-
P: 国産技術 iPSとロボのタッグで脊髄損傷治療を開発!
2016-04-19 10:4510pt -
熊本に本震が来た日、私は猛烈な睡魔に襲われた
2016-04-18 23:0031pt熊本県・大分県で発生した地震の被害により亡くなられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。 起きた地震は阪神大震災級。その時の死傷者数と比べてしまうと被害の規模が小さく見えてしまいますが、九州新幹線の復旧が全く見通しが立たないことに始まり、被災者への支援がまったく足りていないなど、被害の大きさは阪神大震災級です。さきほど、732の避難所に11万人以上の避難者がいるとニュースでありました。阪神大震災では、1153の避難所に約31万人というそうですから、同じくらいの非常事態と言えます。災害対応はこれからです。私もできる限りの支援をしたいと思っています。 本震の起こった4月16日の深夜は、私が住む福山も少し揺れたことで目が覚め、スマホを見ると震度6強とあり、(なんて大きな余震なんだ)と驚愕しながらも再び眠りにつきました。 それが余震などではなく、阪神大震災級の地震であることを知ったのは次の朝でした。 この地震は、47年間生きて来た私にとって、東日本大震災よりも大きな衝撃でした。私はそのような地震をまったく知らないからです。 東日本大震災は、もちろんとてつもなく大きな被害を出しましたが、子供のころから散々その可能性を聞かされていたものです。たくさんの犠牲が出たことは悲しいことですが、起こったこと自体は、言われていた通りのことでした。 そのときに原発事故をも起こったことは必然的ではありませんでしたが、原発の事故も子供の頃から指摘され続けてきたことであり、ロシアやアメリカの事故と同じような事故が起こる可能性自体は覚悟していたものです。 しかし、今回の4月16日の本震は、私の47年の防災意識を根底から揺さぶるものでした。それはそれだけで極度のストレスです。隕石が落ちてくることだってありえるけど、それは滅多に起きることではないので備えても仕方ないなど、生まれてきてこれまで地道に積み上げてきた、リスクとその対応のバランスがあります。いわゆる経験則です。 それは生きれば生きるほどそれは高く積み上げられているわけですが、震度7の地震の後に規模としてははるかに大きい地震がくるなど、全く想定に入っていない現象を目の当たりにし、つまり、その高く積み上げられたリスクバランスが根底から揺らいだのです。 もうおっさんど真ん中の私にとってリスクバランスは大事な武器です。若い頃は、何から何まで一から考えて最適解を突き詰めるなんてことができますが、これくらいの歳になると、今までの経験をもとに直感で判断するようになります。ですから、その直感のもとになる経験則が打ち破られることは、一大事なのです。 16日の朝から私はテレビやネットで状況を収集し続けました。まずは自分たちの福山にまで被害が拡大する可能性があるのかという喫緊の問題もありましたが、自分が家族を守っていくための拠り所にするためのリスクバランスを立て直さないと不安でたまりません。 結果として16日に集めた情報やその時考えたことは、すでにネットでいろいろまとめ始められています。 さらに大きな地震の可能性が否定できない 熊本地震はごく一部の活断層が動いただけ それこそ、地震に携わっている方々は、今ものすごい勢いで調査・考察されていることでしょう。明らかにこれはこれからの防災のあり方から問い直すことになります。 それは別の話として、私は、その時私自身に起こった奇妙な出来事を記しておこうと思います。 それは猛烈な睡魔に襲われたということです。午前と午後二度昼寝しました。 赤ちゃんは、起きている時間が短くすぐ寝ます。あれは、誕生直後は五感を通して膨大な情報が流れこんできます。誕生直後はそれらを頻繁に整理する必要があって寝る必要があるのだと思います。 それと同じことが自分の身にも起こったのです。私にとって、通常の情報は、もちろん知らない情報はいろいろ入ってきますが、それはもはや私の中の経験の蓄積を微調整する程度です。ニュースを見て眠くなるなんていう体験は、まったく覚えがありません。 しかし、16日は違いました。小1時間情報集めると眠くなって仕方ありません。二度ほど昼寝をすることになったのです。頭の中では、いままで築き上げたリスクバランスを一度壊して再構築するくらいの大作業が行われたのでしょう。 この歳になってから、自分の中の常識をひっくり返されると、体にこんなことが起こるのかと貴重な体験をしました。 しかし、同じことが社会にも言えます。