「ハマナス」を使ったオーガニックコスメrosa rugosa(ロサ ルゴサ)のデザインのお仕事で、北海道十勝郡浦幌町にやってきました。夏が訪れると浦幌町の海沿いは甘くたおやかな香りを纏った「ハマナス」の鮮やかな紅紫色に染まります。「ハマナス」は“Japanese Rose”と呼ばれる日本原種のバラ。
浦幌町では「未来を担う子供たちが、夢や希望を抱ける町をつくりたい」という理念を掲げ、小中学校・行政・住民が協働した取り組みを続けています。しかし、浦幌町には高校がなく、一度町を出ても戻ってきたら就職先がないなど雇用問題をかかえているのが現状です。
小・中学生が栽培したハマナスを原料に子どもと大人が一緒になって商品開発に関わりプロモーションを行っていく。それによって生じる新しい仕事はいずれ若者の選択肢のひとつとなるはず。今回の商品開発の主役はこの企画を考えた浦幌町に住む子ども達。パッケージのイラストは子供たちに写生大会でハマナスの絵を描いてもらったものです。
「このハンドクリームの絵は私が描いたんだよ!」と一緒に商品を作ったと自分ごとになってもらわなくては意味がないのです。 今回はロケ撮影を目的に訪れたのですが、浦幌町の自然の美しさと秘密のスポットの多さにびっくり!
収穫したハマナスの花。とても鮮やかなピンクの色。ミツを目当てにたくさんの蜂たちが寄ってきます。 私が行った時の浦幌海岸は穏やかで優しいブルーでした。高台からいつまでも眺めていたくなってしまいます。まずは通称「おっぱい神社」にやって来ました! おっぱい的な石をさわると、なんだかありがたい気持ちに……。他にも浦幌町には秘密のスポットがたくさんあります。浦幌炭鉱の跡地には昔の集合住宅の痕跡があったり、青森の青池や長野の大正池よりも圧倒的な密集率の枯れた木々が立ち並ぶ幻想的な池があったり、社が緑に埋もれて参拝できない神社があったり! おもしろスポットが多く、緑も海も豊かで美しい町です。
ここが通称「おっぱい神社」で知られる乳神神社! 小ぶりでかわいい神社です。 ご祭神は「父授姫大神(ちちさずけひめのおおみかみ)」。子宝、安産、縁結びの守護神として全国に知られています。 本殿右横に祀られているのが「乳石」。自然石でできており、触れると願い事が叶うと言われています。 なんとも滑らかでありがたい丸み。ついつい触りたくなります。 浦幌海岸のすぐ近くにある不思議な鳥居。すっかり背丈よりも大きな草に覆われて、とても入り込めるような様子ではありません。御神体がどこにあるのかもわからず謎は深まるばかりですが、なぜか神秘的で美しい。 こんな湧き水もあります。町の皆さんが汲みにこられるそう。 澄んだ池に無数の枯れ木が立っています。こんなにたくさんの木が立っている池はほかではなかなかありません。神様が住んでいるような神聖な空気を感じます。 浦幌炭鉱は明治28年に採掘が始まり昭和29年に閉山。炭住アパートの他、旧病院跡地、鉄道橋脚跡などの遺構が残ります。日本にはまだまだあまり知られていない場所がたくさんあります。いろいろな場所におじゃますると、もっともっと町や住民に活気が訪れるよういろいろお手伝いしたいなぁと思います。 「デザイン」は使う人と、想いを持って作りたい売りたい、と思っている人たちのためのもの。表現の部分でそのお手伝いができたらとても幸せなことだといつも考えています。