その手がかりになるのが、『10秒で絶好調になる 最強のストレッチ図鑑』(SBクリエイティブ)。Twitterで発信した「10秒ストレッチ」が12万いいね! 超えをして話題となった、人気パーソナルトレーナーの柴雅仁(しば・まさひと)さんの新刊です。
「背中の痛みが消えた!」、「疲れがなくなり、シャキッとした!」など反響が大きかった10秒ストレッチの実践方法が一冊にまとまっています。
世の中には「◯分で疲れが取れる」という運動や体操はごまんとあるけれど、柴さん考案のストレッチはなぜ“10秒”なのでしょうか? その秘密に迫ります。
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10秒のカギとなる「クロスポイント」ってなに?
そもそも現代病とも言える体の不調の原因は、筋肉の使い方にあるそう。現代人のほとんどは、体の奥深くにあるインナーマッスルの機能が低下しており、代わりにアウターマッスルを酷使していると柴さんは言います。
アウターマッスルとは、本来は歩く、走る、物を持つといった大きな力を発揮するときに機能するもの。持久力がない人ががんばりすぎると、アウターマッスルに力が入りっぱなしになり、疲労のすえ凝り固まってしまい、それが不調を引き起こす原因に。しかし、インナーマッスルにアプローチして働きを取り戻せば、こりや痛みなどの体の動作の悩みが解決するというのです。
その鍵となるのが「クロスポイント」の刺激。柴さんによると、「クロスポイントとは、刺激することでインナーマッスルを目覚めさせ、アウターマッスルをゆるめられるポイント」のこと。クロスポイントは全身に14か所あり、刺激することでインナーもアウターも両方の筋肉を一挙に平常状態に戻せるのがいいところ。
このクロスポイントは国からも認められている根拠のあるもので、10秒ストレッチはこれをベースに構築されています。
なぜ10秒でいいの?
こりや疲れが溜まっていて、一生懸命ストレッチをやっても変化がない。その原因の一つに、体を伸ばすときに力を入れてしまっていることが挙げられます。
力が入るということは、柔らかくなるのとは正反対。でも、内面的な意識で力を抜くことはなかなか難しいものです。だから、柴さんの10秒ストレッチでは体を外側からクロスポイントを触ってアプローチしていきます。
人間には「体性感覚」というものがあります。体性感覚とは皮膚や筋肉、腱、関節の感覚の総称のことをいいます。「触れられている」「温かい」「ここで重さを感じる」といったものは、すべて体性感覚です。
『10秒で絶好調になる 最強のストレッチ図鑑』18ページより引用
このように、外側をさすったり触りながら動かしたりすることで、本来は直接触れられないインナーマッスルに体性感覚が生じていく。すると「スイッチが切り替わり、ずっと力んで凝り固まっていたアウターマッスルが休めるようになる」。それが、10秒でゆるまるカギになるようです。
さする、ほぐす、伸ばす
一般にストレッチと言うと「伸ばす」ことを指します。しかし、ここでは、伸ばすに加えて「さする」「ほぐす」ことを重視。なぜなら、この2つを組み合わせるとストレッチ効果が高まるから。
「たとえば『腰が痛い!』というときには、そこに繋がっている周りの関節や筋肉からほぐしていくことで、驚くほど簡単に痛みが軽減した、ということが多々あります」と柴さんは言います。
具体的に挙げるなら、腰痛と脇腹の関連性。腰痛の人は脇腹が固く、その固さが腰にさらなる負担をかけてしまっていることも。そのため、腰と脇腹の境目に親指を突っ込んでほぐすと、腰の筋肉が一緒に緩み、腰痛を緩和することができるのだそう。
そのほか、足が疲れやすい、足裏や指がつるという人は、指回しをしてそこから弾くと効果的。すべての指でやることで足裏・足指の筋肉がゆるんで足がスッキリ軽くなるのだとか。
1. 足をもう一方の足の膝の上に乗せ、足の甲をつかむ
2. 空いている方の手で足の小指をグルグルと大きく2、3回、回していく。反対回りも行う
3. 足の甲をつかんでいる手の人差し指を立てて、足の指にひっかけて2、3回ピンピンと弾いていく
4. 小指をほぐし終わったら、薬指、中指……と残りの指もグルグル回し、弾いていく
5. 逆の足の指も同様にほぐす
『10秒で絶好調になる 最強のストレッチ図鑑』25ページより引用
このとき、指を反らしすぎて痛くならないようにするのがポイントに。不調を感じると痛い部位だけに集中しがちですが、その周りをさすったりほぐしたりすることが痛み解消への近道なのです。
肩こりには脇の下を刺激する
柴さんの10秒ストレッチがTwitterでバズったきっかけになったのが「脇を刺激して肩を回す動画」でした。肩こりなのに脇?と疑問に思うところかもしれません。でも柴さん曰く「肩が凝ったとき、多くの人は肩を揉みますが、実はそれだけでは不十分」
なぜならば 肩こりは、肩が凝ると触りたくなる首の付け根から肩や肩甲骨に向かって広がっている「僧帽筋」が固まったり萎縮したりすることによって肩が上がりやすくなっている状態です。
そうすると単純に肩こりが辛いだけでなく、頭痛やめまい、呼吸が浅い、イライラする、情緒不安定、寝付きの悪さ、冷えなどさまざまな困りごとを引き起こすのだそう。
肩を上げる筋肉である僧帽筋に対し、肩を下げる機能を持っているのが脇の下に広がっている「前鋸筋」。「この前鋸筋が働かないと、僧帽筋ばかりが頑張るはめになり、いつしか肩が凝り固まってしまいます。だからこそ、肩ばかり揉んでいても一向に力が抜けず、固まったままなのです」
つまり、脇の下を刺激することが肩こり解消の第一歩に。
1. 腕を上げると脇にくぼみができるので、そこに親指を当てる
2. 残りの4本指でそこをつまみ、腕を下ろす
3. つまんだところを揺らしながらほぐしていく
4. 4本指をずらしながら、周辺をほぐす
『10秒で絶好調になる 最強のストレッチ図鑑』93ページより引用
運動前や寝る前に行うと、息をしっかり吸える体に変わるそう。
本書では肩こりのみならず、全身を網羅。一冊あると強い味方になりそうです。まずは気になる悩みに合わせて、10秒ストレッチにトライしてみましょう。
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[ 10秒で絶好調になる 最強のストレッチ図鑑 ]image via shutterstock