日本語でいうと「これがちょうどよい」というような意味。または「多すぎず、少なからず」、あるいは「中庸」ともとらえられることができるようです。この単語はスカンジナビアを旅するとよく耳にする言葉だそうで、デンマーク語の「ヒュッゲ(hygge)」にも似ています。人々が大事にしている考え方や生活習慣、たとえば、多くを求めすぎたり、人と比べるような愚かなことはせず、いい意味で「脱力」、ときには「ポジティブにあきらめる」ことの大切さと気持ちよさを教えてくれます。
仕事だって、人間関係だって、物事にはバランスがあり、自分が気持ちよいと感じるところをアクティブに見つけ、感じ取り、そして線引きをする。ものすごいセレブでなくても、ほどほど働き、家族を大切にし、みんなが健康で幸せでいる。この「ほどほど感」や「やっぱり普通が一番」的な物事のとらえ方を実践することは、自分が物事の決定権を持つことを意味します。すると、まわりに振り回されることがなくなるから、心が満ち足りてくる。「ラゴム」の目的は、幸せの決定権は自分にあることを気づかせてくれることです。
メンタルの強さとは、物事に固執しないおおらかさ「ラゴム」はある意味「オープンマインド」であることとも言えます。自分にやさしく正直な人は、まわりの人にも総じてやさしく正直であるものですが、何事にも固執しない生き方というのは、実際はとても難しいこと。心理学を扱うサイト「Psychology Today」の中で著者は、自分が正しいと思うことが間違っていて、間違っていると思っていることが正しいということは世の中によくある、と主張。オープンマインドであることで、一つのことに固執することから逃れられるだけでなく、それに伴う数々の問題を避けることができ、楽に幸せに生きていけると説いています。
2017年は、この「ラゴム」をテーマとした書籍が続々登場。ヨーロッパではちょっとしたブームになっており、人々はスカンジナビアの人々のライフスタイルから、そのおおらかさへのヒントを学ぼうとしています。なんでも真似をすればいいというわけではないけれど、彼らなりの執着の手放し方、また人生の厳しい場面においても私たちが常に自分を見失わずにいられる方法や、そのための多くのヒントが見つけられるのではないでしょうか。
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