今まで地震といえば、最初が一番大きいものでした。しかし、これからは後からさらに大きな地震が来る可能性を考えなければなりません。 しかも、すでに発表されているように、今の所大きな地震が前震なのか本震なのかを判断するのは難しいとのこと。 さらには、一つの地震が近隣の地震を誘発するという事態も発生していて、こちらも予測は今の所難しいとのこと。 しかし、社会や行政は、これからはこのような事態も想定して備えなければならないのです。可能性があるからといって、注意を呼びかけるくらいは何て事はありませんが、では、少し離れたところでのイベントを中止するのかとか、いったん地震が起こった以上、建物の診断をするまでは自宅に戻らないというのを徹底するようにするのかなど、考えなければいけないことは山のようにありそうです。今回の地震を契機に活発な議論が始まることでしょう。 とはいえ、まずは災害支援体制の確立が急務です。いろいろと課題は山積みです。今回の被害の大きさは阪神大震災級です。トヨタは全国で工場の操業が一旦止まるなど、実体経済への影響が出るほどです。 私たちはまた新たな課題をつきつけられたのです。《ワンポイントミライ》(?)ミライ: 熊本県・大分県で発生した地震の被害により亡くなられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。 こんなことってあるんですね・・。 -
【馬車目線】地方の高校生が首都圏大学に行かないのは経済的理由?
2016-04-15 23:0051ptこの記事はミライの【馬車目線】でお送りします。
ミライ: こんにちは! 今日は、初「ミライの【馬車目線】」行ってみようと思います!フツクロウ: だいぶ間が空いてしまったのぅ。ミライ: ですねー。「始めます」と宣言したのが 4月15日だったんですけど、その直後に熊本地震の本震がやってきて、それどころじゃなくなっちゃったんですよね。フツクロウ: すさまじかったのお。ミライ: ですね。だいぶ落ち着いて来たような雰囲気はありますけど、まだまだ気を抜けないとも言われてますし……。学校も休校が多いとか。フツクロウ: まだまだこれからじゃの。ミライ: はい。ということで、気を取り直して、初めての「ミライの馬車目線」はこれで行ってみようと思います! 地方高校生に「東京離れ」 仕送り負担、地元志向強まる -
【馬車目線】ミライが始める馬車目線
2016-04-15 22:4510ptこの記事は【馬車目線】でお送りします。
ミライ: フツクロウさん!フツクロウ: ホ?ミライ: 私、【馬車目線】やってみたいかも!フツクロウ: ホホウ。ミライ: これが今までの【馬車目線】の紹介文なんですけど、【馬車目線】って何? 未来の普通を紹介する通常版に並べて、比較しやすいように現在の視点での解説【馬車目線】をたまに加えています。今、かつて主に馬車が使われていた社会のことは「ふ〜んそんな時代もあったね」くらいにしかわからないように、現在の視点は未来には過去のものになるので【馬車目線】と呼んでいます。
フツクロウ: ホウじゃな。ミライ: 最近《ワンポイントミライ》が始まって毎日話してるじゃないですか。フツクロウ: 話しとるの。ミライ: なのでいろいろ考えたんですけど、たとえばこの間のこれ。 「世界一貧乏な大統領」が本当に貧しい理由 これって、ムスカ氏の批判する物質社会も古い考え方ですが、ムスカ氏自身が提案する清貧な生活も経済を活性化しない古い考えだという話だったじゃないですか。フツクロウ: うむ。ミライ: だから、これは【馬車目線】でやるべきだったんですよ。しばらくやってなかったから、すっかり忘れてただけで。中のひとが。フツクロウ: ホッホッ、ホウじゃの。ミライ: でしょ。だから、その対比は対比そのものが20世紀、つまり【馬車目線】だから、そんな議論を読むこと自体、時間の無駄だ、それは今時はこういう点が議論されているって、言えばいいと思うのです。 あ、当事者さんたちの現実ののっぴきならないやりとりには、昔ながらの論点も避けられないと思うんですけど、 ネットとかの第三者はそんな話に終始するのはもどかしいです。 みんな忙しくて未来のことを考える時間をとるのも難しいのに、20世紀の【馬車目線】議論で時間を無駄にするのはもったいないです。だから、それを防ぐのは実践的な「時短」です!フツクロウ: ふむ。ミライ: ということで、「その議論古い!【馬車目線】!」として取り出せばいいと思うし、やってみたいです!フツクロウ: ホッホッホ。あえて汚れ役を選ぶのかの。ミライ: え? 汚れ…役? -
P: 日本食のチャンス? 機内食を美味しくするキモは旨味!
