オランダの陶芸家であるRob Brandt(ロブ・ブラント)デザインの「Crushed Cup(クラッシュド・カップ)」は、使い捨て品の代表でもある紙コップをセラミックで再現し、指で名前の通り「握り潰した」形をしています。
まだ、エコブームが到来する前の1975年にデザインされたもので、当時から消費社会に対する批判的なメッセージを込めてデザインされたものです。30年以上前のデザインですが、現在でもとても斬新でユーモラス!
込められたメッセージは現在においても強く発信されています。またひとつずつ手で潰して制作しているので手にしっくり馴染み、ひとつとして同じ物が無いのも魅力的です。
同じように、デザインに環境問題へのメッセージが込められているのがイギリス人デザイナーのJames Burgess(ジェイムズ・バージェズ)による、「I am not a paper cup(アイ・アム・ノット・ア・ペーパーカップ)」です。
2007年にデザインされたプロダクトで、使い捨ての紙製のカップをセラミックで再現し、蓋はセラミック製とシリコン製の2種類あります。しかも保温機能もついていて機能的です! 2008年のイギリスで「Gift of the year award(ギフト・オブ・ザ・イヤー・アワード)」を受賞しています。ぜひ、これでラテを飲んでみたいもの。
最後に、Seletti(セレッティ)というイタリアのデザイン会社による「Estetico Quotidiano(エステティコ・クオティディアーノ)」シリーズです。
こちらも身近にあるペットボトルや紙皿、缶詰などをセラミックまたはガラスで美しく再現しているプロダクトです。普段何気なく使い捨ててしまっている紙皿やペットボトルのデザインが改めて普遍的で美しいデザインである事、また使い易くて便利である事に気づかされ、エコについて考えさせられる商品です。
これらのプロダクトに共通するのは、一般的に知られるデザインを逆手に現在の消費社会にメッセージを発信していることです。
面白くてユーモアがあり、デザイン性に優れ、シンプルで使いやすいものが身近にあったら嬉しくなるし、さらにエコに繋がるなら言う事なし!です。
(石井真代)