「ベンガラ(紅殻、弁柄)」とは、土に含まれる酸化鉄という成分で天然の塗料。「ベンガラ塗り」として、昔から日本家屋などの建築材の塗装などに用いられてきました。しかし、建築材だけでなく、繊維を染めるための染料としても活用できるのだそう。今回は、大阪で繊維用のベンガラ染料を開発・販売している「ベンガラ専門店 古色の美」を取材しました。
「ベンガラ専門店 古色の美」の工房 ベンガラ染めが魅せる、深くやわらかな色合い一般的に、ベンガラといえば赤褐色の土を想像するかもしれませんが、「ベンガラ専門店 古色の美」のベンガラ染料には、24色ものバリエーションがあります。
ベンガラ染めをほどこした手ぬぐい 落ち着いた色合いのベンガラ染めは、老若男女問わない本当に土で染めたもの? と驚くほど豊かな色彩には、ベンガラ染め独特の奥深さや優しさを感じます。お気に入りの洋服や小物はもちろん、シミがついてクローゼットに眠ったままの白いTシャツなど、ベンガラ染めの力をかりて、自分の手で新たなモノへと生まれ変わらせる。こんな想像を膨らませるだけで、すでにワクワクしてしまいます。また、「ベンガラ専門店 古色の美」のベンガラ染めは、水さえあれば容易に染色できるそうで、染物の経験がない人でも気軽にトライしやすいのも魅力的。
環境にも人にも優しい、環境循環型の天然染料ベンガラ染めの魅力は、手軽さと色彩だけではありません。ベンガラは環境循環型の天然の染料。排水の心配をすることがなく、子どもから大人まで安全に染め物を楽しめるのもベンガラ染めの良さと言えます。
ベンガラ染めの原料「ベンガラ染料は、土壌分解される成分で作っていますので、染色で残った染料は土に流しても大丈夫です。染色の際に媒染剤や薬品を使うことなく、排水が安全なベンガラ染めは、みなさんとても気に入ってくれています。」(「ベンガラ専門店 古色の美」小渕さん)
少しハードルを高く感じてしまいがちな「染色」ですが、「ベンガラ専門店 古色の美」のベンガラ染めの場合、Tシャツ1枚を1色で染色するのにかかる時間は30分ほど。
「家事の合間でも手軽にできて、安全な染料。日常生活に染色を取り入れてほしいという願いがあります。」(「ベンガラ専門店 古色の美」小渕さん)
日常的に手軽に染物を楽しめると、これまで以上に自分が纏うものに意識が向いていきます。自分が纏っているもの、これから纏いたいものを考えると同時に、土という大地の恩恵を受けていることをあらためて感じました。
※写真提供:ベンガラ専門店 古色の美