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婦人科トラブルの相談、子宮がんの検査と治療を丁寧に/婦人科医・入江琢也先生
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婦人科トラブルの相談、子宮がんの検査と治療を丁寧に/婦人科医・入江琢也先生

2019-06-12 05:30
    「この不調、どこに相談したらいいの?」「病院では、どう対処してくれるの?」と悩む一方で、いざ病院に行こうと思ったとき、「どこがいいのかわからない」「ネット検索してもどこまで信用していいのかわからない」。そんな思いに応える連載「MYLOHAS Doctors」。

    VOL.4は、婦人科トラブル、特に“子宮頸がん”の検査、治療の相談に丁寧にのってくれる入江琢也先生(アイレディースクリニック新横浜 院長)を取材しました。

    VOL.4 婦人科/アイレディースクリニック新横浜 入江琢也先生

    特に大切にしている診療(得意分野)は?

    私の専門は、婦人科がんの検査や治療です。特に、子宮頸がんは20歳から40代に罹患率の高い疾患です。きちんと定期検診を受ければ、もしもがんが見つかったとしても、大きな手術の必要のない、初期の段階で診断が可能です。

    子宮頸がん検査は、痛みもなく、1分程度で終わります。子宮頸がん検査は、細胞診が最も一般的な検査です。

    自治体などで行う「子宮がん検診」でも、子宮頸部の細胞診を行います。スクリーニング検査として最も一般的に行われている検査です。検査方法は、子宮の入り口をブラシなどでこすって、細胞を採取する簡単な検査です。痛みはありません。

    子宮頸がんの検査の種類 子宮頸がん検査には、細胞診のほかにも、いくつか種類がありますので、紹介しておきます。先ほど紹介した細胞診のほかに、HPV検査、組織診があります。

    細胞診は、検診で行われる最も一般的な検査です。 HPV検査は、細胞診で異常が出た場合(細胞診の判定がASC-USの場合)に行われます。 組織診は、細胞診の異常やHPV検査(+)の場合に精密検査として行われます。

    当院では、細胞診、HPV検査、組織診いずれも検査可能です。

    細胞診の検査結果では、「NILM」は異常なしを意味します。「ASC-US」、「LSIL」など、異常所見がある場合には、二次検査としてHPV検査や組織診を行います。

    以前は、細胞診の検査結果は、「クラスⅠ」や「クラスⅢa」など、クラス分類で結果が表記されていました。しかし、2008年から世界標準分類として、ベセスダ分類という方法で結果が記されるようになりました。現在、ベセスダ分類とクラス分類の併用で表記されている施設が多くあります。

    そのため、他院で行った子宮頸がん検査の結果がよく理解できないという方もいらっしゃいます。その場合も、遠慮なく結果をお持ちください。ご説明します

    もしも、上記の子宮頸がん検査で、「軽度異形成」や「中等度異形成」と診断された場合、その中には自然治癒しにくいものがあります。経過観察をしているうちに、「高度異形成」や「上皮内癌」に進行してしまうこともあります。

    以下のような場合、自然治癒しにくいことがあり、希望すれば、「高度異形成」に進行する前にレーザー蒸散術を行う対象になります。

    1年以上、「軽度異形成」や「中等度異形成」を継続している。 定期的な検査で、「軽度異形成~中等度異形成」を繰り返している。 HPV型が16、18、31、33、35、52、58型に感染している。

    約150種類あるHPV型の中で上記の7種は、自然消失しにくい傾向にあります。どのHPV型に感染しているかを調べる「HPV型別判定」検査があります。1年以上、「軽度異形成」や「中等度異形成」が継続している方は、保険で検査が可能です。

    当院では、上記に当てはまるような子宮頸部の異形成に対し、CO2レーザーを用いた「子宮頸部レーザー蒸散術」という治療法を行っています。子宮頸部レーザー蒸散術は、「子宮全摘手術」や「子宮頸部円錐切除術」と違い、妊娠・出産に影響を及ぼさないという特徴を持った治療法です。

    CO2レーザー

    どんな悩みや不安をもつ女性たちに受診してほしいと思いますか?

