至るまで撃っていない。ということは、やっぱり脅しだけなのか。報告書はこう書いている。
  • スクープ!「外交ベタ」にもホドがある!尖閣問題で中国を怒らせた決定的なミスとは?

    2013-02-19 20:00  
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    2月12日、北朝鮮は3回目の核実験を行った。 国際社会の猛反発をよそに地下核実験を強行したのだ。 この核実験に対して、中国政府ですらも「断固反対」「厳正な申し入れ」と従来よりも 厳しいコメントを出している。 なぜ、北朝鮮は孤立を恐れず、冒険主義に走るのだろうか。 この北朝鮮という国家は「駄々っ子」だと考えればよい、と僕は思っている。 デパートでおもちゃがほしいと床に寝転んで泣きわめく子どものようなもの。 つまり、まともに相手をしなければならない国として、自分を認めてほしいのだ。 だから核実験を行い、「ほら、こんな危ないことをしてるんだよ」と示して、 自分の存在をアピールしているわけだ。 それともうひとつは、「弱者の恫喝」だろう。 北朝鮮が相手にしてほしいと思っている相手はアメリカだ。 もちろん、その延長線上には、経済支援という下心がある。 こうした「弱者の恫喝」を、北朝鮮はずっと続けているのだ。 さて、この北朝鮮の「駄々っ子」外交に、日本政府が振り回されたことがある。 2002年の小泉訪朝のときのことだ。 当時の小泉純一郎首相は金正日主席に対して、 「拉致問題を認めるならアメリカに話をつけてあげますよ」 というお土産を持って行った。北朝鮮は拉致問題を認め、詫びるという約束だ。 いわゆる密約である。 ところが、北朝鮮が明らかにした「調査結果」は、ご存知のように、 あまりにひどいものだった。 さらに、金正日主席は拉致について謝罪はしたけれど、 「特殊機関の一部の勝手な行動だった」 と言い逃れをしたのだ。 北朝鮮の対応を見て、アメリカも約束を反故(ほご)にせざるを得なかった。 こんなひどいことをする北朝鮮という国家を、世論が許さなかったのだ。 これは当然だろう。 ところが北朝鮮は、「約束が違う」と怒った。まさに「駄々っ子」である。 そして、そのためにそれ以来、新たな拉致被害者の帰国は実現できていないのである。 もうひとつ東アジアには、付き合いが難しい国がある。日本の隣にある中国だ。 いま、この中国と日本は、尖閣諸島をめぐり、一触即発の状態にある。 ここで、この問題をめぐる秘話を紹介しよう。 日中間がここまで険悪になったのは、日本に対して中国が怒っているからである。 その理由のひとつは、野田佳彦前首相が胡錦濤主席のメンツを潰したためだ。 そして、もうひとつは、この問題を棚上げにしようという「歴史的合意」を 日本がなきものにしたためである。このことは、以前に書いた。 さらにもう一件、中国を決定的に怒らせた出来事があったのだ。 昨年8月、当時の外務副大臣が訪中した。 尖閣問題について話し合うため、野田首相の「特使」のかたちで中国に行ったのである。 このとき尖閣諸島を「国有化」したいという日本側の希望を伝えた。 これに対して、中国側の反応は断固「拒否」であった。 ところが、この中国側の反応を副大臣は野田首相に伝えることができなかった。 誰にも伝えることができないまま、密かに中国を訪れたのだ。 そしてこの再訪中のときに副大臣は、「中国側の気持ちも理解できる」というような 発言をしてしまった。このこともまた当然、首相に伝えていない。 一方、中国側としては、日本を代表する立場で来た人間が、譲歩するかのような発言をした、 と受け止めた。一安心したに違いないだろう。 ところが、そんなやりとりがあった翌月、日本が国有化を決行したのだ。 これで中国は怒ってしまった。中国が日本を「信用ならん」と思うのは当然だろう。 この副大臣には、国を背負うという意識があまりにもなさすぎた。政治家として失格だ。 この一件で、そのことが明らかになった。 だがそれ以上に、日本は本当に外交が下手だと僕はつくづく思う。 「外交の失敗」はすなわち「戦争」につながる。これは世界では常識である。 しかし僕たち日本人には、憲法9条があるため、「戦争」というものをまったく 考えないクセがついてしまっている。 「外交に失敗したら戦争になることもある」という危機意識が持てないのだ。 中国のレーダー照射事件や北朝鮮の核実験強行など、東アジアはいま、 たいへんな状況にある。 「外交の失敗」が直接「戦争」につながりかねないのだ。 もう危機を危機だと認識しない外交は許されない。 「戦争」の可能性をまったく無視した、これまでの議論から脱しなければならない。 政治もメディアも本気で生まれ変わらなければならない時にあるのだ。

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