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田原総一朗「「世界の全共闘」となったイスラム国は、いったい何がしたいのか?」
2014-10-16 20:00330pt9月23日、ついにアメリカが 「イスラム国」への空爆を始めた。 今回の軍事作戦には、サウジアラビア、 アラブ首長国連邦、ヨルダン、 バーレーン、カタールの5カ国も参加したという。 だが、空爆によって すぐに何かが解決するとは、とても思えない。このイスラム国だが、いったい何か。 どういう組織なのか。何を目指しているのか。 いま、僕は非常に興味を持っている。イスラム国によってネット上に流された、フランス人やアメリカ人の人質を 「処刑」する残虐な映像をご覧になった方も多いだろう。 こうやって欧米諸国を「脅す」という、 ネット時代の新しい形のテロ組織だ、といっていいだろう。イスラム国は、イスラム教スンニ派の過激派テロ組織だ。 組織の人数は正確にはわからない。 2万人とも5万人ともいわれる。 とにかく、かなり大規模な集団だ。なぜ、このような組織が生まれたのか。かつてアメリカは、イラクに対して、 フセイン政権は独裁である、 さらに、大量破壊兵器を持っている として攻撃した。 イラク戦争である。 この戦争で、アメリカはイラク国民を「解放」したといっていた。だが、アメリカの狙いは、 中東の分断支配だったといえよう。 フセイン政権が倒れたあと、アメリカは思惑通り親米の マリキ政権を立てたのだ。ところが、これがうまくいかなかった。 イラクは大混乱に陥ったのだ。イスラム教は、大きくスンニ派と シーア派という2つの宗派に分かれる。フセインはスンニ派だ。だが、イラクはシーア派が国民の6割以上を占めている。 少数派だったフセイン政権は、実はシーア派やクルド族をうまく治めていたのだ。シリア、エジプト、リビアなどもそうだが、 中東には中東の民族性があり、風土があり、そして宗教があるのだ。欧米流の民主主義をいくら押しつけても うまく行くはずがない。当然といえば当然のことだ。だから、フセイン政権が倒れたあとの イラクは大混乱に陥ったのだ。 そして、そのようななかで現れたのが、 スンニ派過激派のイスラム国と いうわけだ。ではイスラム国は、いったい 何をしたいのか。コーラン、つまりムハマドの教えをよりどころに、理想のイスラム国家を建国したいという。 その理想にあこがれて、なんとイギリスやドイツ、フランス、アメリカから、若者たちが次々と加わっているそうだ。その若者の多くは、欧米で暮らすイスラム系移民の子孫だ。彼らは、いま住んでいる国で差別を受けている、と感じている。不満もあり、鬱屈している。彼らの目に映る「イスラム国」は、理想の国を目指す希望の存在なのだ。
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