先日は、神さまへの進物に藁を結んだことが起源とされ、日本では古来より贈り物に添える風習のある水引の制作現場を見学してきました。
工房で見せていただいた水引アクセサリー。1500円~5000円ほどで値段もお手頃。
新宿駅からJR特急あずさで芽野駅まで。JR飯田線に乗り換えて下諏訪駅で下車。現在、日本の水引製品の半数以上を生産しているというのが長野県。白鳥型の遊覧船が浮かぶ諏訪湖畔で、ご家族で水引作りをおこなう「水引工房やまだ」さんへ、東京から3時間ほどで到着しました。
私も、水引アクセサリー作りを体験させていただきました。左右のピアスが30分ほどで完成。
水引の素材はこより状にして糊をひいた和紙。鮮やかな原色や繊細な伝統色、金や銀の薄紙を巻き付けたものまで、色も豊富。結び方や色にもそれぞれ意味があって、祝いや願掛けが込められています。
たとえば、「梅結び」は厳しい冬もがんばって乗り越えれば花開くとか、「ちょうちょ叶(かない)結び」は幸運の象徴とされる蝶の結び目の表が「口」、裏が「十」に見えることから、願いごとが叶うというふうに。
ひと昔前までは、神事や冠婚葬祭の用途が主だった水引も、今は普段の暮らしに活用できるものも増えているそう。シールやかご、ストラップなど見せていただいた中で、もっとも心惹かれたのが、ピアスやブレスレットなどのアクセサリー。着物はもちろん、結婚パーティなどドレスアップしたときに身につけたくなるような華麗な佇まいのものばかり。
そのうちぱっと、ずっと一緒にいたいという願いを込めた「相生結び」で、縁結びのアクセサリーのイメージが湧きました。色は、七夕の伝説になぞらえ、織り姫をにみたてたピンク色と、彦星を思わせる水色を指定。職人さんがその場でサンプルを作ってくださったのですが、水引を結ぶ手元は神業そのもの。なめらかにするすると、細長い水引が端麗に形をなしていきます。
職人さんがまたたくまに作ってくださった「相生結び」のサンプル。
そうして完成した水引を、お守りのように毎日身につけられる、ネックレスとブレスレットに仕立てていただきました。来月招待されている友人の結婚パーティーで身につけるのを楽しみにしています。
私がイメージを伝えて完成したブレスレット。
最終形は、ブレスレットとネックレスのセット。
それまでどこか遠い存在のように感じていた日本の伝統工芸が、身近な雑貨として活用できるとは。新たな日本の美と技との出会いを求めて、まだまだ、ますます、日本中を旅しなければ。
(甲斐みのり)