発端は、2012年にFACTというFacebookページで、「おなら1回につき67kcalが消費できる」という内容が投稿されたこと。科学的発見としてネット上で多くの人に拡散されました。同じカロリーを消費するには、早歩きなら15分間かかります。本当におならでそれほどのカロリーが消費できるのか、誰もが知りたがりました。
あれから8年が経った今でも、「おならでカロリーは消費できるのか?」とGoogle検索する人は、1か月におよそ4,400件に上ります。解明すべきことはたくさんありますが、ひとつずつ見ていきましょう。
そもそもおならとは?
image via shutterstockおなら(鼓腸、ガス溜まり)とは、お腹や腸に溜まった過剰なガスのことで、お腹の張りや放屁(肛門を通じてガスが排出されること)を引き起こします、と米国国立衛生研究所(NIH)は説明します。おならが臭うのは、少量の硫黄分が含まれるためです。
おならは普通のことで、誰もがガスを持っています、と米国国立衛生研究所(NIH)。一般的に、ガスの蓄積とおならは「空気の飲み込みと腸内でのガス生成」によって引き起こされます、と話すのは、米国肥満専門医認定委員会(ABOM)の専門資格取得者で肥満専門医のスペンサー・ナドルスキー医師。ダイエット本『The Fat Loss Prescription』も執筆しています。
米国国立衛生研究所(NIH)によると、過敏性腸症候群(IBS)や乳糖不耐症などの症状を持つ方は、普通の人よりおならをしやすい傾向があるそう。ですが、もう一度言います、定期的におならが出るのは普通のことです。
おならでカロリー消費はできる?
image via shutterstock皆さんが気になっている点ですよね。残念ながら、ネット情報をむやみに信じてはいけないという証拠がまたひとつ増えただけのようです。おならで67kcal消費できるというのは嘘です、とナドルスキー医師は言います。
むしろ、おならでカロリーが消費されることはほぼないんだそう。カロリーが消費されるのは筋肉が活性化したときですが、おならは肛門の筋肉がリラックスしたときに出ます、と説明するナドルスキー医師。「おならは自発的に行うものではなく、自然に出てしまうもの。ガスが通っただけではカロリーは消費できません」。もちろん、おならを無理やり出したとしてもカロリー消費にはつながりません。
では、なぜおならをすると体が軽くなった気がするのか?
おならをしても、実際に体重が軽くなるわけではありませんが、軽くなった気がするのは当然です。お腹の張りが消え、スッキリするからです。「おならによって、腹部の膨張感がなくなります。だから軽く感じるのです」とナドルスキー医師。
おならの回数が増え長引くような場合は、病院で隠れた疾患がないか調べてみてもいいかもしれません。
最後にもう一度言っておきます。おならをしてもダイエットにはつながりませんよ。
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Korin Miller/Does Farting Burn Calories? A Weight Loss Doctor Clears the Air, Once and For All /Seina Ozawa(翻訳)