2016-04-15 18:0010pt -
[S] 保育所が作れないところからはそっといなくなればいい。
2016-04-14 21:1531pt今日は木曜ですが、昨日通常運転だったので気楽に書き始める記事[S]です。 市川市の保育園断念問題が盛り上がっていますね。 市川市の個別問題については、前の道路が危険すぎるという問題があるようです。 住民の反対で開園を断念した保育園の立地から垣間見える市川市特有の道路事情 うちの次男が通ってた保育園の前の道も抜け道で、たまにすごいスピードでしかも携帯しながら通る人がいて、そういうのは若い人だったりして、(あー、子供が本当に飛び出す存在って知らないんだろうなあ)と思ってました。もうほんと毎日そこ通るのには神経使いました。 個別論はさておき、ちょっと気になることが。 「子どもの声が聞こえない街はよくない」住民反対で保育園建設断念、市川市が経緯語る 子どもの声が聞こえない街はよくないと思っている。
この記事に限らず、この意見は方々で見かけます。私はその通りだと思いますが、でも他人に押し付ける考え方ではないと思います。 ですから、もしご自身の住む街の保育園問題であれば「子どもの声が聞こえない街はよくないから建てるべき」と地元で声を大きくすべきですが、よそに「子どもの声が聞こえない街」があって、それが好きな人が集まっているのなら、無理に保育園を作る必要はないと思います。 昔アメリカに住んでいた時に学んだことは、違う人種は無理に一緒の地域に住まないということです。アメリカは人種のるつぼですが、均一に混じっているわけではなく、この辺はだいたいスパニッシュ、この辺はだいたい中国人、とかうまく棲みわけてます。ああ、こうやって余計な軋轢を作らないんだなと肌で感じました。 ですから、子供の声が嫌いな人は、子供のいないところに住めばいいと思います。私はそういう街は嫌ですが、それを他人に押し付ける気にはなりません。 また、そういうところに無理に保育園を作っても、ことあるごとにクレーム来るだろうし、それは近くの小学校でも続くでしょうし、つまり子育て世帯は、そういう情報を得たのなら、さっさと引っ越したほうがいいと思います。都会なら地方よりは移動が容易です。 がんばって説得しようにも子育て側は毎年メンバーが入れ替わってしまうので、運動を継続させるのが困難です。 「保育園落ちた。日本死ね」のブログから注目されている保育園問題ですが、 -
私たちは今資本主義の終焉を目撃しているって知ってた?(その2)
2016-04-13 23:4531pt私たちは今資本主義の終焉を目撃しているって知ってた?(その1) の続きです。 (その1)では、囲碁でプロを破った人工知能「DeepMind」の例を紹介しました。「DeepMind」は google が後から買収したものです。設備の整った大企業や大学でなくてもできる研究はどんどん増えています。つまり、大企業や大学に資本を集中させることが、最適ではなくなっています。 もちろん、囲碁を破るには何十億円という莫大な費用がつぎ込まれたそうで、そこに資本は必要でした。でもそれは、いわば第二ステップ。 「DeepMind」を伸ばすには資本が必要ですが、では「DeepMind」を「生み出す」には、社会としてどうすればいいでしょうか。 社会は、その課題に対して無意識に反応しています。 「イノベーションの民主化」が起こった今、誰もがイノベーション、すなわち新しい価値を生み出す可能性を持っています。 ですから、優秀な人材に集中しすぎて、落ちこぼれをたくさん出すよりも、落ちこぼれを一人でも減らして、誰もが義務教育レベルの勉学を修めるほうが、新たな価値が生まれやすくなります。識字率が99%なところを義務教育到達度を99%にするのです。 何も全員が学校のテスト100点を目指すという意味ではありません。識字率99%ったって、全員が漢字のテスト100点取れるわけではありません。日常生活に困らない程度、50点でいいのです。 子供は落ちこぼれてしまうと、その学年で止まります。