心休めるオアシスを増やそう
話題となっているのは「ザ・ローライン the lowline」という組織。最初のコンセプトが発表されたのは、じつは2011年のことでした。ニューヨークには使われなくなった数多くの地下鉄の駅が存在することから、それらを改装して居心地の良いグリーンな空間を創るというのがその内容。発案者で組織の代表を務めるダン・バラッシュ氏によると、それは地下鉄に太陽の光の差し込む、いわゆる地面の下のアンダーグラウンド・パーク。「コレクター」と呼ばれる最新テクノロジーを使うことで、太陽光を集めて反射させることができるだけでなく、これにより地下にも木や植物を植えることが可能となります。人工光の煌々としたイメージの強い地下鉄ですが、木々があることでまるで地上のような空間を再現。緑があることで人々に精神的安心感を与えるだけでなく、それによりセキュリティー面からもその恩恵が得られるのではと考えられています。
街設計は住人がイニシアチブをとって
この「コレクター」を発明したのは37歳のジェームズ・ラムジー氏。ザ・ローラインの中心的人物です。もともとNASAでエンジニアとして働いていた彼は、2008年のサブプライム住宅ローン危機後、ニューヨークに残されている貴重な「残された財産」について考えさせられたといいます。この計画を推し進めるにあたり、2012年からクラウド・ファンディングにて資金調達を開始、1500万円ほど集まりました。同年9月には地下鉄パークのモデルが作成されお披露目され、2週間の間に11,000人もの人が足を運んだことからも、人々の興味の大きさがうかがえます。資金も現在では増え続けているそうで、この計画案が具体的になる希望が持たれているのです。
2018年を見込んで工事を開始したい組織の心とはうらはらに、ニューヨークの交通安全管理局の許可が降りる見込みがまだたっていないのだそう。完成すれば年間500人以上もの観光客なども見込めるということで、またニューヨークの違った一面を見られる日がもしかしたら、くるかもしれません。