4年がかりの開発で生まれた特殊スポンジ
Sponge Suit(スポンジスーツ)と名付けられたこの水着。プラスチック製のサポートと、特殊スポンジでできています。海の汚れを取り除く役目を果たすのは、このスポンジ部分です。
特殊スポンジを開発したのは、カリフォルニア・リヴァーサイド大学の技術者グループ。スポンジは、砂糖から派生した成分でできていて、自身の25倍の有害成分を吸い取ることができます。想像しにくいですが、スポンジとは言っても、疎水性の高い素材なので、水分は一切吸収しないそうです。
開発者の一人、オズカン教授によれば、
「有害物質はすべてスポンジの目に見えないナノサイズの孔に取り込まれ、肌には一切触れない」
(ConsoGlobeから翻訳引用)
ということで、水着を着る人の健康への悪影響もありません。普通の水着が、海水も有害成分も区別なく通すことを考えれば、有害成分が肌に触れないという点では、この水着の方が安心とも言えます。ちなみにスポンジ部分は約20回使用可能で、そのあとは加熱処理で有害成分と分離したのち、再びあたらしいスポンジとしてリサイクルできます。
「環境に悪影響を及ぼさず、生産も採算の合う、素晴らしい素材」
(ConsoGlobeから翻訳引用)
とオズカン教授も太鼓判を押しています。
3Dプリンターでつくられたプラスチック製サポート
4年の研究が生み出した特殊スポンジを水着にするため共同開発に加わったのは、デザイン建築オフィスEray Carbajo社です。同社によるプラスチック製サポートは、しなやかで軽く、近未来的ともいえるフォルムをしています。オズカン教授によれば、「スポンジの多孔性と、波の形」にヒントを得たデザインだそうで、その独創性には、私も一目で魅了されました。
技術とデザインの2点で評価されるイノヴェーションコンクール「Reshape Wearable Technology Competition 2015」で、最優秀賞を受賞したというのも、うなずける話です。同社によれば、現在2017年夏の商品化を目指して準備中とのこと。待ち遠しい話です。
水着一着できれいにできる海の範囲はわずかなものかもしれませんが、まさしく大海も一滴の水から。同じ着るなら、こういう水着で海水浴を楽しみたいと思うのは、私だけではないでしょう。
[ConsoGlobe,Eray/Carbajo,Reshape]