嫉妬心、高慢、そしてヒステリーといった自分のネガティブな一面。自分のそんな顔からは目をそらしたいし、人にも見せたくはないと考えるでしょう。スイスの精神分析医で、セラピストとして活躍する71歳のベルナ・カスト教授は、自分の負の一面と向きあう大切さをこのように説いています。
負の感情は、新しい扉をひらくカギ自分の闇の部分は恐れや羞恥心と強いつながりをもっています。不思議なことに、そういった部分を隠そうとするほど、他人のおなじ側面により強く、拒絶反応してしまうものです。
「Badische Zeitung」より引用
たとえば、ある人のだらしないところが嫌いな場合、自分にもだらしない側面があるのかもしれません。
おなじ特徴を抱えた者同士であれば、本来つながり合うことができます。けれど、実際には「だからこそ信用ならない」と考えて、その人を遠ざけてしまったり、必要以上に攻撃的になってしまうことも。教授は、「自分を守るため、あるいは自分自身が辱めを受けないためにも、相手に嫌悪の情を示す」のだといいます。
自分の闇を癒す方法では、どのように解決していけば良いのでしょう。カスト教授は、心の闇にすこしずつ光をあて、喜ぶことが大切だといいます。
たとえば、整頓好きな女性が、だらしのない男性と一緒に仕事するとき。女性がその男性にイライラする原因は、女性が心の奥底で「ちょっとぐらい部屋が汚くても、人生を楽しみたい」と思っているから。弱い部分を長いことかけて封印してきた結果、おなじ弱さをもつ相手を許せないという深層心理です。
教授は、「まずは、その事実を少しずつ理解。片付けられない自分を想像して笑ったり、許す努力を続けましょう」と言っています。
人と人がぶつかるとき、それは双方の闇の部分を理解する瞬間におこります。いちど相手とぶつかり合い理解すれば、人間関係は一層より豊かになります。どのように自分と人との関係を築いていくかの可能性を探りあうことになるのですから。
と教授。すこしずつ自分の心を溶かしていくのが大切なようです。
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