小学校3年で算数についていけなくなると、中3のときに、まだ小3のレベルです。それをなくさなければなりません。そのために今いろんな取り組みがされていますし、eラーニングや個別学習など具体的なアプローチが成果を上げ始めています。 日本中の子供達が義務教育を落ちこぼれることなくそこそこに到達すれば、それぞれの子が身近にある問題を解決するのに力を発揮します。最近学生が何かを発見したとかこんなユニークな研究をしたとかいうニュースが珍しくなくなりました。 この力は無数の社会問題を解決する力にもなります。たとえばでっかいダムを作れば解決するような問題は国によって進められてきましたが、そういうのはもう一巡して、各地域ごとの個別の問題がネックになり始めています。 たとえば、一口に交通弱者問題と言われますが、かつてのバス鉄道という対応では立ち行かなくなり、各自治体が取り組んでいます。問題は、たとえばどこかで新しいオンデマンドバスが成功したからといって、それが全国どこでも使えるわけではないということです。各地域に個別の事情があり、他で成功した方法がそのまま使えないことが多いのです。 逆に言うと画一的な対応で解決できる問題は、いままで国や自治体が右習え政策でばんばん解決してきたのですが、それで対応できない問題が残っているのです。 こういう問題は自治体ごとに工夫していかなければなりませんから、数が多すぎて、国のエリートに解決はできません。一人でも落ちこぼれを減らして立ち向かっていかなければならないのです。 そうやって、多くの人が問題解決に取り組むことによって、時に非常にインパクトのある成果が生まれやすくなります。「DeepMind」のように。 つまり、お金持ちが自分の子供にお金をつぎ込み育て、その子がエリート校に入って、エリートになったとしても、いまいちかゆいところに手が届かないのです。昔は、金持ち優遇、大企業優遇すれば、そこからすごい製品が出て、日本も便利になるし、輸出も増えて金も儲かるしといい面があったのですが、もはや、その効果は色あせているのです。 今は、もはや一人として落ちこぼれを作らないことが重要なのです。すべての国民にあまねく教育をというのは、理想論などではなく、そうしていかなければ、社会の無数の問題を解決できない時代なのです。 これはつまり国際競争でもあります。実際なんだかだと言って、日本の全体としての教育レベルは高く、それゆえに国際的にも遜色ない問題解決能力を持っています。 この究極の議論が BI、ベーシックインカムでしょう。とりあえず全国民に毎月たとえば8万円払うよという話です。それでやっていく分には働かなくていいよという政策です。 日本では税金の国民負担率が低いため、BIを入れようとすると国民負担率が急激に上がるため、まだまだ入れられないでしょう。 でも、もともと国民負担率が高いところは、やり方が変わるだけなので、実際に導入が検討されているところも出てきています。 義務教育を修め、BIでとりあえず食うために働かなくていいようにすることで、全国民に思い通りに創造力を発揮してもらうことができるようになります。日本でいうところの「一億総活躍社会」を具体化した一つの形でしょう。 うまくいくかどうかはともかく、この仕組みは、資本を局在させ、豊富な設備と優秀な人材を集めることで、効率的に付加価値を生み出してきた資本主義とは根本的に異なる考え方です。 BIを始め、このようなアプローチが実を結び始めれば、その創造力は、資本主義創造力を大きく上回ることでしょう。そうなれば各国は我先とそのシステムに移行していくことでしょう。 そこまで行けば、新システムには名前も付いているでしょうし、はっきりと資本主義は終わったと認識されることでしょう。 でも、すでに資本主義は終わっており、私たちは流れるように新しいシステムに向かって進んでいます。もう落ちこぼれを作ってられないというのは理想論ではなく、疲弊した地方が必要な人材を確保するための喫緊の課題であり、今は誰もが今は資本主義だと思い込んでいても、新システムに向かって進んでいます。特に資本主義を攻撃する必要もありません。つまり、資本主義の終焉から新システムへの移行は、破壊的な経済混乱を経るわけではなく、気付いたら変わってたという感じになるでしょう。 そういう意味で新システムに移ったねと広く言われるようになるのは、ずっと先のことになるかもしれません。 しかし、これからは、wikipedia の資本主義の項目を見る人が、この文章を読んだ時、 基本原理としては生産手段を持つ資本家が、生産手段を持たない賃金労働者を使用して利潤を追求する社会システム
