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Vol.212 復興の理想と厳しい現実・避難指示が一部解除された浪江町
2017-03-31 22:00220ptVol.212
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『そこそこ週刊・畠山理仁』
復興の理想と厳しい現実・避難指示が一部解除された浪江町
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●町の現状を象徴するかのような日の出
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真っ暗ではないが、明るくもない。
2017年3月31日午前5時15分。ひと月前に岸壁の復旧工事が終わり、6年ぶりに漁船が戻ってきた請戸漁港で日の出を見た。
水平線から上る太陽の光は、空を広く覆う雲に阻まれていた。しかし、漁港に全く光が届かないわけではない。ぼんやりとはしているが、たしかにその光は漁船が浮かぶ水面を徐々に照らし始めていた。
決して明るくはないが、朝は確実にやってきたのだ。
肩からカメラを下げて漁港を歩くと、ライトを付けた漁船の上には漁師たちが集まり、一心に網の手入れをしていた。
「おはようございます」 -
Vol.120 ウェブ連載「フクシマの首長」を始めた理由
2014-04-25 06:00209ptVol.120
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『そこそこ週刊・畠山理仁』
ウェブ連載「フクシマの首長」を始めた理由
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●何が言葉を堰き止めるのか
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男性の目には涙が浮かんでいた。どう声をかけていいのかわからなかった。
私はその時、福島県二本松市にある浪江町役場二本松事務所にいた。一階の一番奥にある町長室で、馬場有・浪江町長から話を聞いていたのだ。
震災から丸3年が経った。その長さを考えれば、1時間のインタビューはあまりにも短い。それでも私は震災後に浪江町に起きたことを矢継ぎ早に質問した。馬場町長は「よそ者」の私にも、端的にわかりやすく話してくれていた。
時間を一秒たりとも無駄にしない。互いにそんな緊張感の中で取材を進めていくうち、突然、馬場町長の言葉が止まった。私はパソコンに文字を入力する手を休め、じっと次の言葉を待った。
1秒、2秒、3秒……。心の中でゆっくり数えてから馬場町長の顔を見た。
「すみません」
馬場町長はようやく声を絞り出すと、ポケットからハンカチを取り出し、そっと目頭を抑えた。
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