そんななか出会ったのが、臨床心理学者パット・パルマーの『自分を好きになる本』(径書房)。私は、その本から自己肯定感を高めるためのヒントを受け取りました。
自分の気持ちを確かめる〈きもち〉は、心の中で、あなたにとっていちばん大切なことを教えてくれる。
〈きもち〉は、なにをするか、なにを言うか、なにが好きか、なにがキライか、あなたが決めるのを助けてくれる。〈きもち〉って、ほんとにいい友だちだ。
(『自分を好きになる本』p.20より引用)
ここを読んではっとしたのは、自分で自分の気持ちがよくわからないまま、過ごしてしまうことがあるから。にこにこ笑って人の話にうなずいて、違う意見など唱えないほうがうまくやっていける......。そんな知恵がついてしまった私は、たびたび自分の気持ちを押し殺してきました。
ところがそれをつづけた結果、感情が動かなくなってきました。本当は何をしたくて何をしたくないのか、私自身の声がきこえなくなってしまったのです。
このままでは自分を受け入れることはむずかしい。そう気づいてから、この本を手がかりに、かなり奥へと引きこもってしまったきもちを、少しずつ確かめ始めました。
ポジティブではない気持ちも認めるなぜ、周りに合わせようとすると、自分の気持ちに耳をふさぐことになってしまうのでしょう。
「楽しい」「うれしい」といったポジティブな気持ちなら表明しやすいのですが、実際の気持ちはふり幅が大きいもの。おびえたり悲しんだり、ときには激しい怒りが湧きあがることも......。そうした強い感情をあらわにしすぎては、周囲に迷惑をかける場合もあるものです。
けれども、おさえこんでばかりいては、気持ちは元気をなくすばかり。前向きだろうと後ろ向きだろうと、自分の状態はあるがままに認める必要があります。
気持ちを言葉で説明するパット・パルマーが教えてくれたのは、負の感情を感じてもいいから表現のしかたを練習すべきだということ。
たしかに、だれかの言葉に傷ついたとき「あなたはひどいことを言うのね」と人の言動をなじるような形をとっては、相手が気分を害してしまうでしょう。同じ内容でも「私は〇〇と言われたとき、つらくなってしまう」のように、自分がどう感じたかにフォーカスしてみると、人を責めることなく思いを表すことができます。大切なのは、ほかのだれかでもなく自分の気持ちを説明することなのです。
私はいまも自分の感情や感覚を外にとき放つ練習をつづけています。表に出すことを決めたときから、気持ちの声はだんだん力強くなってきたような気がしています。
[『自分を好きになる本』]
image via Shutterstock
(木谷梨子)
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