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漢方って中国のもの?漢方医学の基本のき 10答【Vol.1 】
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漢方って中国のもの?漢方医学の基本のき 10答【Vol.1 】

2017-09-07 23:00
    ストレスの多い毎日を送っている私たちの味方になってくれるのが漢方薬。「身体にやさしそう」というイメージはあるものの、「苦そう」「高価」「飲み続けないと効果がないのでは?」など、なんとなく遠ざけてしまっている人も多いのではないでしょうか。今回は、漢方に関するさまざまな疑問をあきば伝統医学クリニック院長で、千葉大学柏の葉東洋医学センター医師の秋葉哲生先生に直撃。ココロとカラダの不調を改善してくれる漢方の基本を学んでいきましょう。


    Q1.漢方は中国のもの?
    A1.漢方は日本の伝統医学です



    「漢方薬は中国の伝統医学」というイメージがありますが、漢方は日本独自で発展したもの。中国の伝統医学とは一線を画すものです。世界的にも中国の伝統医学は「Traditional Chinese Medicine Chinese traditional medicene」、漢方は「Kampo」と区別されています。おととしから、ツムラと英国のオックスフォード大学医学部が共同で、漢方薬のメカニズムを西洋の科学的手法で解析する研究がスタート。がんや認知症など、医療の最先端分野でも漢方薬が使われるようになってきており、その活躍は目覚ましいものになってきています。


    Q2.金額が高いイメージがあります
    A2.病院で処方してもらえば1日あたり数百円とかなりお手頃


    中国に旅行をすると漢方薬局を回って数万円もする漢方薬を買うことになったり、街の漢方薬局でも一ヶ月分で数万円と非常に高価に販売されています。しかし、病院やクリニックで処方してもらえば一日100円程度と非常にお手頃価格。しかも、中国で売られているものは、成分も安定しておらず、日本で認可されていない農薬などが使われている危険性もあります。日本の医療機関で処方されるものは、効能・効果がはっきりしています。高価で効果もわからないようなものに手を出すよりも医療機関で安く手に入れたほうが安全で効果も高いのです。


    Q3.苦いイメージがあって飲むのが苦痛そう...
    A3.自分に合った漢方薬は美味しい!



    漢方のイメージを聞くと「苦そう」という答えがよく聞かれます。漢方薬は、人参やみかんの皮、しょうがなどをはじめとする天然の生薬が原料となっています。もちろん苦いと感じるものも中にはあるのですが、不思議なことに、自分自身の今の状態に合ったもの、または今の自分に必要なものを服用すると「美味しい」と感じるのです。苦いと感じるとなかなか飲み続けるのも難しいですが、美味しいと感じれば毎日飲むのも苦にはなりませんね。患者さんの中には「甘くて美味しいから飲むのが楽しみ」とおっしゃる方も少なくありませんよ。


    Q4.サプリメントと漢方はどう違う?
    A4.漢方薬はお薬。正しく飲むことが大事です


    サプリメントなどの健康食品は、いわゆる「食品」で、不足する栄養を補うものとされています。一方、薬は、薬事法という法律に基づいて、厚労省の許可を得られたものだけがその効果や効能をいうことができます。効果がある反面、副作用を引き起こす可能性もあるので、医師の処方のもとでないと手に入れることはできません。日本では、医療用医薬品として処方される漢方薬は約150種類もの種類があります。これらは「エキス剤」といって、生薬を煎じたエキス成分を抽出し、製剤化したもの。品質も厳しい条件によって保たれています。漢方薬はあくまでもお薬なので、医師に処方された通り、正しく飲むことが大事です。


    Q5.西洋医学との違いは?
    A5.西洋医学は患部のみを治療、漢方医学は全身のバランスを整えることで治療を行います


    例えば「頭が痛い」という症状で病院へ行くと、検査をしてその原因を特定し、頭痛を抑えるためのお薬が処方されます。西洋医学では、病気によって起きている痛みや発熱などの症状を和らげる対症療法が主に用いられます。一方、漢方医学では、全身のバランスを整えることで治療を行います。そのため、全身の状態を把握するため四診と呼ばれる独特の診察方法が用いられます。この四診という方法で、患者さんのココロとカラダの状態を把握します。漢方のよいところは、種類が多いこと。例えば便秘のお薬を例に挙げると、西洋薬では2〜3種類ですが、漢方薬は10種類ほどあります。痛みが少ないもの、胃痛もあるときなど"あの手この手"が効くのです。


