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ブロマガ配信小説『カエルの楽園』最終回
2016-02-12 07:00102pt -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十八回
2016-02-05 07:00102pt★【皆さんにお願い】
この作品の著作権は百田尚樹にあります。したがって、このテキストを作者に無断でネット上にアップしたり、メールで拡散したりする行為は、著作権法違反にあたります。くれぐれもそのような行為はお慎み下さるようお願いいたします。
※(著作権を故意に侵害した者は、一〇年以下の懲役または一〇〇〇万円以下の罰金に処せられます)
『カエルの楽園』第三章
すぐに元老会議が開かれました。
でも元老たちもどうしていいのかわかりません。皆、頭を抱えるばかりです。
「これは何かの間違いに違いない」ようやくガルディアンが言いました。「これはただの事故だ。そうに違いない。だから、もう同じことは起こらない」
その言葉に元老たちはほっとしたような顔をしました。
でも元老会議を見つめるツチガエルたちはおさまりません。誰かが「報復すべきだ」と言いました。すると多くのカエルが「そうだ、そうだ」と言いました。やがて「報復だ、報復だ!」という大合唱になりました。 -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十七回
2016-01-29 07:00102pt★【皆さんにお願い】
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『カエルの楽園』第三章
その夜、デイブレイクはハスの沼の集会で演説しました。
「今、南の草むらにウシガエルがいるが、このことで必要以上に不安に感じることはありません。皆さんの中には、もしかしたらウシガエルはずっと居座るのではないかと思っているものもいるかもしれません。しかしそんなことはないのです。雨はいつかやむように、夜はいつか明けるように、ウシガエルもいつかは南の沼に帰るはずです。なぜなら彼らは平和を愛するカエルだからです。しかし――」 -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十六回
2016-01-22 07:00102pt★【皆さんにお願い】
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『カエルの楽園』第三章
6
二日後の朝、草原の広場において、ナパージュが「三戒破棄」を認めるかどうかの全ツチガエルによる採決が行なわれることになりました。
その日は雲ひとつない快晴で、朝からうだるような暑い日でした。それでも病気やケガやその他の事情で来られないツチガエル以外は皆、参加しました。ピエールたちが「自分たちも採決に参加させろ」と主張したようですが、それは認められませんでした。 -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十五回
2016-01-15 07:00102pt★【皆さんにお願い】
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『カエルの楽園』第三章
ハスの上にはまた別のカエルが上がっています。
「あれは誰ですか?」
ソクラテスはハンドレッドに訊ねました。
「知らんよ。とにかく今日は、デイブレイクが三戒を守ろうというカエルを片っ端から集めて来たんだろうよ。さっきから、三戒を破棄しろというカエルは一匹もハスの上には上がっていない」
ハスの上でそのカエルが大きな声で叫んでいます。
「わたしは他のカエルを殺すくらいなら、殺される方を選びます。三戒を守って、黙って死んでいきます」
沼のカエルたちの多くが拍手しました。
ソクラテスは「殺すよりも殺される方を選ぶ」という言葉を聞いた時、言いようのない違和感を覚えました。というのも、ナパージュに来るまで多くの仲間たちが殺されるのを見てきたからです。殺されるというのは、本当に恐ろしいものです。目の前で母親を殺された、足が生えたばかりのオタマジャクシも見ました。また生まれたばかりのオタマジャクシを殺された母親も見ました。 -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十四回
2016-01-08 07:00102pt★【皆さんにお願い】
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『カエルの楽園』第三章
4
翌日の元老会議でも、プロメテウスは断固とした口調で、再度「三戒」の破棄を訴えました。ガルディアンを初めとする三匹の元老が反対を唱えましたが、プロメテウスと、その意見に賛成する元老、合わせて四匹の方が数でまさっていました。
小島を取り巻く池には、前日以上に多くのカエルたちが集まっていましたが、前回のような混乱の防ぐためか、小島の周囲には元老を守るカエルたちがいました。
まずプロメテウスが発言しました。
「ウシ -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十三回
2015-12-25 07:06102pt皆さん、今回が今年最後のメルマガです。百田尚樹チャンネルにご登録していただいた皆さん、半年間、本当にありがとうございました。また日邦レンタカー運営の時からお付き合いくださっている皆さんも、本当にありがとうございました。
来年もブロマガ、動画ともに頑張っていきますので、何卒よろしくお願いいたします。
日本は今、本当に激動の時代に突入したと思います。この二、三年の舵取りを誤ると、取り返しのつかない事態に陥ります。いや、大袈裟ではなく二〇一六年は日本にとって「正念場」の年になるかと思います。
二〇一六年は私も六十歳を迎えます。還暦です。
もうあまり人生の時間が残っていません。その残された時間に、日本のために何ができるかを真剣に考えています。といっても平凡な男である私には、たいしたことはできません。でも、日本という国に育ててもらった恩返しを、少しでもして死にたいなと思っています。私が死んだ後も、この素晴らしい国で、多くのこどもたちが笑顔でいられるような国であることを願っています。
『カエルの楽園』は、いよいよ最終章に突入です。
今回は年内最後ということで、出血大サービス、一挙三十六枚(原稿用紙換算)の大増ページです!
