運動できるからだになるための食生活の見直しや、筋肉を付けるための食事について教えていただいた前編に続き、アンチエイジングフード研究家、栄養科学博士のオーガスト・ハーゲスハイマーさんに、からだづくりに役立つスーパーフードと、食生活を変える方法をうかがいます。
アミノ酸スコア100「卵はスーパーフード」――筋肉を付けるための栄養が効率的に摂れて、かつ手軽な食材はあるのでしょうか?
オーガスト:からだづくりのためには『必須』とついている食材を優先して摂ること。人間の体内で作り出せない、9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んだ食材を摂ることが効率よく吸収するコツです。それも一度の食事で同時に摂らなくてはいけないとなると、大変ですよね。そこで僕が注目したのが、必須アミノ酸をバランスよく含んだ『アミノ酸スコア100』の食材です。
その食材とは、卵。以前は1日1個までとされていた卵ですが、最近の栄養学ではいくつ食べても問題ないと言われています。豊富な有効栄養成分を含み、体内で作り出せない必須栄養素を兼ね備えている自然食品を"スーパーフード"と呼んでいますが、卵はまさにスーパーフード。いつでもスーパーで買える手軽さ、調理の幅広さも魅力的です。
おすすめの摂り方は、エッグスムージー。グリーンスムージーに生卵を加えるだけで、不足しがちなタンパク質を補えますよ。生に近いほど消化吸収率も高くなります。
――卵がスーパーフードだったなんて、身近すぎて気付きませんでした! 他にも流行の"スーパーフード"はからだづくりにも役立つのでしょうか?
オーガスト:スーパーフードの中でも、必須脂肪酸の良質な油として取り入れたいのが、大ブームを経て日本でも手軽に買えるようになったココナッツオイル。ラウリン酸や中鎖脂肪酸が豊富に含まれています。心臓は脂肪酸をエネルギーにして動きますし、母乳にも含まれるラウリン酸は免疫力を高めます。僕は1日大さじ1杯以上摂るようにしています。
また、体内でのコラーゲン生成を助けるたったひとつの食材はアロエだけ。運動をする人は関節のために摂るとよいでしょう。抗酸化力の高さで言えば、もちろんアサイーもおすすめです。
食習慣を変える30日チャレンジにトライ――運動ができるからだになるためにさっそく食生活の改善をしたいと思うのですが、続けられるか不安です。
オーガスト:食習慣を変えようと思ったら、はじめの30日間、せめて2週間だけでもやってほしいことがあります。それは、何時に何を食べたかをカレンダーに記入すること。アラームをかけて『15時になったからおやつのナッツを食べよう』、『プロテインを飲もう』と、仕事として義務的に習慣づけることに挑戦してください。
アスリートは金メダルを獲るために、仕事のように食事やサプリを摂っていますよね。それと同じように、自分は何のために食事をしているのかと考えたとき、おいしい、楽しいだけではなく、この期間はからだをつくるために食事をしているのだと意識を高めることができます。
そして、家でもできる範囲で続けていく。最初のステップとして、葉野菜をたくさん食べるといいと言っていたから、スーパーにあるもので何でもいいから買ってみよう。次は、いい油を使ってみよう。なんだか調子が良くなってきたから、今日はオーガニックの野菜にしてみよう......。スーパーで買えるものの中でよいので、徐々に上を目指して行きたくなるはずです。
元に戻ってしまっても大丈夫。知識は一生ものですから、また調子が悪くなったと感じたときにはじめればいいのです。
――最後に、日本でのホールフード(ひとつの食品を丸ごと使う)サプリメントの先駆者でもある、オーガストさん自身が開発した愛用アイテムを教えてください。
オーガスト:サプリメントや加工品を選ぶ際は、無農薬のホールフードであること、低温乾燥で栄養価を残しているかどうかがポイントです。
「Coconatiココナッツオイル」「Coconatiココナッツバター」
無精製・無漂泊・無添加のオーガニック認証を受けたココナッツオイル。ココナッツバターは、オイルが苦手な方にもおすすめできる扱いやすい食材。食物繊維も豊富です。
「アサイー100」アサイーは抜群の抗酸化作用を持ち、運動による活性酸素を除去する作用があります。
スーパーフードの代表格・アサイーを低温乾燥させ、栄養をまるごと閉じ込めたサプリメント。酸化しやすいアサイーに配慮し、植物性の密封カプセルを採用しています。ここまでの製法は日本では大変希少です。
「ペットボトルの水に『ベジパワープラス』を加えた"グリーンドリンク"がトレーニングの相棒」(オーガストさん)
トレーニングジムで流行しはじめているのが、"グリーンドリンク"こと青汁。運動中からアルカリ性飲料を摂ることで酸化を予防します。フライト中や外出先で野菜不足になりがちな時にも重宝します。
オーガスト:10年前の自分と比べて、今の調子が良くないと感じているのなら、生活を見直してみましょう。良い細胞をつくるには良い食事から。今からはじめれば数年後にからだが変わりますよ。
お話を伺った方:オーガスト・ハーゲスハイマーさん栄養科学博士、アンチエイジング・スペシャリスト。1962年福島県にて日本人の母とドイツ系アメリカ人の父と間に生まれる。米国カリフォルニア州で医学を勉強中に食や栄養による予防医学の重要性に気づき、アンチエイジングの専門家として活動。著名人のカウンセリングやホールフード食品の製品開発を手掛ける。
[アビオス]
取材協力:コンセプトスタジオveda
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