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記事 7件
  • 長谷川幸洋コラム第42回 ロシアの拒否権発動、集団的自衛権行使容認を巡るジャーナリストF氏の勘違い

    2014-03-27 20:00  
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    国連安全保障理事会で国連憲章を手にロシアを批判するウクライナのヤチェニュク首相
    photo gettyimages
    ロシアのプーチン大統領がクリミア編入を宣言した。これに先立って、国連は安全保障理事会でクリミアの住民投票自体を無効とする決議案を採択しようとしたが、常任理事国であるロシアが拒否権を行使したために否決された。つまり、国連は無力だった。
    予測通りだった「国連の無力化」
    私は3月6日公開のコラム「ロシアのクリミア侵攻は『ヒトラーのズデーテン侵攻』の繰り返し!?国連が機能しない"規律なき世界"はどこへ向かうのか」で、1番目のポイントして「国連の無力化」を指摘したが、ここまではその通りの展開である。コラムで指摘した2番目のポイントは「中国への伝染効果」である。もしも武力の威嚇による「クリミア編入」が既成事実化してしまい、それに対して国際社会が事実上、何もできないなら、同じく「力による現状変更」をもくろむ中国が乱暴な行為に走る可能性は十分にある。日本にとってクリミア危機が「対岸の火事」でないのは、北方領土返還交渉に影響があるからだけではない。もっと根本的には、ルール無視の行動が中国に伝染する可能性があるからだ。北方領土問題はロシアが実効支配している地域を日本に返還するかどうか、という問題である。これに対して中国の脅威は日本の領土である尖閣諸島を奪われるかどうか、という問題だ。後者のほうが、はるかに深刻であるのは言うまでもない。しかも中国はロシア同様、国連安保理の常任理事国である。ということは、中国が尖閣諸島の武力奪取に動いたとしても、今回同様、国連は実質的に機能しない。中国はあらゆる非難決議に拒否権を行使できるからだ。つまり、国連は頼りにならない。今回のクリミア侵攻は、中国にとって絶好のテストケースになっただろう。日本が「ウクライナ」にならないために
    安保理が機能しないとなれば、日本はどうやって国を守るか。残された手段は国連憲章第51条に基づく「個別的または集団的自衛権の発動による自己防衛」しかない。条文は以下の通りだ。『この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。』もともと、第51条は安保理の機能マヒという事態を心配した南米の国々が要求して設けられた条項である。いま目にしている事態は、まさしくロシアの拒否権行使による安保理の機能マヒだ。ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)のような集団的自衛権に基づく地域的な集団防衛体制に加盟していない。だから国連が無力になると、もはや武力侵攻に対して自力で戦う以外になす術がない。それを見越してプーチンは動いたのである。だが、日本は違う。日米安全保障条約に基づく日米同盟がある。中国に尖閣諸島を武力侵攻されたとき、安保理が中国の拒否権行使で機能しなくても、憲章第51条と日米安保条約に基づいて米国が集団的自衛権を発動してくれれば、日米で中国に対抗できる。そんな日米同盟を強化する、さらに将来をにらんでアジア太平洋地域の集団防衛体制を考えるためにも、日本は集団的自衛権の行使を容認すべきだ、というのがコラムの3番目のポイントだった。以上は当たり前だが1番目から3番目に至るまで、すべて私が考えたロジックである。ロシアがクリミアに侵攻したのは3月1日であり、4日目の5日夜に執筆し、翌6日に公表した。その後、12日付東京新聞の「私説」という署名コラムでも同じ趣旨を書いた。政府与党が喧伝するはずがない
    先週のコラムでも書いたが、東京新聞は集団的自衛権の解釈見直しに反対する社説を書き続けてきたから、この私説コラムは読者の反響を呼んだ。一般読者だけでなく外部有識者による「新聞を読んで」という欄(16日付)でも取り上げられた。その欄でジャーナリストのF氏は私の私説コラムについて、こう書いている。『この論法は、このところ政府与党が喧伝するそのまんま。中国の出方には注意すべきだが、一足飛びに集団的自衛権とは乱暴だし、少なくとも東京新聞はそう主張してこなかった。まるで他紙の社説を読まされた気分である。』いったい政府与党のだれが、私が主張したような「論法」を喧伝していたのか。初出を執筆した5日夜、あるいは私説コラムを書いた11日までの間に、私はそんな分析や意見を読んだことも聞いたこともない。それどころか、このコラムを書いている19日午後の時点でも、ない。デタラメを言ってもらっては困る。もしも政府与党の要人が、私が指摘したような「国連の無力化」や「中国への伝染効果」あるいは日米同盟を飛び超えて「アジア太平洋地域の集団防衛体制の構築」を語っていたりしたら、大変だ。政府は実質的に無力だと分かっていても、国連による事態の沈静化を選択肢から捨て去るわけにはいかない。安保理が機能しなくても、旧ソ連によるアフガニスタン侵攻(1979年)の際にしたように国連総会で非難決議を目指すのは可能である。政府与党の要人が「ロシアの行為が中国に伝染するかもしれない」などと言えば、中国は猛反発するだろう。新たな日中の火種になるのは確実だから、そんなことを言うわけがない。アジア太平洋地域の集団防衛体制も同じだ。クリミア侵攻を受けて、要人がそんな話をすれば大ニュースである。米国との調整抜きに言うわけもない。 
  • 長谷川幸洋コラム第41回 ウクライナ危機が突きつける「集団的自衛権の行使容認」の核心

