3月4日、5日の両日、青山のスパイラルホールにて行われた「ウッドファニチャー ジャパン アワード2016」で紹介されていた宮城県栗駒山の杉で作られた家具「KURIKOMA(クリコマ)」がとてもすてきでした。
東日本大震災をきっかけに誕生
「ウッドファニチャー ジャパン アワード2016」は、「Harmonia 共鳴するものづくり」をテーマに、⽇本の木製家具を募集、選出するアワードです。
「ウッドファニチャー ジャパン アワード2016」のほか、「KURIKOMA」は、昨年の「ソーシャルプロダクツアワード2015」でも特別賞を受賞しています。
「KURIKOMA」は、東日本大震災後、被災地のためにできることを探していた家具メーカー「ワイス・ワイス」が、宮城県栗原市にある製材所「栗駒木材株式会社」と出会ったことをきっかけに生まれました。
そして、宮城県に豊富にある杉材を使って家具を作ることで、被災地の人々を雇用し、支え続ける仕組みを目指すことになったのです。
「杉」がつくりだす温かみ
しかし、杉は柔らかく、家具に加工しづらいという弱点があります。
そんな弱点を、以前から杉材の活用方法を研究していたデザイナーの榎本文夫さんの協力を得て克服。強度試験をくり返しながら試作を続け、ついにJIS規格の3倍の強度の椅子が完成しました。
通常、木製の椅子は細い脚でも強度が保てるように、広葉樹で作られているのだそう。
針葉樹である杉で作られた椅子は、材が柔らかいため、触れた感じも優しく、温かみがあります。重量も4kg程度と軽く、運びやすいのも魅力です。
また、木製の家具は、室内の調湿効果を生むほか、杉材により杉の香りが部屋に広がります。部屋のなかに自然を置いているような豊かさが感じられる椅子なのです。
希望のあるものづくりを目指して
今回「KURIKOMA」の家具がアワードで選ばれたのも、針葉樹を使った家具としてその技術を認められたから。
現在、日本では海外から輸入された安価な木材が多く利用されています。そのため国内には手入れが行き届いていない森が各地に広がっているのです。
そのような現在活用されていない日本の森林資源を活用していくことをミッションとしている「ワイス・ワイス」。
産地が明らかで、しかも震災で被害にあった地域の復興にも力を添える希望のあるものづくりは、これからさらに期待される産業のひとつの在り方といえそう。
部屋に合うもの、ほかの家具との調和、素材や触感など、家具を選ぶ基準はたくさんありますが、これから選ぶなら、家具そのものの魅力はもちろん、ものづくりのコンセプトから選ぶというのもすてきだと感じます。
「ワイス・ワイス」