でも、物を買って得られる幸福感と、旅行などで感じる幸福感には、どうもその質に違いがあるようです。
「経験」は色あせることなく残る幸せ
アメリカ合衆国コーネル大学の心理学教授で、お金と幸せの関係についてのエキスパートであるトーマス・ギロヴィッチ氏の研究について、海外サイトの「Your Tango」で紹介がありました。それによると
いちばん長続きする幸せは、旅行やアウトドア、新しいスキルの習得、美術館を訪れる、などといった「経験」にある
(「Your Tango」より意訳引用)
そうです。逆に、物を買ったときの幸福感は長くは続かないといいます。
トーマス氏はその理由を、「人間の適応能力にある」と話しています。つまり、物は買ったときには満足感を得られ、幸せに感じるけれども、時間とともにその存在に慣れてしまい、最終的にはその物に対する幸福感も薄れるということです。
私が以前ニューヨークに滞在していたときの経験ですが、暮らしはじめた当初、日本よりもブランド品が安いため、買い物に夢中になった時期がありました。でも、そのうち買い物には興味がなくなり、アメリカ国内を旅して周るようになったのです。
当然貯金は底をつき、結局、買った物の大半は手放して帰ってきました。旅はドミトリー滞在の貧乏旅行でしたが、その経験は時間がたったいまでも、色あせることなく残っています。
そんな自分の経験と照らし合せてみても、「物」よりも「経験」を通じて得た幸せは、長続きするだけではなく、自分の人生の一部として残るのだなと感じます。
また、物はそのときの自分の趣向を反映しているので、自分の成長とともに不必要になることも多いですよね。一生モノの幸せを探すのであれば、物よりも経験を買うこと。それが、何よりも贅沢な選択なのではないでしょうか。
image via Shutterstock