    2014-03-20 08:00  
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    クリミア自治区シンフェロボリのウクライナ軍基地を警備するロシア軍兵士 photo gettyimages
    先週に続いて、今週もウクライナ危機について書く。先週のコラム「ロシアのクリミア侵攻は『ヒトラーのズデーテン侵攻』の繰り返し!? 国連が機能しない"規律なき世界"はどこへ向かうのか」で指摘したポイントは次の通りだ。つまり(1)今回の危機で国連は機能しない(2)中国が尖閣諸島に両手を伸ばす誘惑にかられる可能性がある(3)日本は当面、集団的自衛権の下で日米同盟の強化が必要だが、将来的にはアジア太平洋地域の集団安保体制を視野に入れるべきだーーの3点である。「戦争反対」の読者からの思わぬ反響
    同じ論点は「クリミア侵攻の意味」と題して、東京新聞のコラムでも指摘した。ちなみに、この新聞コラムは「私説」という欄であり、社説ではない。本文中でも「社説の論調とは違って」とわざわざ断ったのだが、読者からは「東京新聞の社説とは真逆で許されない」といった意見をいくつもいただいた。そこでこの欄を借りて、ひと言言っておきたい。社説というのは論説委員が互いの意見を戦わせた結果、でき上がっている。当たり前だが、論説委員の意見が最初からすべて同じであるわけがない。議論の末、社説の論調がまとまったとしても、それに異論をもつ、たとえば私のようなジャーナリストが別の意見や主張を発表しても何の問題もない。だから、私は自分の意見をこのコラムでもテレビでもラジオでも雑誌でも明らかにしているし、東京新聞だって「社説」ではなくて「私説」なのだから、それは当然だ。もしも社説の論調に反対する記者が自由に意見を発表できないとしたら、それは全体主義である。どうも戦争反対とか左翼がかった人たちの中には「言論の自由」を根本から勘違いしている人たちが多いのではないか。そういう勘違いが、かえって全体主義を招いてきた事情をまったく理解していないようだ。ほかにも、私の意見にツイッターで「一方的な見方だ」とか「無知」とか言う人もいる。何を言おうと勝手だが、中身の議論をせずに「レッテル張り」だけで批判したつもりになっているのは、言論と思考の貧しさの証明である。私はこのたぐいを相手にしない。最初からいきなり脱線した。つまらない話はやめて、本題に戻る。「地域分裂世界」が到来する
    国連が機能せず「規律なき世界」に突入する、という先週のコラムを書いてから一冊の本を思い出した。国際的な政治コンサルタントとして著名なイアン・ブレマーが著した『Gゼロ後の世界』(日本経済新聞社、2012年)だ。この本で、ブレマーは今後の世界を4つのシナリオで説明してみせた。まず米中による「G2」、それから実際に機能する「G20」。この2つは米中協力が前提になっている。逆に米中が対立した中で新たな冷戦に入る「冷戦2.0」という状態、最後がグローバルなリーダーシップが存在しない「地域分裂世界」である。この4つの中で、ブレマー自身は地域分裂世界シナリオが「もっとも実現の見込みが高い」と指摘している。つまり米国も中国も圧倒的な力で世界をリードするプレーヤーたりえず、せいぜい地域のリーダーとして自分の勢力圏内で、ある程度の求心力を発揮するにとどまる、という世界である。今回のウクライナ危機で、ロシアは国際法を真正面から無視してもクリミアを実効支配しようとした。それに対して国連が機能せず、米欧も有効な打開策を示せないでいるのを見ると、まさに世界はブレマーが指摘したような「地域分裂」に陥ってきたのではないか、と実感する。ちなみに、本の原題は「Every Nation for Itself ~ Winners and Losers in a G-Zero World」である。つまり「どの国もそれぞれ自国のために行動する」という趣旨だ。それは当たり前なのだが、圧倒的なリーダー不在の下で、各国がそういう行動をする結果、地域分裂世界に陥るというのである。では、分裂した地域世界は秩序なき混沌に陥るのだろうか。あるいは世界全体の秩序が失われるのだとすれば、日本は今後、どうふるまっていけばいいのだろうか。これが先週から引き続く、今週のテーマだ。 
  • 田原総一朗 ロシア・ウクライナ問題、どう立ちまわるかで安倍政権の「外交力」がわかる