    Q6.服用する漢方はどうやって決める?
    A6.同じ病気でも患者さんの状態で違うお薬が処方されることも


    漢方を処方してもらう際には、先ほどの四診で今の状態を探り、その人に合った漢方薬を医師が決定していきます。四診とは、患者さんの呼吸音や咳の音、口臭などを観察する「聞診(ぶんしん)」、患者さんの体型や動作、顔色や舌の色などを観察する「望診(ぼうしん)」、脈を見たり、お腹を触って状態を把握するなど、直接患者さんに触って診察する「切診(せっしん)」、痛みや食欲、睡眠の状態やこれまでかかった病気や生活習慣などを質問する「問診(もんしん)」のこと。この結果をもとに、漢方薬が処方されるのです。同じ病気でも患者さんによって処方が異なることもありますし、逆に違う病気なのに処方が同じ、ということもあります。



    Q7.飲み続けないと効果がない?
    A7.すぐに効く即効性のある漢方薬もあります


    漢方薬はさまざまな生薬を組み合わせたもので、少ないものだと2種類、多いものだと18種類の組み合わせでできています。基本的には、含まれている生薬の数が少ないほど即効性があると言われています。漢方薬の中でも最も即効性があるのが「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」というもの。これは足がつったときに飲むとすぐに効きますし、寝ている間に足がつってしまうという時でもベッドに入る前に服用しておくと、予防的にも用いることができます。その他にも風邪に用いられる葛根湯なども即効性のある漢方薬です。カラダ全体を整えるために長期間服用するものと、このように即効性のあるものと、その時々の状態に応じて服用できるのが漢方のよいところです。


    Q8.カラダに優しく、副作用がないイメージがあります
    A8.あくまでも「薬」なので副作用もあります


    日本で手に入る漢方薬には、医療用と一般用があります。医療用は保険診察で認可されており、一般用については、薬局の店頭での販売が認可されているものです。最近問題になっているのが一般用漢方薬の副作用です。漢方薬は、体に優しいというイメージがあるために手に取りやすいのですが、ご自身の体に合わない場合は副作用が出ることもあります。天然の生薬からできていますが、西洋薬と同じ薬であることには変わりありません。サプリや健康食品とは異なるものですので、自己判断が危険なこともあります。これは一般用だけでなく、中国などで購入する場合でも、効果以上に副作用が出てしまう可能性も少なくありません。もちろん医師のもとに処方されるのであれば自身にあったものを服用できると思いますが、薬局などで購入する場合は、体調がおかしいと思ったらすぐに病院で相談するなど慎重に服用するようにしましょう。


    Q9.漢方はどこで買うのがいい?
    A9.病院で医師のもと処方してもらうのが一番です


    先ほどの副作用のときにもお話したように、漢方薬はお薬なので、自己判断で服用すると危険なこともありますので、医師に相談して漢方を処方してもらうのがいいでしょう。街の漢方薬局で買う、という方法もありますが、漢方薬に用いられる生薬は、産地や取れる季節で成分も異なり、さらに煎じるときの条件によって濃度も変わるため、成分が一定でないことも。医師に処方してもらうエキス剤は品質も安定しており、成分も一定。何が入っているかわからないようなものは『漢方薬』とは言わないのです。最近では内科や婦人科などでも、症状によって漢方薬を処方してくれる医療機関も増えています。漢方薬を飲んでみたいときは、まずかかりつけのお医者さんに相談してみるとよいでしょう。


    Q10.どんな不調に効果がある?
    A10.女性の不調や病気とはいえない不調にも効果があります


    漢方医学では「ココロとカラダは一体である」という考え方で、カラダ全体のバランスを整えることに重点を置きます。ですから、あれこれと症状がある場合でも、1〜2種類を服用します。漢方薬はひとつの症状に対し、ひとつの薬ではなく、含まれている生薬の相乗効果によっていくつもの症状を緩和することができるのです。これこそが漢方薬の強みです。例えば、月経痛がひどく、むくみがあり、疲れやすい、冷え性などという場合でも1種類の漢方でこれらの症状が改善します。さらに、どんな漢方薬でもある程度の期間内服していると、風邪やインフルエンザにかかりにくくなるというデータもあります。それは、漢方薬に体質改善の効果があるからです。シナモンやみかんの皮など食品が元となっているものが多く、副作用も少ないですし、病院で処方されるものであれば値段も安価です。健康食品や栄養ドリンク、市販薬よりも、安全で安価ですから、健康改善のために、ぜひ自分に合った漢方薬を常備しておいてください。

    文/ 大場真代

    イラスト/ chao!

    秋葉哲生(あきば・てつお)先生
    千葉大学医学部卒業、旭中央病院で内科・小児科に勤務の後開業。
    医学博士、日本東洋医学会 評議員、和漢医薬学会 評議員、日本東洋医学会 漢方専門医・指導医、千葉大学大学院和漢診療学講座 客員教授、東邦大学 客員教授、2012年4月~ European University Viadrina(ドイツ) 非常勤講師(2017年まで)、2013年8月~ 台北医学大学大学院 客座教授(2015年まで)
    あきば伝統医学クリニック
    千葉大学柏の葉診療所

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2017/09/064504kanpo_01.html
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