先日、インドネシアのバリ島へ行く機会がありました。
滞在場所としてウブド(海沿いのリゾートから少し離れた山間部)を選んだのですが、その理由は、ヨガの聖地と聞いたからです。
ヨガとVeganはともだち。 「ヨガがある土地には、必ずVeganの食事がある!」と考え、あまり調べもせずに突入したのですが、 期待通り、あらゆるカフェやレストランにVeganメニューがあり、 それらは想像を超えるおいしさと美しさ。 短い滞在期間にもかかわらず多くの‘はじめて’に出会うことができました。
今回は、魔法にかけられたかのようなVeganスイーツたちについてお伝えします。
バリニーズVeganスイーツ、艶やかなビジュアルのひみつ
Photo by Saiko Ohsara色気あるフューシャピンクのムース! 白いムースはまるでレアチーズケーキのような美味しさ。もちろんVeganです(味のひみつは後ほど)。
Photo by Saiko Ohsaraシャーベットはパステルイエロー! 下に隠れた白いプリンは、Veganパンナコッタ(このひみつも後ほど)。日本でVeganやマクロビオティックのお菓子というと素朴な見た目のイメージを抱く方も多いと思いますが、 バリのVeganスイーツは、まるで南国の鳥のように美しい。艶やかなビジュアルに、ハッとするほど鮮やかな色を宿していました。その、日本ではなかなか出会えない色のひみつは、 インドネシアでとれるフルーツたち。
image via Shutterstockフューシャピンクはドラゴンフルーツ、 パステルイエローはパッションフルーツです。現地のフルーツは、見た目だけでなく味も鮮やか! パキッと甘く、キュッっと酸っぱい。すべて自然の植物性素材からつくられたクリーミーなムースやプリンとの相性も最高で、ひとくち目からテンション最高潮でした(笑)。
知ってびっくり! ココナッツミルクの実力
image via Shutterstock牛乳をつかわないVegan料理において、ココナッツミルクは愛され食材。そのまま甘みをつけてデザートにするだけでなく、 煮込みや炒め物のコク出しにもよく使われます。
しかし、ココナッツ特有の香りや、高い脂肪分ゆえのオイリー感が苦手な方もいると思います。 ココナッツミルクが大好きな私も、 料理につかうときには香りがキツくならないように、クドイ味にならないように、と気にしていました。
ところが、 バリで口にした美味しいVeganスイーツのほとんどがココナッツミルク生まれで、それらの香りや味が、私が知っていたココナッツよりはるかに上品だったことに、とても驚きました。先にご紹介した ドラゴンフルーツのムースに重ねられていた レアチーズケーキのような味わいは、ココナッツミルクとライムからうまれたもの。パッションフルーツのアイスに隠れたクリーミーなパンナコッタも、 ココナッツミルクでできていました。
しかしその味はどちらも、 わたしの知っていたココナッツミルクの「あの味」とはちょっと違うのです。 爽やかな香りで、ちっともクドくない! デザート欲を満たすリッチなコク、やさしい口あたり、なめらかな舌触り! ココナッツの産地だと、ココナッツミルクはこんなにも美味しいのか……と、 あらためて、産地で食べる意義と幸せを実感しました。
Photo by Saiko OhsaraココナッツミルクでつくられたVeganアイスクリームも、 濃厚なのにたくさん食べたくなる逸品でした。 あーー、もっと食べておけばよかった!
日本にも美味しいココナッツミルクはたくさん輸入されていますが、 バリで食べたようなものにはまだ出会えていません。 ココナッツミルクは、熟したココナッツの内側にある胚乳を煮出し、濾過したものとのことなのですが、ココナッツ自体の質や鮮度、煮出す温度で味がかなり変わるとか……。バリニーズVeganデザートでその実力を思い知らされ、 ココナッツミルクのことをもっと知りたくなりました。
バリで食べるべき!チョコレートとカシューナッツ
Photo by Saiko OhsaraVeganのチョコレート&バニラケーキと、バニラアイスクリーム。チョコレート生地はカカオの良い香り。 とてもなめらかなバニラ層とバニラアイスクリームのひみつはカシューナッツでした。
実は、インドネシアは世界第3位のカカオ豆生産国 (外務省HP 出典:Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO) ,2016)。フランスのショコラティエの間でも、インドネシア産カカオは有名で、バリ島にも大きなカカオ農園があるそうです。 また、カシューナッツも、インドネシアが世界第7位の生産量を誇り(グローバルノート 出典:Food and Agriculture Organization (FAO),2017)、なかでもバリ島産は品質がよいことで有名で、とくにオーガニックのものは高級品になっているとのこと。そのため、 バリではVeganでもそうでなくても、チョコレートのスイーツが大人気。カシューナッツは、そのまま食べるのはもちろん、ペーストにしてクリームのようにつかわれることも多いようで、街のカフェでも、このケーキやアイスのようなカシューナッツスイーツが食べられていました。
いまさらながら、 カシューナッツでバニラケーキがつくれてしまうなんて。カシューナッツってすごいですねーー! ここでもいずれ、カシューナッツをつかったスイーツレシピをご紹介したいと思っています。バリに行ったら、カカオとカシューナッツは要チェックです!
今回は、バリで出会った、現地の食材でつくられたバリならではのVeganスイーツをご紹介しました。 やはり、Veganでもそうでなくても、スイーツには心をときめかせる魔法の力がありますね。 とっても勉強になりました!
Vegan(ヴィーガン)とは、完全菜食。 動物性のものを一切使わないライフスタイルや、そのような食事のことをさす言葉。 本連載『TOKYO VEGAN』では、おうちでつくれるVeganレシピのほか、おいしい野菜や調味料、世界のVegan事情についてなどをゆるゆると綴っています。
次回も、バリのレポート。インドネシアの伝統料理と密接に結びついた“バリニーズVeganごはん”についてお届けします。お楽しみに!
大皿彩子 Saiko Ohsara
Alaska zwei 店主 / 株式会社さいころ食堂代表、"おいしい企画"専門のフードプランナー。Veganカフェ『Alaska zwei』の運営のほか、食に関わるブランドプロデュース、レシピ開発、空間コーディネート、イベントのトータルコーディネート等を行う。saikolo.jp