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記事 2件
  • Vol.163 追悼・羽柴秀吉さん(2)/「青森の大バカ者で終るか 天下を取るか」

    2015-04-14 13:00  
    209pt
    Vol.163
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              『そこそこ週刊・畠山理仁』
     追悼・羽柴秀吉さん(2)/「青森の大バカ者で終るか 天下を取るか」
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    ●自分のアイデアを堂々と世間に問う男
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     ところでみなさんは秀吉さんを「変わったおじさん」としてしか見ていないのではないだろうか?
     それも仕方がない。「戦車」や「ミサイル」を個人で作る人なんてそうはいないからそこに注目してしまうのは当たり前だ。ホテルが国会議事堂で社長室が内閣総理大臣室なんていう会社もなかなかないだろう。
     でも、ぜひ秀吉さんのアイデアや政策にも注目してほしい。
     先にも述べたように秀吉さんはアイデアマンだ。小田川帝国にはユニークな注意書き看板がたくさんあったが、どれも秀吉さんが楽しみながら考えて作ったものだ。たとえば【小田川帝国ミサイル防衛局】の説明書きはこんな感じだ。
    「陸・海・空・三軍共同開発核弾頭迎撃ミサイル(パトリオット・スーパー・ファイター)最新ヴァージョン国土防衛システム54基配備。目的、北朝鮮テポドン迎撃システム多国籍軍侵略阻止(小田川国防省・陸・海・空)」
    「ISBM核弾頭ミサイル保有国、地対空ミサイルスカッド改。地対地ミサイル羽柴セブン。地対空高射砲レッカウラン弾その他防衛兵器破壊力世界第三位軍事政権。(ミサイル数千発・戦闘機・戦車部隊・海軍・攻撃部隊、原子力第七艦隊機動部隊、以下軍事機密)」
    「国連核拡散防止条約脱退」
     思わず読んでしまう。さらに大きな門の先にはホテルとは別の秀吉さんの建設会社があるのだが、その門前にはこんな注意書きもあった。
     
  • Vol.162 追悼・羽柴秀吉さん(1)/「青森の大バカ者で終るか 天下を取るか」

    2015-04-14 12:30  
    209pt
    Vol.162
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              『そこそこ週刊・畠山理仁』
     追悼・羽柴秀吉さん(1)/「青森の大バカ者で終るか 天下を取るか」
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    ●サービス精神旺盛すぎる小田川帝国の国王
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     偉大なるインディーズ候補、羽柴秀吉さんが亡くなった。
     享年65歳。秀吉さんは2011年に肺がんであることを告白し、その後は闘病生活を送って入退院を繰り返していたが、2015年4月11日に肝硬変のため亡くなった。秀吉さんを15年以上取材してきた者としては、ただただ残念だ。今は「秀吉さん、お疲れ様でした」とご冥福をお祈りすることしかできない。
     秀吉さんの本名は三上誠三という。青森県の五所川原市(旧北津軽郡金木町の出身で、若い頃から「自分は羽柴秀吉の生まれ変わりだ」と言って羽柴秀吉を名乗り、全国各地の選挙に立候補してきた。残念ながら一度も当選することはなかったが、それでも選挙に立候補し続けて、筆者に「こういう生き方もある」と教えてくれた。
     筆者は2007年に秀吉さんの地元・青森県まで行き、広大な敷地にある秀吉さんの「小田川帝国」を秀吉さんに案内してもらったこともある。同敷地内にある秀吉さんのホテル(小田川温泉観光ホテル)の温泉に入ったこともある。なぜホテルに泊まらなかったのかというと、ちょうどホテルが改装中で宿泊ができなかったからだ。ちなみに宿泊料金は、まわりの相場よりもかなり高かった。ホテルの中を隅々まで案内してもらい、泊まる気満々だったので「今日は泊まれません」と言われた時はとても残念だった。
     ちなみにこのホテル。以前はあちこちに秀吉さんの写真が貼ってあったという。筆者が訪ねた時はホテルの支配人は秀吉さんとは別の人で、
    「お客様のことを考えて、社長(秀吉さん)の写真は一部を除いて全部外しました」
     と言っていた。「帝国」なんだけど支配人の意見もちゃんと通る。たしかに社長の写真だらけのホテルはあまり儲からないだろう。支配人の人は、
    「おかげさまでホテルは大繁盛です」
     と言っていた。
     このホテルは国会議事堂を模したホテルで、客室の上には「郵政省」「通産省」「法務省」などというプレートが取り付けられていた。「参議院小会議室(建設省)」という謎の看板もある。大宴会場は「衆議院本会議室」。食堂は「食糧庁」と徹底していた。しかし、なぜかホテル内にあるスナックの名前は「チャングム」。ここだけ治外法権。出島のようなものなのか。