体重だけに気をとられていませんか?
外出自粛、里帰り自粛で、自宅で過ごす時間が長くなった年末年始。さらに仕事が始まっても、在宅ワークで背中を丸めた姿勢で過ごす生活は変わりません。
自粛生活で体重が増えたという声はよく聞かれますが、ダイエットしているのにうまくいかないなら、その方法を見直す必要がありそうです。
筋肉量が減っていくと、よけいにやせにくくなる
ダイエットのために運動が欠かせないのは、カロリー消費のためだけではありません。筋肉量と基礎代謝の高さは深く関わっていて、筋肉量を増やすと骨格筋で消費されるエネルギー量が増えるため、やせやすく、太りにくい体質になるといわれています。
きものを着ていた時代や和室で過ごしていた時代の女性は、畳の上で立ったり座ったりと、生活のなかで骨盤まわりの筋肉や太ももの内転筋をよく使っていました。
それに比べると、現代女性はデスクワークやパソコン作業などで背中は丸まり、食事をするのも仕事をするのもいつも椅子に座っているため、股関節とひざ関節を伸ばす時間が圧倒的に少なくなっています。
これでは、よい姿勢を維持し、自分の脚で歩き続けるために必要な3大筋肉「おしり、太もも、背中(腰まわり)」があまり使われません。
だからこそ、意識して筋肉を使うことが大切なのです。
女性は意識して使わないと、30代半ばから筋肉は萎縮し、筋肉量も減少していきます。更年期になると女性ホルモンが減少し、加齢による変化も起こるため、筋肉はさらに減りやすくなってしまいます。
有酸素運動+無酸素運動の筋トレを
体重増加の解消には、筋肉量をいかに減らさないようにするかがカギ。体重だけに気をとられないことです。
運動をせずに食事制限だけで体重を落とすと、脂肪は減らずに筋肉ばかりが減ってしまいます。適正体重(BMI19~24前後)を維持して体重を落とさずに、筋肉量をキープすることが非常に大切となります。
筋肉をつけて筋肉量をキープするコツは、「有酸素運動」と「無酸素運動」の両方を取り入れることです。
ウォーキングやヨガなどの「有酸素運動」は、筋持久力を鍛えるのに適しています。酸素を取り込んで筋肉を働かすので、筋肉周囲の毛細血管に酸素を供給できる力(筋持久力)を高めます。
一方、おしり、太もも、背中(腰まわり)など骨格筋を鍛えるには、狙いたい筋肉のレジスタンス運動(負荷をかけて繰り返しおこなう運動)といった「無酸素運動」の筋トレが効果的です。
おしり、太もも、背中(腰まわり)などの骨格筋は、いくつになっても鍛えることができます。
焦りは禁物。結果が出るのは1~2か月後
有酸素運動の成果が体重に出始めるのは、1~2か月経ってからです。もしかしたら、脂肪が減って筋肉になっているから、体重が変わらないのかもしれません。
リバウンドを防ぐためには1か月に1.5kg以上減らさないことが目安にされていますが、できれば体重を指標にするのをやめましょう。筋肉量が増えれば、体重は減らなくても、スタイルアップ、サイズダウンをしているはずです。
気にするべきは「体脂肪」です。体重だけでなく、体脂肪を測ってみてください。体脂肪の指標はいくつかありますが、18~39歳の女性なら28~34%。40歳~59歳女性なら29~35%が標準とされます。
もしも、体脂肪が減っているのに、体重が変わらなければ、筋肉が増えて燃えやすい体になっている証拠です。そのまま継続すれば、スタイルはアップして、太りにくい体になります。
タンパク質とビタミンB群は大事
もしも、毎日30分(10分を3回に分けても可)、ウォーキングなどの有酸素運動をしているのに、なかなか成果が出ないとしたら、燃える材料(タンパク質など)と着火材(ビタミン、ミネラルなど)がじゅうぶんに摂れていない可能性があります。
朝はパンとコーヒーだけ、ランチはおそばだけ、などと栄養は偏っていないでしょうか。
運動する前に栄養補給をじゅうぶんに摂っていないと、体は栄養不足の危機感を感じてしまい、基礎代謝を下げて、エネルギーを使わない“省エネ体質”になってしまいます。
朝食や昼食の栄養が不足している状態で運動しても、エネルギーは上手に燃えてくれず、やせにくい体になってしまいますし、燃やしたい脂質や糖質の代わりに大事な筋肉が燃えてしまう可能性だってあるのです。
さらに、女性ホルモンの分泌が低下を始めた世代が“省エネ体質”になってしまうと、代謝もガクッと落ち、体重が見る見るうちに増加。中年太りへと進んでいきます。
そのような事態を防ぐためにも、1日の活動に備える食事である朝食と昼食は、ビタミンB群とタンパク質の摂取を意識します。
白米を食べるなら、納豆をプラス。塩むすびを選ぶなら、タンパク質が摂れる鮭やたらこのおにぎりを。お米を玄米にすれば、ビタミンも食物繊維も摂れて、なおよいです。
忙しいなかでも、ちょっとしたコツを取り入れて、体型・筋肉量のキープをしていきましょう。
ゆるんだ体を整えましょう
食べ過ぎと運動不足だけじゃなかった。年末年始に太りやすい意外な盲点
増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ
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