メインイベントの競技会は、フラ最高峰の大会として、世界中のフラダンサーのあこがれのステージ。今回、その団体部門に出場するハーラウ(フラスクール)のクム・フラ(フラの先生)「イヴァラニ・カリマ」にお話を伺いました。
イヴァラニ・カリマは、ハワイ島ヒロのクム・フラ。フラ界のレジェンド、故アンクル・ジョージ・ナオぺのまな弟子としてもよく知られている人物です。アンクル・ジョージは、メリーモナーク・フェスティバルの創設者のひとりでもあり、日本でいえば人間国宝のような存在。そのアンクルだけからフラを学び48年、イヴァラニはアンクルの伝統を伝えてきました。イヴァラニが主宰する「フラ・ハーラウ・オ・コウ・リマ・ナニ・エ」がメリーモナークに出場するのは、2006年以来11年ぶりとなります。
アンクルが私と分かち合ってくれたフラを皆さんとシェアしたい「今年メリーモナークに出場すると決めたのは、いまがそのときだと思ったからです。アンクルが私と分かち合ってくれたフラを、私も皆さんとシェアしたい。アンクルのスタイルを皆さんにも伝えたい。アンクルのフラを守るためにも、出場するべきだと思いました。
アンクル直系のフラを引き継ぎ、メリーモナークで演じることは、大きなよろこびです。今まで学び、経験してきたすべてのことを、メリーモナークで披露できるのをうれしく思います。」
イヴァラニのハーラウで出場するダンサーは14人。中には、日本人も含まれています。
「今回の出場に、とてもワクワクしています。2006年に出場してから、あっという間に10年以上経ってしまいました。2006年に出場したダンサーはひとりだけで、その他のダンサーはすべて新しいダンサーたちです。彼女たちにとっては、初めてのメリーモナークのステージとなります。
今回出場するダンサーは、13歳から42歳。幅広い年齢層で一緒に踊るのは、大きなチャレンジでもあります。ダンサーたちは皆、メリーモナークに向けて1年以上練習してきました。私の姪もダンサーとしてステージに立ちます。また、私の姉がシンガーとして参加してくれますし、甥はアラカイ(クムのアシスタント)を務めてくれます。
新しい世代のダンサーたちにとって、メリーモナークのステージは特別な機会です。私たちはメリーモナークのステージを『フラ・パー』と呼んでいます。フラ・パーとは、本来、フラを踊るために作られた石造りのステージのことで、単なるステージとは異なります。フラを踊る際、最高位に格付けされているステージなのです。
フラの世界のベストの中のベストが集まるわけですから、メリーモナークで踊るということは、すべてダンサーたちにとって、最高の栄誉です。」
今回出場する団体部門「フラ・アウアナ(現代フラ)」と「フラ・カヒコ(古典フラ)」では、どんな曲を選んだのでしょうか?
「フラ・アウアナは『カマラニ・オ・ケアウカハ』です。この曲は、1982年、私のウーニキ(クムになるための卒業試験)の曲でもあります。アンクルからこの曲を学び、その後何年も踊ってきました。いわば私の"シグニチャーフラ"。私がパフォーマンスをするときは、必ずこの曲を踊ります。
ケアウカハは、私が生まれ育った場所。そのケアウカハについての曲を踊るのは、大きなよろこびです。その気持ちを伝えたいと思っています。フラ・カヒコは『ア・ハーマークア・アウ』。これは、私たちが『メレ・ホオ・イポイポ』と呼んでいる曲で、愛のチャントです。
あるところにひとりの男がいました。彼は愛らしいハーマークアという娘に出会い、一目ぼれしてしまいました。男は彼女に夢中になり、ふたりは恋に落ちるという内容です。"ハーマークア"は、ハワイ島北東部の地域のことでもあります。ハーマークアという場所は、美しい女性のようだと言われているのです。
このメレは、一般的なカヒコとは少し異なります。使用する楽器は、"カーエケエケ"という竹製のパイプです。その音は耳に心地よく、"愛の楽器"と呼ばれています。この楽器を使うフラは、あまり見る機会がないと思います。」
フラを分かち合い、教え、経験するのは特別なこと「フラを始めたのは8歳のとき。アンクル・ジョージのもとでフラを始めて、以来、アンクルだけが私の先生です。ウーニキを受けたのは1982年。その頃、私はコナに住んでいて、アンクルを手伝っていました。アンクルは1980年にコナに引っ越したのですが、しょっちゅう電話で呼び出されるので、私もコナに引っ越したのです。
ウーニキに合格したけれど、すぐに自分のハラウを始める気になれず、86年になってようやくハラウをスタートしました。94年ごろヒロに戻り、以来、ずっとヒロでフラを教えています。クムになってから今年で31年。フラ歴は48年です。
フラは私の人生のすべて。48年間、私は人生のすべてをフラに捧げてきました。フラを分かち合い、教え、経験するのは特別なこと。フラは私にとって本当にすべてなのです。フラをやっていなかったら、何をしていいのかわからないでしょうね。」
日本に帰ったらハワイの経験をフラで表現してほしいイヴァラニのハーラウは日本にも姉妹校があるため、ひんぱんに日本を訪れフラを指導しています。また、フラとハワイについてより深く知ってもらうため、ハワイでも定期的にワークショップを開催しています。日本のフラ・ダンサーたちに、特に伝えたいことはどんなことでしょうか?
「日本でフラといえば、そのほとんどがフラ・アウアナです。もしもアウアナしか学んだことがないのならば、フラ・カヒコを学んでほしいと思います。フラ・カヒコを学ぶことで、フラのルーツをさかのぼることができます。そして、クムフラとのつながりを深めるためにも、ぜひハワイに来てほしい。そうしないと、フラの本当の奥深さにふれることはできないし、感じることも、表現することもできないからです。
たとえば、私たちはフラで使うものを基本的に自分たちで作ります。花などの植物は自分でつみ、自分でレイなど装飾品を作ります。すべてを手作りする、それがダンサーです。その重要性を知ってほしい。ハワイを訪れたら、私たちが感じていることを感じてほしい。私たちが見ていることを見てほしい。そして、日本に帰ったら、ハワイで経験したことを通して、フラで表現してほしいと思います。」
日程:4月16日(日)~4月22日(土)
場所:ハワイ島ヒロ市内各地。下記イベントはエディス・カナカオレ・テニス・スタジアム。
4月20日(木) ミス・アロハ・フラ
4月21日(金) 団体/フラ・カヒコ
4月22日(土) 団体/フラ・アウアナ
<メリー・モナーク・フェスティバル事務局>
住所:865 Piilani Street Hilo, HI 96720
電話:(808) 935-9168
FAX:(808) 969-3058