和蝋燭のイメージが変わる、かわいいパッケージ。(Photo by Loco Yoneda)
夜のひとときに安らぎを与えてくれるような、うつくしい和ろうそくに出逢いました。
オレンジ色の炎で満たす、夜の時間やさしいオレンジ色の炎が特徴の「米のめぐみ ろうそく」。これは、米ぬかロウのみで作られた、少し珍しい和ろうそくです。能登半島にある老舗のろうそく店・高澤ろうそくで、一本一本ていねいに手作りされています。
原料になっている米ぬかロウ。
オレンジ色の炎は、米ぬかロウ特有の色。他の素材と比較すると、米ぬかロウの場合、炎の温度が低いため、オレンジ色の柔らかい炎になる。
あたたかみのある、やさしい炎は、ただ見つめるだけで気持ちが穏やかに......。
ずっとこの炎を見つめていると、意識の底に深く沈んでいけるような感覚を覚えます。燃焼時間が約30分と短いため、プチ瞑想や就寝前のリラックスタイムに、火を灯すのに最適です。
海外で評価を受ける、自然と調和した和ろうそく能登半島(石川県七尾市)にある「高澤ろうそく」。建物自体が登録有形文化財という歴史ある老舗のろうそく店。
「米のめぐみ ろうそく」はもちろんのこと、高澤ろうそくでは、ロウや芯に至るまで、植物由来のものを主原料として和蝋燭を手作りしています。
和ろうそくの芯も植物から。和ろうそくの芯は中心部が空洞の独特の形状で、和紙の上から灯芯草(とうしんそう)という乾燥させた植物を巻いて作っている。
ろうそく作りについて、お話をうかがいました。
歴史的な背景を申しますと、ろうそくは奈良時代に仏教とともに日本に伝わり、そのときは蜂蜜ロウの蝋燭だったようです。しかし国内で作る際に、油分の多い植物を原料にした蝋燭(和蝋燭)が作られました。
以来、高澤ろうそくでも、植物油を原料としたろうそくを作っています。具体的には、櫨(はぜ)の木、漆(うるし)の木、米ぬか、菜種です。身近にあるものでろうそくを作る日本人の工夫や知恵は、素晴らしいと誇りに思っています。
(高澤ろうそく 高澤久さん)
今では、アメリカなど海外からの注文も増えているそうです。「植物性の原料を使ったろうそく」という点が評価され、環境問題に関心がある人々が購入しているのだとか。また、燃焼時間が選べて瞑想などに使用しやすいことや、独特の芯の作り方ゆえの「ゆらぎある炎」も人気の理由だそうです。
和ろうそくが海を越えて、世界中の人々に安らぎの時間を与えてくれているんですね。こういった素晴らしいものが身近に手に入る環境に感謝して、和ろうそくを大切に使い続けたいと思います。
[高澤ろうそく]
取材協力・画像提供/高澤ろうそく