「子宮頸がんは、ゆっくりと進行するがん。ですから、これまで病気が進むまで症状のない人もいたのです」と、ノースウエスタン大学医学部で産科婦人科の臨床教授を務める医師、ローレン・シュトライヒャーさん(ノースウエスタン性・更年期医学センターのメディカルディレクター)は話します。
子宮頸がんの症状は、特別でもありません。「症状が特徴的ではないですから、ほかの病気である可能性もあります。ですから、何か症状が見られたからといって、子宮頸がんというわけではありません。症状を確認してもらったところ、何も深刻な問題ではないというのはよくあることです」と、シュトライヒャーさんは説明します。
「パップテスト」と呼ばれる細胞診検査を毎年受けることで、早期発見は可能です。
「がんの成長はゆっくりですから、毎年検査をして、婦人科を受診することで、子宮頸がんの異常から身を守ることになるのです」とシュトライヒャーさん。※日本では、厚生労働省が「2年に1回」の検診をすすめています。
でも、毎年の検査の間に何か症状が出たら、迷わず症状を確認してもらいます(子宮頸がんのサインは、ほかの一般的な良性の病気とも共通しています。過度に恐れるのは禁物です)。
以下、見分けにくい子宮頸がんのサインをみていきましょう。
1. 不正出血
医師のケシア・ゲイザーさんによると、不正出血は子宮頸がんのサインとなることがあるそう。ゲイザーさんは産婦人科の認定医。リンカーン医療センター周産期部門およびニューヨークにあるメンタル・ヘルス・センターでディレクターを務めています。
「子宮頸がんの症状ははっきりしたものではなく、さまざまな症状がみられます。でも、月経でもないのに出血したり、性交後や閉経後に出血がみられたりするのは、子宮頸がんのサインかもしれません」
また、いつもより経血量が多い、内診後に出血がみられる、膣洗浄のあと出血する、いつもより月経期間が長引くなどの症状も、子宮頸がんのサインである可能性が。
2. おりものが臭う
ゲイザーさんによると、おりものが水っぽくて悪臭がするとき、原因は色々考えられるものの、注意が必要とのこと。
乳白色で粘り気があるおりものは、まったく異常なし。でも、魚のような生臭いおりものは、病気のサインかもしれません。おりものの異常はよくみられることですから、すぐにこわがることはありません。
3. 慢性的な下腹部の痛み
腰や下腹部の痛みは、子宮頸部を含む生殖器の異常と関係していることも。
ゲイザーさんは、“慢性的な腰痛”に注意するよう呼びかけています。痛みが盲腸に近づいてきたときは、がんのステージが進んでいる可能性があります。すぐにかかりつけの医師に相談することをおすすめします。
4. 性交中の痛み
子宮頸がんが進行して、子宮頸部の組織にできた腫瘍が大きくなると、女性が性交中の痛みを感じる原因となります。
「セックス中の痛みや出血は、深刻な理由によるものではないことが多いです」と医師のシュトライヒャーさん。
「子宮頸部の炎症、膣感染症、子宮頸部や子宮頸管のポリープといった、それほど深刻ではない原因も考えられます。いずれにしても、性交後に異常があったり、いつもと違うと感じたりしたときは、すぐに検査することをおすすめします」
5. 食欲不振、原因不明の体重減少
ほかのがんと同じように、食欲不振や原因不明の体重減少には注意が必要です。
この症状だけでは子宮頸がんであるとはいえませんが、今までお伝えしてきたサインが数多くみられるうえに、食欲不振や体重減少の症状がある場合は、かかりつけの医師に要相談です。
次回の『Prevention』記事に続きます。
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訳/STELLA MEDIX Ltd.