古い日本家屋を改装した空樒は、オープンから1年半と奈良では新しいショップ兼ギャラリー。
空樒は、古い日本家屋を改装した、手仕事の器や道具を扱うショップ兼ギャラリー。キュキュっと音をたてる板の間に、日本各地の暮らしの道具が並べられ、畑を臨む畳の間ではワークショップやライブがおこなわれることも。
ワークショップやライブをおこなう畳敷きの部屋。扉を開け放ち清々しい風が入ってきます。
柿の木が3本ある庭には「ときどき鹿たちが遊びにやってくるんですよ」とオーナーの五井あすかさん。
春日大社、奈良ホテル、志賀直哉旧居、新薬師寺などすぐ近くにあり、奈良の宝物に囲まれています。想像以上にすばらしい環境とすてきな建物に、到着した途端、言葉を忘れてひたすら室内を歩き回り器や道具を愛でました。
器が並ぶ空樒の洋室。器が光を受け止めている。
今回の企画展「suttle difference」は、ピカソと同時代に活動したイタリアの画家、ジョルジョ・モランディがテーマ。自宅のアトリエにこもりビンや器をひらすら描き続けた作家の作品は、一見同じように見えながら必ず差異(suttle difference)があり、彼の姿勢と作品から多くのことを感じ取ることができます。それを、東康秀さんは写真、福岡彩子さんは陶芸、私は文章で表現。会場での販売用に作品集も制作しました。
20世紀を代表する陶芸家、ルーシー・リーに憧れて陶芸の世界に飛び込んだ福岡彩子さん。大阪府堺市で開催されるクラフトフェア「灯しびとの集い」の発起人でもあります。
「suttle difference」では、白と黒(直に見るとグレーや茶)の小さな花器やピッチャーが100以上ずらり。ひとつずつ違う色と形を目と手で確かめ、中から2つ自分の家に持ち帰ってきました。
福岡彩子さんのプチシリーズは2千円代から。
福岡彩子さんのプチシリーズ、花器やピッチャーとして使うこともできるし、飾っておくだけでも絵になります。
私と東康秀さんがお話をおこなうお茶会では、奈良でインターネットのみの販売をおこなうバウムクーヘンショップ「デルベア」のバウムクーヘンを、福岡さんのリム皿にのせてお出ししました。
福岡彩子さんのリム皿に、デルベアのバウムクーヘンをのせて。お茶会の様子。
手も料理もテーブルもしなやかに受け止めてくれる福岡さんの器。リム皿とカフェオレボウルを2つずつ求めたため、帰路の電車の中では食卓に並ぶ翌朝が楽しみで、ひざに抱えて始終にんまり。小さな花器もこれから迎える冬の部屋を、小さくもたくましく彩ってくれるでしょう。
我が家にやってきた、福岡彩子さんのリム皿(2940円)とカフェオレボウル(2940円)。
たくさんある小さな花器の中からこの2つを選びました。
[suttle difference]
東泰秀×甲斐みのり×福岡彩子
日時:10月3日~14日 11:00~18:00 火曜日休み
会場:空櫁
住所:奈良県奈良市高畑町1445-1
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩30分/市内循環バス破石駅下車徒歩10分
(甲斐みのり)