というのは、アダンの葉をのすためにこのマシーンを使うらしく、「これに通すと葉が薄く平べったくなって均一になるのよ。製麺機を通すと通さないでは仕上がりのきれいさが違うの」だとか。
沖縄には、アダン(ハワイでいうラウハラ)があちこちに自生しているから素材には事欠かない。アダンでかごや帽子を編んだり、手先がめっぽう器用な彼女はせっせとアダンの葉を製麺機にかけているらしい。それも、のす幅が広いとよりいいらしく、またそんなレアな製麺機はマニアにもたまらないとかで、某オークションでは高値がつくとか。彼女のマシーンは部品にところどころ真鍮が使われており、調度品としてもかなり美しい。
そんなお宝マシーンを、牧場のカウボーイカウガール、いや、馬だからホース? とにかくキッズ達は粉だらけの手でせっせ、せっせと麺作り。そう、今日は初めてのラーメン作りの日。
九州産の石臼挽き麺用小麦に粟国の塩、重曹、牧場の玉子とやんばるの水でまずは手でこねる。今回は4、5キロの粉を使った。そしてその生地をビニールで包み、足で何度も何度も踏んで馴染ませる。それから寝かせる。最後に製麺機を何回も通して平たく伸ばし、最後に麺状にする。
スープは廃鶏、アゴ、セロリの葉、長ネギの青い部分、玉ネギ、ニンニク、生姜。味は醤油。最後に葱油を加え、コクを出す。チャーシューは豚のうで肉を酒と醤油、香味野菜で下味をつけて、じっくり低温で蒸し焼きに。他にトッピングは小松菜と葱。
思いのほか、生地を伸ばすのに時間がかかり、1時ごろようやく第一陣目が完成した。大きな寸胴鍋にぐらぐらと湯を沸かし、麺を茹でていく。その所要時間は1分。そして茹でる時の分量は、手間でも一人分の麺ずつ茹でた方がいい。でないと、麺同士がくっついてしまって、麺というより団子になってしまう。そして「しっかり湯を切って、というのがコツだよねー」とか言いながら、気分はラーメン屋のノリでやったら案の定、麺をあちこちに飛ばした母たち。
各自、持参したどんぶりを手に、気がついたら行列が出来ていた。
麺はほんとは2、3日寝かせた方がいいのだけれど、今回は製麺機で作る麺が主役だから、すぐに食べることに。でも、とっても美味しかった! それに、子どもや大人が夢中で麺をすすっている様も、なかなか微笑ましかった。
「次回は担々麺だね」「味噌ラーメンもいいよね」など、気がつけばラーメン道の門をくぐってしまったのだった。というのは、大げさで......。
そして実はうちの息子の11歳の誕生日でもあったので、食後はバースディケーキを。全粒粉配合のざっくりしたスポンジ生地に大山の純生クリームをたっぷり塗って、最後に糖衣してあるカカオニブのクランチで「RIKU」という文字を子どもたちが描いた。
ぶっすり刺さっている2本のハゼ製和ろうそくが、若干、八つ墓村風でもあるけれど、まぁ許してくだされ。雨の誕生日、いい1日だった。