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記事 3件
  • Vol.168 放射性物質汚染廃棄物の最終処分場はどこに作るべきなのか

    2015-06-18 15:20  
    209pt
    Vol.168
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                『そこそこ週刊・畠山理仁』
        放射性物質汚染廃棄物の最終処分場はどこに作るべきなのか
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    ●町全体から声が聞こえてくるような看板とのぼり旗
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    「最終処分場建設 断固反対」
    「最終処分場はいんね」
    「焼却炉付最終処分場建設 白紙撤回」
    「高原山と湧水を守れ」
    「塩谷町の自然を守れ」
     東北自動車道上河内SAスマートインターチェンジを降り、15分ほど走ると栃木県塩谷郡塩谷町に入る。高速道路から塩谷町役場へと向かう県道63号線を走ると、こんな看板やのぼり旗が道沿いの田んぼに林立していた。
     なかにはのぼり旗を立てるポールだけが残され、旗が破れているところもあった。かなり前からのぼり旗は立っているのだ。のぼり旗の他にも多数設置された手書きの看板にも力が入っている。
    「少しずつ少しずつ焼却場の雨水は下流・那珂川へ」
    「私たちは上流からきれいな水をもらう権利がある」
    「塩谷地区の宝 自然環境 処分場絶対反対」
    「清流を止めるのか 放射能廃棄物 断固拒否」
     看板の文言は地区ごとに違い、かなりのバリエーションがある。同じ看板には二度と出会えないほど種類が豊富だ。
    「国の手先を町に入れるな 金より命」
     という激しいキャッチコピーもあれば、
    「作るのか 票がないから 塩谷町」
     と、五七五の川柳調の看板もある。その一つ一つがどれも目を引く。
    「がんばれ塩谷」
    「まけるな塩谷」
     のぼり旗には、町民自らを鼓舞するものもある。農村風景のため騒音はほとんどしないが、町を走っていると町全体から声をかけているような感覚になる。
     県道をさらに北上すると、また一つ、バババババッとのぼり旗が一列に並んでいる場所を発見した。
    「また違う色ののぼり旗がある!」
     そう思って車のスピードを落としながら近づいてみた。
    「がんばれ塩谷」
    「まけるな塩谷」
    「断固反対」
    「白紙撤回」
     これはさきほどからよく目にしたのぼり旗だ。それらの旗に挟まれているあの紫色の旗はなんだ?
     
  • Vol.167 ハイパーメディア無職リターンズ(3)

    2015-06-13 01:30  
    209pt
    Vol.167
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              『そこそこ週刊・畠山理仁』
            ハイパーメディア無職リターンズ(3)
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    ●エキストラというお仕事
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    「午前8時20分に地下鉄白金台駅1番出口集合です。時間厳守でお願いします。仕事の内容はドラマのエキストラです」
     私は仕事を探していた。
     今年に入り、ライターとしての仕事をほとんどまともにできていない。取材には出かけるものの、交通費はすべて自腹。取材をしても成果を発表する媒体がなかなか見つからず、原稿料収入は満足に得られていなかった。
     そこで私はツイッターなどで、テープ起こしや対談のまとめ、ペットの散歩など、幅広く仕事を募集した。私がツイッターで書くとリツイートしてくれるフォロワーがたくさんいた。とても嬉しく、勇気づけられた。しかし、残念ながら実際の仕事にはなかなか結びつかない。
     そんな中、「謝礼をお支払いするので福島の事情を個人的にレクチャーしてほしい」といって汗の滲んだ福沢諭吉を渡してくれた方や、ペットのお世話の仕事を振ってくれる友人もいた。どれもありがたい話だからすべてお受けした。
     しかし、それでも取材費や生活費を賄うことは難しい。私は仕事があればなんでもやろうと決めていた。
     
  • Vol.166 ハイパーメディア無職リターンズ(2)

    2015-06-02 10:00  
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    Vol.166
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              『そこそこ週刊・畠山理仁』
            ハイパーメディア無職リターンズ(2)
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    ●人生の恥を書き捨て
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     思えば今年は初めからツイていなかった。厄年がようやく終わったと思ったら、まだあと一年も「後厄」が続くことに気がついた。それが正月早々のことだ。
     その後、知り合いが立て続けに亡くなった。年長者も年少者もいた。みな尊敬できる人たちだ。去年のうちに亡くなっていたことを、今年になってから知ることもあった。毎回ショックを受けていたら体が持たないが、やはり落ち込む。お世話になった人たちが自分より先に亡くなってしまったのだから当然だ。
     そうこうしているうちに仕事の発注依頼と自分の仕事のタイミングがうまく合わず、泣く泣く断らざるを得ない状況も続いた。すべてが悪い方、悪い方に回っているように思えた。あまりの間の悪さに自分としては笑うしかなかったが、なかなか周囲から笑いは取れない。救いようのない泥沼にどんどんハマっていっている気持ちが募った。そんな中、お米を車内の床にぶちまけて、情けない気持ちで一粒残らず拾い集めたのが前回までの話だ。