なんか、この文章おかしくね?今こんなシステムじゃないよねと思うようになる頻度が日増しに増えていくことでしょう。《ワンポイントミライ》(?)ミライ: 資本主義は終わり、一人も落ちこぼれを作らない社会へ、か。別に両立するんじゃないですか? -
私たちは今資本主義の終焉を目撃しているって知ってた?(その1)
2016-04-12 23:1531pt私たちが生まれた時から慣れ親しんでいる、民主主義や資本主義という社会の仕組み。その一つ経済の仕組みである資本主義というシステムは、すでに終焉しています。 では何主義と呼ばれるものになっているのか。それはまだほとんど問題提起もされていないし、ましてや新しいシステムの提案もほとんどないことでしょう。 でもそれは始まっています。 その前に、本当に資本主義は終焉しているのでしょうか。 wikipedia には資本主義とは次のような原理と書かれています。 基本原理としては生産手段を持つ資本家が、生産手段を持たない賃金労働者を使用して利潤を追求する社会システム
たとえば自動車を作ろうと思ったら、資本家が莫大な資本を使ってどど〜んと工場を建て、そこに賃金労働者をかき集めて働いてもらって、初めてばんばん自動車ができるようになって、ようやく広くみんなに行きわたります。 私たちのこのモノの豊かで便利な世界ができたのは、この資本主義という仕組みのおかげです。 しかし、モノは豊かになり、時代は変わったのです。 先日象徴的なできごとがありました。google の人工知能が囲碁でプロに勝ったのです。しかし、その人工知能は google が生み出したものではありません。謎のロンドンのスタートアップ「DeepMind」がその源流です。google はそれを500億円以上で買収して、豊富な資金で囲碁に挑戦したのです。 これは象徴的です。 昔は、何かを開発するにしても、資本がものを言いました。必要なのは工場だけではありません。 開発にも資本がいりました。優秀な研究員はもとより、彼らが研究開発するための潤沢な設備も用意しなければならなかったのです。 子供の頃近くに「童夢」というスーパーカーを作る工房がありましたが、その活動は本当にゆっくりしたものでした(今もあるんですよ!)。車を大資本なしに作るのは、「童夢」のような例外を除いては、昔は極めて困難だったのです。 少し脇にそれますが、大学もそうです。昔は大学という設備が潤沢な場所がなければ、研究は難しかったのですが、今では大学でなくてもできる研究はいくらでもあります。大学がぐらついている遠因です。 「DeepMind」はどうでしょうか。ちょっとしたコンビュータ資源があれば、誰でもできる可能性があります。クラウドでコンビュータが借りられる時代ですから、自分でバイトしてでもできそうです。 昔は資本がなければ開発ができませんでしたが、今は、そんなものなくても、開発ができてしまう分野が増えているのです。いわゆる「イノベーションの民主化」と言われている現象です。 もちろん、「DeepMind」も、Google に買収された後莫大な資金をつぎ込むことでプロの囲碁棋士を打ち破りはしましたが、その基礎技術は Google が生み出したものではありません。 Google は世界中の優秀なエンジニアを抱え込んでいて、世界指折りの開発環境を持っているだろうに、Google 自身はその人工知能を生み出すことができなかったのです。 これが、資本主義の終焉を如実に示した象徴的な事件です。 逆に考えましょう。今までは、私たち市民としても資本を集中させることに利得がありました。