    2014-03-19 15:50  
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    ウクライナ南部クリミア自治共和国にロシアが軍事介入しようとしている。実効支配へと動いているのだ。このロシアの動きに対して、アメリカやEU諸国が抗議している。ロシアの主張は、「あくまでもロシア系市民を守るため」ということだが、そんなわけはないだろう。欧米諸国にすれば、「ポーランドと同じではないか」となる。1939年、第二次世界大戦の初期、当時のソビエト連邦は、ドイツ軍に続いて軍隊をポーランド領内に侵攻させた。その際の大義名分は、ポーランドにおけるウクライナ系とベラルーシ系の住民の保護だったのだ。このクリミアでのロシアの動きに対して、欧米先進国は激しく反発している。まず6月にロシアのソチで開催が予定されているG8サミットの準備中止を決定したのだ。さらにアメリカからは、「ロシアをG8から追放する」など、制裁すべしという意見も出ている。冷戦終結後以来、国際社会が直面する最大の危機といってもいいかもしれない。そもそもの発端は、2月下旬、ウクライナの首都キエフや西部で大規模な反政権デモが起きたことだ。そして親ロシア派の政権が崩壊し、ヤヌコビッチ大統領は国外脱出した。一方、政治犯として収監されていたティモシェンコ元首相が復活し、親EUの新政権が動き出すかと思われた。だが、ロシアが黙っていなかったというわけだ。クリミア自治共和国は、人口約200万人のうち6割がロシア系だという。親ロシアの土地柄なのだ。そして地図を見れば、国が位置するクリミア半島は、黒海に突き出すような形になっている。そして、ケルチ海峡を挟んで目と鼻の先にロシアがあるのだ。つまり、ロシア側から見ると、クリミア半島はヨーロッパ側への玄関ということになる。なるほど、ロシアが実効支配したいと思うわけだと、考えざるをえない。 

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  • 田原総一朗 原発再稼働を目指す政府は、ゴマかさずにその理由を説明せよ!

    2014-03-19 15:49  
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    先日、エネルギー基本計画の政府案が発表された。この政府案は、本当なら昨年内に発表されるはずだったが、先延ばしにされていた。昨年12月、猪瀬直樹さんが「徳洲会」グループからの資金提供問題を受けて東京都知事を辞職、急遽、都知事選が行なわれることになったためだ。つまり、原発反対派を刺激することを避けて、発表を遅らせ、ようやく先日の発表となったのである。この政府案では、原子力発電は、「重要なベースロード電源」と位置づけられている。実は、当初の素案では、「基盤となる重要なベース電源」という表現だった。ところが、先日の政府案では、「基盤となる」が削られ、「ベースロード電源」なる言葉が使われている。なぜ表現が変わったのか。実は、公明党の要請に応えたためだ。「ベースロード電源」とは、「時間帯に関係なく低コストで安定的に出力できる電源」を意味する専門用語だという。だが、この言葉を知っている国民がどれくらいいるだろうか。表現を和らげたつもりかもしれないが、ただのゴマかしだろう。だいたい、政治家や官僚はゴマかしたいときに、難しい言葉を使いたがるのだ。 

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  • 長谷川幸洋コラム第40回「国連が機能しない"規律なき世界"はどこへ向かうのか」

