『100分 de 名著 アドラー 人生の意味の心理学』での岸見先生の解説によると、過去には意味づけがあり、その過去のことを思い出す人の「今」が変わることで、意味づけも変化し、過去が変わるというのです。
『100分 de 名著 アドラー 人生の意味の心理学』NHK出版 / 566円(税込)たとえば、先生の友人は犬に噛みつかれた記憶から、世界は危険なところだと考えるようになったとか。ところが時がたち、世界はそんなに怖いところではないと思いはじめたところ、ずっと忘れていたけれど、じつは犬に噛まれた後に、しらないおじさんが病院へ連れて行ってくれたことを思い出すのです。それまでは噛まれて終わりだった悲しい過去も、続きを思い出したことで、人のやさしさに触れるストーリーへと変化したのです。このように、世界について「今」している意味づけが変われば、過去も変わっていくのですね。
見方を変えれば、過去も変わるこのようにわかりやすい例は少ないかもしれません。でも、たとえばわたしの友人が、30年以上前の出来事をいまだに恥ずかしく、ネガティブにとらえているという話がありました。その出来事はクラス中に知れ渡り、みんなに長い期間いじられたというのです。でも、当時彼女と同じクラスで仲も良かった私が、そのことを何一つ覚えていませんでした。そこで彼女は「もしかすると、ほかの人にとってはその程度のことなのかも」と見方を変えたのです。すると、恥じていたはずの記憶が、子どものころ特有の甘酸っぱい笑い話に変わったのです。
過去も未来も、対人関係すら変えられるこういった話なら、誰しも大人になるとひとつやふたつあるのではないでしょうか。過去に対する印象が変わっただけだと思いがちですが、意外と事実だと信じていることも、主観的な記憶や意味づけによるところが多く、あいまいなものです。そうだとすると、ほかのことも「今」をどう意味づけするかで変わってくるはず。過去や未来だけでなく、対人関係でも、自分に対する評価でも、変えたければ自分で意識的に変えることができるのかもしれません。
[NHK出版]
photo by Thinkstock/Getty Images
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