トヨタがでっかくなればなるほど、潤沢な環境に優秀なエンジニアが集まってすごい車ができて、私たちはその車を享受できるという仕組みだったのです。格差の問題はありますが、大企業を優遇することは私たちの暮らしに恩恵があったのです。ですから各国は、国際競争力を高めるために、大企業を優遇することで自国の開発力を高めていたわけです。 なのにどうでしょう。世界有数の google は「DeepMind」を生み出せなかったのです。謎のロンドンのスタートアップが生んだのです。 さあ、私たちは、なにを奨励すべきなのでしょうか。「イノベーションの民主化」が起こった今、私たちの余剰、その一部は税金と呼ばれます、それをどこに割り当てれば、「DeepMind」のようなイノベーションが加速するのでしょうか??? (つづく)《ワンポイントミライ》(?)ミライ: 資本主義、終わってたんですね・・・。フツクロウ: ホウじゃのう。ミライ: ……、だからといって社会主義だという話でもないんですね。フツクロウ: 全く、違うの。今までは資本を集中させることでイノベーションの効率を上げてきたが、もはやそれは効率的ではない時代に突入したということじゃ。 -
「世界一貧乏な大統領」が本当に貧しい理由
2016-04-11 23:1531ptウルグアイの元大統領ムヒカ氏が来日していて、毎日話題になっていますね。 世界一貧しい大統領と呼ばれた男 ムヒカさんの幸福論:朝日新聞デジタル ――「世界で一番貧しい」という称号をどう思いますか。 「みんな誤解しているね。私が思う『貧しい人』とは、限りない欲を持ち、いくらあっても満足しない人のことだ。でも私は少しのモノで満足して生きている。質素なだけで、貧しくはない」 「モノを買うとき、人はカネで買っているように思うだろう。でも違うんだ。そのカネを稼ぐために働いた、人生という時間で買っているんだよ。生きていくには働かないといけない。でも働くだけの人生でもいけない。ちゃんと生きることが大切なんだ。たくさん買い物をした引き換えに、人生の残り時間がなくなってしまっては元も子もないだろう。簡素に生きていれば人は自由なんだよ」
このような幸福論ゆえに、一方では「最も豊か」とも言われています。 確かに、今「豊かである」とされている人たちが、決して豊かとは言えないというムヒカ氏の言葉には真実が込められています。 しかし、その一方でムスカ氏の幸福論も古臭い20世紀の考え方です。そのような考え方では社会はうまくまわらないということは、特に長いデフレ期に苦しんでいる我々にはもはや自明です。 モノが豊かになりましたが、心は貧しいままと誰もが思っています。であれば、これからは心を豊かにするために私たちは邁進しなければなりません。 農場で働くというムスカ氏のところに、旅芸人が訪れたとして、心打たれる演奏をしたとしましょう。ムスカ氏は感動したお礼にいくばくかのお金を払ったとしましょう。これも立派な経済活動です。しかもその経済活動の結果、心が豊かになっています。これを無数に繰り返せば、モノまみれではない形で、世界の経済活動が活発になるのです。 お金は悪いものではありません。ムスカ氏が先ほどの旅芸人に一晩の宿や食事を提供したとしたら、その行為を責める人など誰もいないでしょう。お金は単にその形を変えただけです。お金になったらよくないと思うとしたら、それは単にお金の悪い使われ方を当てはめているからです。これは良いお金の使い方です。 ムスカ氏は一国の大統領でしたから、当然、国民がのびのびと暮らせるように考えなければなりません。そのためには活発な経済活動が必要です。しかし、彼の幸福論から、忌むべきモノの経済活動から脱却せよとのメッセージは伝わりますが、新しい経済活動への指針は見えません。それはモノの活発な経済活動がつまづいた瞬間、長いデフレに入ってしまった日本そのものです。日本もまた新しい経済活動への方向性を見出せないでいます。 あるいは彼は、自分への給料のほとんどを寄付したと言われています。寄付そのものは素晴らしいことですが、寄付というからにはそれは経済活動としては持続的ではありません。