人と自分を比べてしまう理由は様々ですが、わたしたちは皆、「社会」という活動の場を共有している人間同士。ほかの人の状態が気になるのはとても自然なことだと思います。そして、日本人であるわたしたちは、他の民族よりも「調和」を重んじる文化の中で暮らしています。周りを観察する意識を持つことは、調和を保つためのスキルでもありますよね。
人と自分を比べるのは自然なこと、それが悪いわけではありません。でもそのせいで、ときに苦しい思いをしているのであれば、その比べ方を見直してみるといいかなと思います。たとえば、
他人と自分を比べて羨ましく感じる
→ じつは、ポジティブな向上心がそうさせていることに気づく
「うらやましい」という気持ちはネガティブに捉えられるケースが多いかと思うのですが、じつはこれ、裏を返すと「自分をアップグレードしたい」というポジティブな気持ちがもとになっています。「その人のどんなところがうらやましいですか?」「なぜその人が輝いているように見えるのでしょうか?」こんな質問を問いかけていくと、自分が何を求めていて、どの部分を変えていきたいのかが分かっていきます。うらやましい気持ちやジェラシーは、自分の求めている未来を知るための貴重な情報源。重たい感情の向こうには、自分向上のヒントが隠れているのです。
他人がうまくいっているように見える
→ その人の人生のハイライトだけを見ている場合があることに気づく
どんなにうまくいっているように見える人でも、その人なりの人生のアップダウンが必ずあるはず。誰かがうらやましく思えるとき、その人の人生の素敵な部分だけに目を向けて、勝手な全体像をイメージしていることがあります。ソーシャルメディアを通して他人の人生の切れ端を見ることが日常的になっている現代社会に起こりがちなことです。でも、「誰にでも人生の波があること」を思い出すことで、うらやましい気持ちを、もっと柔らかいものに変換していくことができます。
周りの人はみんなちゃんとできてるし、すごい
→ みんなって一体だあれ?
この「みんな」が誰か特定の人物ではなく、自分がなんとなく思う「ちゃんとしていて、うまくいっていそうな人たち」なのだとしたら、それはある意味自分の空想が作り上げた架空の人たちです。空想上の「うまくいっている人たち」と自分を比べて落ち込んでしまうなんて、もったいない! 感情とエネルギーの使いをしていませんか?「みんな」の定義について考えて直してみると、自分へのダメ出しをやめて、新たなものが見えてくるかも。
こんな風に、視点を少し変えて自分を見つめてみることで、人と自分を比べて落ち込むことを減らしていくことができます。もちろん、考え方のクセを変えるのは容易ではないですし、トレーニングも必要です。でも、自分の決断一つで、新しい考え方を身につける一歩を踏み出すこともできます。いつもとはちょっと違う考え方。ふと立ち止まって思いを巡らせてみるだけでも、効果があるかもしれません。
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