    2014-03-13 19:26  
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    3月4日、ベルベク空軍基地を占拠するロシア軍に対して歌を歌いながら行進し、基地の返還を求めるウクライナ軍兵士〔PHOTO〕gettyimagesウクライナ情勢が緊迫している。英国のヘイグ外相は「欧州における21世紀最大の危機」と言ったが、これでもまだ控えめな表現かもしれない。すでに、世界では「新たな冷戦の始まり」という評価が飛び交っている。私も以下の理由から、それに同意する。国連という枠組みの限界をさらけ出した初めての事態
    まず、これは単なる一過性の危機ではない。世界秩序を支える根幹のレジーム(枠組み)が揺らいでいる。 ウクライナに対するロシアの軍事侵攻は、実際の戦火を交えていないとはいえ、1945年以降、国連を中心に形成してきた世界秩序へのあからさまな挑戦である。しかも、主役が国連安全保障理事会の常任理事国である点が決定的に重要だ。米国や北大西洋条約機構(NATO)はすでに対応策から軍事的選択肢を除いているが、それは単に「大国のロシアと一戦を交えたくないから」とか「戦っても勝てないから」といった理由からではない。国連安保理で武力制裁のお墨付きを得られる見通しが立たないのだ。なぜかといえば、当のロシアが常任理事国なので、拒否権を発動するに決まっているからだ。ロシアが拒否権を発動したのに、米国や西欧諸国が安保理決議なしに無理矢理、武力介入に動けば、今度は米国や西欧諸国が国連憲章違反になってしまう。ロシアの行為が国際法違反なのは明白なのだが、それを正そうと欧米が安保理決議なしに武力対応すると、正そうとした行為自体が違反になる。いわば「法的強制力のトラップ(わな)」にはまったと言ってもいい。したがって、ウクライナがいくら国連でロシアの非を責め立てたところで、欧米は支持するだろうが、国連全体としては、基本的にどうすることもできない。つまり国連は事実上、機能しない。今回の事態はそんな国連という枠組みの限界、あるいは無力化をさらけ出してしまった。そこがたとえば、クウェートに侵攻したイラクの場合とまったく意味合いが異なる点だ。イラクの場合は、国連は曲がりなりにも機能して安保理決議に基づく多国籍軍を形成した。だから国際社会は正当性を持った強制力を行使できた。ところが今回はそれができないのだ。こうした事態がこれほど鮮明に表面化したのは初めてのことではないだろうか。3月3日、国連安保理でウクライナ侵攻の正当性を主張するロシア代表 〔PHOTO〕gettyimages
    クリミア占領は長期化し世界は「新たな冷戦」状態に入る
    次に、危機という点でみれば、これまでも戦後世界は1950年の朝鮮戦争、62年のキューバ危機、60年代のベトナム戦争と大きな危機を経験してきた。しかし、互いに衰えたとはいえ、米国+西欧vsロシアという旧東西ブロックの主役同士が正面からガチンコで対決する構図になったのは、今回が初めてである。キューバ危機では、ソ連が土壇場でミサイルを積んだ船団をUターンさせて、危機を乗り越えた。だが、今回は危機からの出口を当分、見い出せそうにない。 なぜかといえば、欧米は軍事的選択肢がとれないから、対応策は経済制裁くらいしか残されていないからだ。それではロシアをクリミア半島から撤退させるには、まったく力不足である。ロシアにとってクリミア半島は軍事的要所であるだけでなく、そこに点在する軍事と宇宙関連技術拠点は絶対に手放したくない。結局、ロシアのクリミア占領は既成事実となって長期化するだろう。そうなると、後に残るのは何か。危機からの出口を見い出すどころか、危機が定常状態になる。つまり、にらみ合いがいつまでも続く。だからこそ「新たな冷戦」状態に入る。戦火は交えなくても、戦っているのだ。新たな冷戦が始まった世界は、これまでとは原理的に違った世界になる可能性が高い。戦後世界は国連憲章で「武力の威嚇または行使によって国家の主権と領土を脅かす」のを禁じたところを原点として出発した。ところが、今回のロシアの行為は、まさしく武力の威嚇によって主権と領土を脅かしている。ロシアは国連の枠組みを守るどころか、ぶち壊したと言ってもいい。米国のケリー国務長官は主要国首脳会議(G8)からロシアを追放する可能性に言及している。一部には「話し合いの枠組みがなくなってしまう」という懸念もあるようだが、G8の話し合いが成立するとしても、ロシアはこれまでの国連の精神を前提にしないと考えるべきだ。相手は違った土俵で相撲をとる覚悟なのだ。つまり世界は変わってしまった。 

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  • 長谷川幸洋コラム第39回 集団的自衛権の行使容認めぐり安倍首相を批判する政治家はさっさと本質を議論せよ