    デリケートゾーンのかゆみや生理痛、生理の量の変化、おりものの変化、不正出血など、日常生活に困る症状や不安なことがあれば、いつでも受診してほしいと思います。

    なかでも不正出血があった場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。不正出血は年齢に関係なく、がんなどの悪性の腫瘍が原因となっている場合があるからです。

    特に、更年期はホルモンバランスが崩れがちとなり、不正出血しやすい時期でもあり、子宮体がんが起こりやすい時期でもあります。心配のない一時的なホルモンバランスによる不正出血なのか、子宮体がんや前がんの病変による出血なのか、を自分で見分けることは困難です。

    当院にも、少量の不正出血が続いていたため、来院された患者さんがいらっしゃいました。検査で子宮体がんが見つかりましたが、がんの初期でしたので、すぐに手術を受けられて今は元気にしていらっしゃいます。きちんと検査をすれば、心配をして気を病むことはありません。

    また、生理痛はあって当たり前ではありません。子宮内膜症など、不妊症に関連のある疾患が見つかる場合もありますので、生理痛がある方は、我慢せずに受診してほしいと思います。

    婦人科医になろうと思ったきっかけや動機は?

    産婦人科に入局をして研修医となり、産婦人科研修を始めた慶應大学病院は、産科病棟と婦人科病棟が離れた場所にありました。そのため、産科の研修をしているときは、妊娠・分娩の患者さんのみ、婦人科の研修をしているときは婦人科疾患の患者さんのみを受け持ちます。

    研修医の仕事は、朝一番の病棟での患者さんの採血と点滴から始まります。婦人科がんで闘病中の患者さんが入院している大部屋は、患者さん同士がとても仲良く、懸命にがん治療に専念されていました。

    研修医なので採血もうまくなく、何度も針を刺し直すこともありましたが、それでも患者さんたちは嫌な顔をせず、逆に患者さんに励まされることもありました。

    そのような研修医時代を送り、その後、地方の中核病院で、妊娠・分娩、不妊治療、婦人科がんの手術、月経不順のホルモン療法、更年期治療など多くの臨床を経験しました。その中で専門分野として、婦人科がんの手術治療に自分のやりがいを見つけ、婦人科医になることを決めました。

    診療をするにあたって、大事にしていることは?

    クリニックにおいても、新しい知識をもち、クリニックでも病院と同等の診療ができるように、常に医学知識をアップデートするように努めています。

    先生ご自身が日常生活で健康のために、気をつけていることは?

    私は、睡眠をとらないと疲れが溜まりやすい体質なので、できるだけ夜更かしはせずに、きちんと睡眠をとるようにしています。

    診療内容、料金目安、薬の処方方法は?

    婦人科一般。そのほか、女性特有の疾患に対してすべて診療可能。クリニックでは検査ができないもの、治療ができないものは、最適な病院を紹介。更年期や生理痛は、健康保険で検査、治療を行う。

    <低用量ピル>

    低用量ピル(OC、LEP)はジェネリック医薬品が主流となり、以前に比べてかなり経済的負担は少なくなりました。低用量ピルは主に院内で処方。

    自費の場合の低用量ピルの値段(価格はすべて税込)

    シンフェーズ 2,680円 トリキュラー 2,680円 マーベロン 2,680円 ラベルフィーユ 2,380円 ファボワール 2,380円

    初回時は内服指導料・処方料 1,000円。再診時はピルの料金のみ。検査の必要があれば、別途料金が必要。

    <美容注射>

    ブライトニング注射 1回 2,830円(処置料含む) リカバリー注射 1回 3,580円(処置料含む) アンチエイジング注射 1回 3,680円(処置料含む)

    いずれも初回問診・診察料 1,000円。価格はすべて税込。

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    アイレディースクリニック新横浜

    診療時間:10:00~13:30、15:00~18:30
    休診日:木・日・祝日
    住所:横浜市港北区新横浜3-6-1 新横浜SRビル5階
    電話:045-471-3385

    入江琢也(いりえ たくや)先生
    アイレディースクリニック新横浜 院長。国立香川医科大学(現香川大学医学部)卒業。慶應義塾大学産婦人科学教室入局後、慶應義塾大学病院、足利赤十字病院、芳賀赤十字病院、けいゆう病院産婦人科勤務を経て、2016年4月アイレディースクリニック新横浜 院長就任。 医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医。

    インタビュー・執筆/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2019/06/191586doctors_04.html
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