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静かな深い森を歩いていると、だんだん人の気配が薄れ、森自体が一つの存在のように世界を覆い、そこに呑み込まれていくような気分になることがあります。そんな時、静かだと思っていた森に、数え切れないほどのささやきが満ちていることに気がつきます。遠いせせらぎの音、木々を抜ける風が鳴らす葉の音、枝のしなる音、小鳥の声......。それらは相まって、まるで自然のオーケストラのようです。
森のささやきを聞ける場所を。
この森のささやきを集め、リラックスして聞ける場所を作ってはどうだろう? そう考えたのは、エストニアの室内建築を専攻する学生たち。建築家Hannes Praksの指導により制作したのは、巨大なメガフォン型の木造集音器です。国土の51%が森林というエストニアでは、森は空気と同じくらい当たり前に皆で分け合うもの。散策、トレッキング、そしてキャンプと、普段から人々にとって身近な場所でもあります。
© Tõnu Tunnel
自然のコンサート会場
1年以上かけて実現したこの木造巨大メガフォン3器は、去る9月18日、ラトヴィアとの国境近くの森に設置されました。それぞれのメガフォンが拾う森のささやきが、丁度よく交わりシンフォニーとなるよう計算された場所に置かれたそうです。
© Tõnu Tunnel
ただ、音を集めるだけでなく、散歩途中になかで寛ぐのにも、雨宿りをするのにも適しています。小さなイベント会場としても使えるでしょう。森と共存する人々が考えた自然のコンサート会場は、森と同じように皆で共有し、大切な時間をはぐくみ合う場所となりそうです。
[Estonian Academy of Arts ,Mr. Mondialisation ]
RSSブログ情報:http://www.mylohas.net/2015/10/049546forest.html