    2014-03-06 18:24  
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    8年前の政権担当時からの野望へ驀進する安倍首相。ぬるい批判では止まりそうにない photo gettyimages集団的自衛権の行使容認を目指す安倍晋三首相の憲法解釈手続きをめぐって、与党である公明党の漆原良夫国対委員長が自分のメールマガジンなどで痛烈な批判を展開している。ポイントは次の部分だ。
    「ある日突然総理から『閣議決定で憲法解釈を変えました。日本も今日から集団的自衛権を行使できる国に変わりました』などと発表されても国民の皆さんは、到底納得されないと思います」「『なぜ変更する必要があるか』『変更した結果、何が、どのように変わるのか』など、国会で十分議論をして国民的合意を得る必要があると思います」(いずれもhttp://urusan.net)。
    与野党の議員から似たような「安倍批判」
    同じような批判は野党である民主党の岡田克也元代表も、国会質問や自分のブログで次のように展開している。
    「内閣で決めるときに与党との調整、そして何よりも国会での議論が必要だ。内閣で決めてから議論するのではなく、案を固め、それを示し、国会でしっかり議論すべきである」(http://blogos.com/outline/81186/)。
    安倍は憲法解釈の変更手続きについて、政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、柳井俊二座長)が4月に出す報告書を受けて、内閣法制局を中心にまず政府内で議論し、それから与党とも協議して、最後に政府が閣議決定するという段取りを想定している。
    漆原と岡田の批判は「政府が閣議決定する前に国会で議論せよ」という主張だ。これをどう考えるか。
    まず予備知識として閣議決定について説明しておきたい。そもそも「憲法解釈を閣議決定する」などという話がこれまであったのか。
    民主党政権時代に私も加わった超党派議員・有識者による「憲法円卓会議」で事務局長役を務め、いま慶応義塾大学大学院法学研究科講師の南部義典によれば「憲法解釈を閣議決定した例はありません。とくに憲法9条をめぐる解釈は、これまで内閣法制局長官の国会答弁や答弁書などによって定まってきました」という。
    そうした国会答弁や答弁書の積み上げによれば、いまの政府解釈は「集団的自衛権を保有しているが行使は認められない」となっている。たとえば次のようだ。
    「我が国は主権国家である以上、国際法上、集団的自衛権を保有しているが、憲法第9条の下で許容される自衛権の行使は自国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきことから、集団的自衛権の行使については、この範囲を超えるため、憲法上認められない」(1981年5月29日「稲葉誠一衆院議員の質問主意書に対する答弁書」など。参議院憲法審査会ホームページ)
    つまり、これまでは実質的に内閣法制局が憲法解釈を示し、それを歴代の内閣が追認してきた。それで内閣法制局の解釈が定着した。これが実態である。言い換えれば、官僚が憲法を解釈し、首相を含む政治家が後で認めてきたのだ。 
  • 田原総一朗 アベノミクス正念場、経済成長のヒントを「京都」で見つけた!

    2014-03-04 18:20  
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    今年は「アベノミクス」の正念場だ。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」というふたつの矢に続く、3本目の矢「成長戦略」がうまくいくかどうか。そのために、政府がすべきことはたくさんある。とりわけ「規制緩和」が急務だろう。
    そして、当然のことではあるが、経済成長には、やはり民間が元気になることが必要だ。そのためには、どうしたらいいか。そのヒントは、京都の企業にあると僕は考えている。
    京都には、世界シェアでトップクラスの企業がある。島津製作所、京セラ、任天堂、村田製作所など、たくさんある。
    いくつかの京都の企業のトップに、「どうして京都には個性のある、元気な企業が多いのか」と僕は聞いたことがある。すると、ある企業の経営者は、「京都は狭いから互いの顔が見える、だから助け合うんです。『共生』なのです」と答えた。すばらしいことだ。だが、僕はこういう綺麗な言葉を信用しない。だから少しひねくれて、「少なくとも邪魔はしないんですね」と聞き返すと、「そうです」という答えが返ってきた。
    企業にとって、もっとも「邪魔」なこととは何か。それは「真似」をされることだ。京都の企業にはそれがない。他の企業の真似はせず、独自のものを目指す。だからオリジナリティがあるのだ。
    口でいうのは簡単だが、「真似」をしないというのは大変なことだ。どこの企業も、ほんとうはオリジナリティでがんばりたいのだ。けれどなかなかがんばりきれず、つい真似してしまう。
    では、なぜ京都の企業はオリジナリティを保ち続けることができるのか。この僕の疑問に対して、「社員同士に『格差』をつけないことが大事だ」という答えがある企業のトップから返ってきた。
    例えば島津製作所だ。いわゆる下請企業のことも「協力企業」と呼んでいる。やはり僕は最初、「協力企業」という言い方は綺麗すぎる、と感じた。名前だけならいくらでもかっこよく言えると。けれど彼らは、給与や海外出張や研修など、本当にほとんど格差をつけていなのだ。
    また、他の企業のトップは、もうひとつ大事なことがあるという。それは「社員教育」だ。社員にどんどんチャレンジさせるのだ。新人にチャレンジさせれば、たいていは失敗する。その失敗したときに、どうするのか。京都の企業は、もう一度、チャレンジさせるのだそうだ。 

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