目のうるおい不足にも、エストロゲンが関係?
「ドライアイ? 老眼?」
年齢を重ねるにつれて感じるのは、目が疲れて、涙が出る、痛い、目が乾くといった症状です。そのうちに、目がかすむ、チカチカする、ショボショボする、ゴロゴロする、まぶしくてつらいなどの症状が出てきます。
目の表面は、涙によってうるおい、保護されています。涙の量が減り、涙の成分が変化して目の表面を覆っている涙の膜が少なくなり、目の表面の粘膜が乾燥した状態がドライアイです。
肌のトラブルにたとえると、まさに目の肌荒れ状態。
パソコンやスマホなどで目を酷使し、乾燥やコンタクトレンズによる負担、ストレス、睡眠不足などが加わって、多くの人がドライアイに悩まされています。
さらに、エストロゲンの分泌量低下によって、皮膚や粘膜のうるおいが不足してきます。目も粘膜ですから、目のうるおいも不足します。
加齢によって目の粘膜が弱まることも、ドライアイに関係しています。ドライアイになると、目の不快感や痛みなど、さまざまな症状が現れ、ひどくなると目を開けていることさえつらくなります。
老眼は、水晶体の弾力が失われるから
老眼は、メガネの度は合っているはずなのに、スマホやパソコンを見たりすると、疲れてしかたがないなどの症状が出てきます。
さらに進むと、焦点がどこに合うのかわからなくなることもあります。近くのものに焦点を合わせようとすると、時間がかかってピントが合いにくいなどがその例です。
目が疲れやすく、文字が見えにくくなったら、老眼のはじまりかもしれません。老眼とは40歳を過ぎるころから感じる目の老化のことをいいます。
老眼は、近くを見るときにピント合わせるための水晶体が老化によって、弾力を失い、調節力が衰えて起こるものです。
夕方、薄暗くなると見えにくくなり、老眼のはじまりに気づく人も多いようです。
40代前半では疲れ目が続いて、以前に比べて近くのものが見えにくいといった程度ですが、45歳ぐらいから目の老化がさらに進んで、小さな文字がだんだん読みにくくなってきます。こうなると、目のためにも眼鏡(老眼鏡)が必要になります。
水晶体に含まれるコラーゲンは、エストロゲンが関係
老眼のほか、まぶしい、目がかすむ、明るいところで見えにくいと感じているうちに、視力が落ちてくる病気があります。白内障です。白内障は水晶体がにごって、視力が低下する病気です。
老眼や白内障の原因となる水晶体は、コラーゲンなどが含まれています。このコラーゲンの生成には、女性ホルモンのひとつ、エストロゲンが大きく関係しているのです。
エストロゲンが低下すると、コラーゲンが減っていきます。そのため、女性ホルモンが低下すると、目が疲れやすくなったり、かすんで見えにくくなったり、ピントが合いにくくなります。
頭痛や肩こりは、老眼が原因のことも
ドライアイや目の疲れを感じたら、眼科で検診を受けて、遠近両用などの多焦点レンズの適正なメガネをかけましょう。
つらい頭痛や肩こりは、老眼が原因かもしれません。「まだ老眼鏡は必要ない」と無理をしていると、肩こり、頭痛がひどくなってきます。文字が見えづらいために、無理な姿勢をとっていることもあります。
目の調節が合わないまま、近くを見る作業を続けていると、疲労感もたまります。頭痛や肩こり、疲れが続いたら、眼科でチェックをしてみましょう。
美容のためにも、適正なメガネが大事
多焦点レンズには、遠近両用レンズのほかにも、中距離と近距離だけに絞った中近両用、遠距離と中距離に絞った遠中両用などの組み合わせもできます。
デスクワークで書類を見たり、パソコンで作業したりすることが多い人は、中近両用レンズを使うと目が疲れにくくなります。
単焦点レンズのいわゆる老眼鏡は、メガネをつけたり外したりするため、目が疲れ、ドライアイが起こりやすくなります。
ある程度、老眼が進んできたら、遠近両用などの多焦点レンズにしたほうがいいといわれています。コンタクトレンズに慣れている人は、遠近両用などのコンタクトレンズもありますので、試してみてもいいでしょう。
これまで視力に自信があった人ほど、メガネをかけることに抵抗を感じるものです。美容上の理由から、メガネをかけたくない気持ちもわかります。
でも、裸眼で近くを見ようとすると、目を細めたり、眉間にシワを寄せたりします。無意識に出てしまうこうしたクセや表情が、眉間の表情ジワの原因にもなるのです。それに、顔をしかめて、ものを見る姿は、決して魅力的とは言えません。
メガネは、ファッションでもある
しかめっ面をするよりも、メガネをかけて、レストランのメニューなどをスマートに見たほうが魅力的です。おしゃれで個性的なメガネもさまざまありますので、ファッションのひとつとして取り入れてみましょう。
老眼は、40~60歳ころまで進行します。だいたい2~3年でレンズの度数が変わるので、何度かレンズを変える必要があります。
使っている眼鏡が見えにくくなったら、目のためにも我慢せず、検査をして新しいレンズに変えましょう。老眼は60歳を過ぎると、度の進み方も遅くなり、70歳くらいでほとんど変わらなくなります。
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増田美加・女性医療ジャーナリスト予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