社会として寄付にまわすべきお金は、豊かな経済活動に生まれた余剰です。余剰でもないお金を寄付に回すのは、種籾を食べてしまうようなものです。 社会の中にムスカ氏のような清貧な生き方を好む人がいるのはもちろん構いませんが、彼の言葉は20世紀からさんざん語られている物質社会への反省までであり、しかし21世紀の今、私たちはその反省をもとに新しい経済活動の車輪を生み出さなければならないところにまで追い詰められているのです。 ムスカ氏の言葉は古いと言いましたが、いまだにそれがすばらしいと言われるのは、まだ、モノの次に作るものをきちんと見定めていないからです。「心を豊かにする」モノ・サービスというのは、大変難しいです。 なぜなら、「モノ」は作ることはできますが、「心」は作ることができないからです。「心を豊かにする」モノ・サービスは、そのあと誰かの「心を豊かに」しなければ、その目的が達成できません。それは「モノを豊かに」することよりはるかに難しいのです。《ワンポイントミライ》(?)ミライ: おお。今日も熱いですね。でも、また掛け声だけ? 具体的な話は!?フツクロウ: ホッホッホ。二回連続じゃの。 -
日本の景気がよくならない本当の理由
2016-04-08 23:4531pt今日この記事が目にとまりました。 18-19歳の59% 格差行き過ぎ | 2016年4月8日(金) - Yahoo!ニュース この記事の中に、日本の景気がよくならない本当の理由が隠れていました。この部分です。こうした中、いまの政治で力を入れてほしいことを複数回答であげてもらうと、最も期待が高かったのが「景気・雇用」で72%。次に多かったのも、将来の生活基盤にかかわる「年金・医療など社会保障」の61%。「教育」は46%で、3番目だった。
もっと絞るとここです。最も期待が高かったのが「景気・雇用」
アベノミクスでさんざん景気対策をしましたが、その効果はなくなっていると言われています。 では単に安倍政権の政策が悪いのでしょうか。誰かめっちゃ天才が首相になれば政策で景気が良くなるのでしょうか。 なんでそんな楽観的になれるのかとても不思議です。 海外の景気対策を見ても、もうばっちり、やっぱ政策すごいよねなんて国、最近ありません。 ありていに言って、政策で景気が良くなる時代は終わっているのです。 ・国ができることはやってしまった。 工業発展させるぞ!って昔は、全国の道路を整備したり、工業用水のためにダム作るなんて、国が行う施策が効果的でした。 でも、そういう施策を一通りやって第発展した今、国にできることは少なくなってきているのです。 ・金融政策は届かない。 また金で金を生むのが得意な金融も大発展し、高度化しました。国が行う純粋な金融政策は、すぐに金融分野が目をつけて利用されてしまいます。効果はそこで吸収されてしまい、本当にやりたかった私たちの身近の景気を刺激する効果はなくなっています。 余計な規制を緩和する過度な競争を抑制するため規制するといったことに、いまだに政府の役割はあると思いますが、まあ、金利いじれば景気が良くなるなんて虫のいい話はもうないと考えるほうがいいと思います。 ・私たち自身がなんとかするしかない。 政府や日銀が景気をよくしてくれるなんて幻想は捨てるべきです。規制緩和や適切な規制など、地味な取り組みは不断なく続けなければなりませんが、それ以上期待して、仕方なく黒田バズーカ乱発したって、私たちの周りの経済に届いたりはしないのです。 政治で力を入れてほしいことのトップが「景気・雇用」であるうちは、日本の景気はよくならないのです。 モノが貧しかった頃、私の父親の世代は、「モノを豊かにするぞ!」と一丸となって邁進し、日本を物質的に豊かに変えました。今私たちは「モノは豊かになったけど、心はちっとも豊かになっていない」と嘆いています。 ならば私たちは、一丸となって「心を豊かにするぞ!」と邁進する時です。それが私たちを豊かにする原動力なのです。《ワンポイントミライ》(?)ミライ: おお。今日は熱いですね。でも、掛け声だけ? 具体的な話は?
2 / 3