うちの冷凍庫には、無頭エビ殻付きがストックしてある。2キロの箱をまとめて買い求め、ジッパー付き袋に1回使う分量を小分けにして冷凍。だいたいこれが6袋出来る。だから、いつでもエビを食べられるわけだけれど、そんなに頻繁に食べることはない。来客があったときとか、記念日とか、「ここぞ」というときに、ありがたく食べる。
パプア・ニューギニアの天然エビは、獲れたての海老を船内で急速冷凍したものなので鮮度が抜群にいい。それに冷凍エビ独特の薬臭さがまったくない。それもそのはず、薬を使ってないだけなのだが、そういったエビは稀有である。
養殖のエビの多くは、限られたスペースでぎゅうぎゅうで育てられるため、とても病気にかかりやすい。そこで抗生物質を与えられる。それからエサをたくさん食べて大きくしなければ出荷できないので、食欲増進剤も与える。育った海老は輸送の際に色が変わらないように、変色防止剤をかけるなど、薬は海老の養殖には欠かせない。この過程を経て、ようやくマーケットに並ぶ。たいへんな手間がかけられている。
パプアのエビは船で海に出て、網でエビを獲る。乱獲などしたらたちまちエビがいなくなるので、漁獲量は慎重に決めないといけない。自分たちの暮らしのために、おのずと持続可能な漁となり、その結果、「貴重な天然エビ」とうたわれる。果たして、そこで比べることになんの意味があるのかどうかわからないけれど、お金を払う以上、買うものを「選択する」のはわたしだ。それを食べるのもわたし。
昨夜は南インド風のビリヤニのようなものを作った。
エビは背わたをとり、豆乳ヨーグルト(レモン汁でも可)とターメリックで和えておく。エビの殻を香ばしく炒めてここに水を注ぎ、濃厚な出汁をとる。研いで水に浸けておいた米をざるにあげ、鍋に入れる。ここにエビの出汁、シナモン、カルダモン、クローブ、トマト を加え、「おいしいな」というくらいの塩加減にして炊く。フライパンに、にんにくとしょうがのみじん切り、油を入れ炒める。ここに玉ねぎを加え、透明になるまで炒める。そして、エビをさっと炒める。
炊き上がったごはんにエビを加え、ざっくり混ぜる。レモンを搾ったり、香菜を添えたりすれば出来上がり。出汁をとったエビの殻は、薄力粉をはたき、油でカラッと揚げる。塩を振ったら出来上がり。
昨日はさして特別な日ではなかったけれど、とても「エビを食べたい気分」だったのだ。エビ好きには、たまにこういう日がやってくる。他にも、エビカレー、トムヤムクン、エビとバジルの炒めもの、エビのメキシコ風カクテル(辛いマリネ)、エビと長ネギのかき揚げなど、そのとき食べたいエビ料理を作る。