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田原総一朗「想定以上の景気後退で、いよいよ正念場の安倍首相。次の一手はこれだ!」
2014-09-18 20:00330pt第2次安倍改造内閣が発足した。菅義偉官房長官、麻生太郎財務大臣、甘利明経済再生担当大臣などの主要ポストは留任している。一方、女性閣僚が3名増えて、これまでで最大の5名になった。さらに党の政調会長に稲田朋美さんが起用されるなど、「女性の活用」が前面に出ている。今回の内閣改造でいちばんのサプライズは、小渕優子経済産業大臣だろう。女性であり、最年少でもある。フレッシュさは、国民には好印象を与えるはずだ。経産大臣にとって最大の難問といえば原発政策だろう。原発への不信感は国民の間で根深く、さまざまな感情が渦巻いている。小渕大臣が、どれほどの手腕を発揮できるか、期待して見守りたい。さて、改造を終えた安倍内閣が今後どういう道をたどるのか。現在、日本経済は非常に危険な状況にある。4月の消費税引き上げ以降、2014年4~6月期の国内総生産(速報値)は、実質で1.7%のマイナスだ。年率換算すれば6.8%のマイナスとなる。ここまでは安倍内閣も想定内だったろう。だが、その後の7~9月期も、マイナスと予想されている。消費税アップで、一時的な落ち込みは予想されたものの、ここまで回復しないのは想定外だ。さらに悪いニュースがある。厚生労働省が2日発表した7月の毎月勤労統計調査だ。1人当たりの現金給与総額(月平均)は、前年同月比2.6%増の36万9846円。5カ月連続のプラスである。しかし、物価の影響を織り込んだ実質賃金指数は1.4%減になる。つまり、賃金の上げ幅が物価上昇に追いついていないのだ。これはアベノミクスの狙いがうまくいっていない、といっていい。 -
『ワシントン・ポスト』など外国主要メディアの安倍首相批判、ここが大間違いだ!
2013-05-13 19:15330ptゴールデンウィークは終わったが、 依然として安倍政権の好調は続いている。 安倍晋三首相はロシアに続き、 中東を訪問、大成功に終わった。 経済も、株価は1万4000円を越え、 円安傾向も持続……。 好材料ばかりのようだ。 ただ、その好調の安倍内閣に、 アメリカ、イギリス両国から 鋭い矢が飛んできた。
アメリカの『ワシントン・ポスト』が 4月26日、安倍首相を 強く批判する社説を掲載したのだ。 「侵略の定義は国際的にも定まっていない」 と安倍首相が述べたことについて、 歴史を直視していないと批判、 さらに、経済政策の成果も台なしにしかねない、 という懸念も示している。
イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』も 4月29日の社説で批判を展開。 安倍首相の靖国神社への供物奉納、 そして、歴史をめぐる発言に対し、 「支持率の高さを受け、本性をのぞかせた」 と述べ、経済政策に集中すべきだと 苦言を呈しているのだ。 -
塀の上を走れ!「ドロップイン」な生き方について考える
2012-12-26 20:30今年も残りわずかとなった。この1年間も、多くの人と会い、いろいろな話を聞いた。 テレビ番組にも出て、原稿を書き、講演会で日本各地を訪れた。 海外にも取材に行った。休まずに走ってきたと思う。 この年齢になって、いったいなぜこんなにも忙しく過ごしているのだろうと、 我ながら笑いたくなることもある。 しかし、僕は一生、いちジャーナリストでいたい。好奇心のままに仕事をし、 人生を駆け抜けたいのだ。そんな人間のあり方のお手本にしている作家がいる。 森鴎外である。 僕の好きな作家が明治の文豪とは、意外に思われるかもしれない。 実は、若いころから鴎外が好きだったのだ。 大学の卒論のテーマは、「鴎外をめぐる女たち」だ。 鴎外は、海外留学中に知り合ったドイツ人女性と恋に落ちた。 帰国すると、その女性が日本にまで追いかけてきた。 結局、説得して国へ帰すのだが、情けないことに、説得したのは、 鴎外自身ではなく父親である。 初期の代表作『舞姫』のもとになったエピソードだ。 その後、鴎外は母の勧めで結婚。無事に長男が生まれるものの離婚する。 後に再婚し、4人の子どもをもうけた。 鴎外は「闘う家長」というイメージが強い。 ところが、実の母親をはじめ、ドイツ人女性、最初の妻、二番目の妻と 4人の女性に翻弄されてきた、と僕は卒論で論じたのだ。 鴎外は、弱い男だと思う。 けれどその弱さを克服して、作家としてラジカルに生きた。 一方で軍医総監として、そしてまた家長として、体制内に留まった。 先日、僕は自伝『塀の上を走れ』を書いた。 そこで、自分の生き方をドロップアウトならぬ「ドロップイン」という言葉で 表現した。 仕事はラジカルに、そして自分の属する組織を自分から捨てない。 無茶をして迷惑もかけるが、家族は守る。 この鴎外こそ、まさに「ドロップイン」の元祖なのだ。 かつて僕は、自分が司会を務めたテレビ番組で、時の首相3人を追及し、 退陣に追い込んだ。 だが、いくら首相を攻めたてても、いくら政権を交替させても、日本はちっとも よくならない。そのことに気づいたのだ。 もはや壊すべき強固な「体制」などない。 むしろこちらがさまざまな提案をしていくべきだと考えたのである。 僕のこの「転向」に対して、「田原は日和(ひよ)った」「体制側に寝返った」 などと非難された。 だが、これは思想の「ドロップイン」なのだ。 傍観者の視点からは、何も生まれない。目指すのは、日本をよくすることだ。 だから僕はどう言われてもよい。 まもなく、安倍政権が誕生する。 政権が変わっても、僕は変わらずに、日本が少しでもよくなるなら、という気持ちで 活動していく。そして、来年も突っ走り続けていきたい。
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