年末年始にゆっくり読んでいただけたらと思います。
最終章からは物語が恐ろしい形で展開していきます。書いていて辛い、と思うことが何度もありました。でも、この小説は、一種の使命感のようなものに突き動かされて書いています。
二〇一六年は、私が小説家になって十年目の節目の年です。その年に、こういう作品を書くことができたのは、何かの縁のようなものを感じます。
『カエルの楽園』が読者の皆さんの心にどんな形で届くのかはわかりません。でも、この作品は私が心血を注いで書いた作品です。最後まで真剣に書ききります。
なお、来年のメルマガは一月八日からスタートします。ニコ生の動画は十一日(21時)からスタートします。
それでは皆さん、よいお年を!
来年もよろしく!
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『カエルの楽園』第三章
1
翌日、からりと晴れた空の下、元老会議の小島で、ガルディアンは集まったツチガエルたちに言いました。
「昨日、スチームボートに会って、提案された協定は受け入れられないと伝えた。スチームボートは意外そうだったが、お前たちがそう決めたなら、しかたがないと答えた」
カエルたちは歓声を上げました。
「この際だから皆さんにあらためて言っておく」ガルディアンは言いました。「三戒はかつてスチームボートが作ったという誤った考えが一部にあるようだが、それは違う。スチームボートはあくまでも三戒を提案しただけで、それを国の戒めとしたのはナパージュのカエルである。したがって三戒は我らのものである」 -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十二回
2015-12-18 07:00102pt★【皆さんにお願い】
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『カエルの楽園』第二章
次の日、元老会議が行なわれました。
この日は朝からずっと雨が降っていたこともあって、小島の周囲には大勢のカエルたちが集まっていました。ソクラテスとロベルトもそこにいました。
会議の冒頭にプロメテウスが発言しました。
「昨日、南の崖を登ったウシガエルは五匹を数えました。これはハンニバル兄弟が確認しています」
元老たちの顔には明らかに動揺の色が浮かびました。
「もはや一刻の猶予もなりません。スチームボートとの協定を結ぶ必要があります」
いつもならすぐに反対の声を上げる元老たちも黙って聞いています。おそらく、ウシガエルが一挙に五匹も崖の上に姿を現したという事実を深刻に受け止めているからだろうと、ソクラテスは思いました。
「たしかにスチームボートはわたしたちを利用しようとしているのかもしれません。それは絶対にないとは言えません。しかしわたしたちもまたスチームボートを利用しようとしているのです。すべて自分たちだけが得をする約束事というのは、この世に存在しません。それはあまりにも都合のいい考え方ではないでしょうか。スチームボートが誰かに攻められたならば、わたしたちは彼を助けるために一緒に戦わねばなりません。その代わり、わたしたちがウシガエルから攻められたときは、スチームボートが助けてくれるのです。この恩恵は限りなく大きなものがあります」
元老たちはみんな考え込んでいます。
「みんな、騙されるな!」 -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十一回
2015-12-11 07:00102pt★【皆さんにお願い】
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『カエルの楽園』第二章
翌日、再び元老会議が開かれました。
この日も、何もするべきではないというガルディアンたちの意見と、ウシガエルが登ってこられないように策を練るべきだというプロメテウスの意見とがまっこうからぶつかり、一日かかっても結論は出ませんでした。
ところが、その日の夜、南の崖の上に、今度はウシガエルが二匹現れたという情報がもたらされました。これまでは一匹だったのが二匹になったということで、カエルたちも恐怖にふるえました。
にもかかわらず、翌日に開かれた元老会議でも議論は相変わらず平行線のままでした。
その日の会議の終わりに、プロメテウスは言いました。
「このままでは何も進みません。そこで、別の案を提案したいと思います。スチームボートに、南の崖を見張ってもらうというのはどうでしょう」 -
ブロマガ配信小説『カエルの楽園』第十回
2015-12-04 07:00102pt★【皆さんにお願い】
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『カエルの楽園』第二章
プロメテウスの言葉は、元老会議を見ていたカエルたちに衝撃を与えました。
たしかにナパージュのカエルたちは「三戒」を守って、他のカエルを信じて争いはしませんが、ウシガエルの国には「三戒」はありません。ないものを守るはずはありません。
「たしかに、そうだよな」
ロベルトがソクラテスに言いました。ソクラテスは心の中で、そんなことは最初からわかっていたことではないかと思いましたが、口にはしませんでした。
プロメテウスはさらに言いまし
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