骨密度の検査は、こんな女性が行っておきたい検査です。
・食事に無頓着なほうだ
・つまずくことが増えた
・背が縮んだ気がする
・背中や腰に痛みがある
・偏食だ
・極端なダイエット経験がある
・生理不順が長い間あった
・卵巣機能に問題がある
・若いころから運動不足気味だ
背中や腰の痛みで動作がぎこちない、腰痛はあるがレントゲン検査では異常がない、掃除や洗濯物を干すのがつらい、息切れしやすい...なども要注意の症状です。骨粗鬆症の可能性があります。
骨粗鬆症が怖いのは、もろくなった骨は、体の重みが加わるだけで潰れて圧迫骨折を起こすことです。圧迫骨折が起きていても、痛みを伴わない場合もあります。
特に、40歳以降になったら、骨密度測定を定期的に行うことが重要です。
圧迫骨折が起こりやすいのは、腰椎と大腿骨頸部の骨です。過激なダイエット経験がある人は、大腿骨頸部の骨密度から減ってきます。寝たきりのいちばんの原因が大腿骨頸部の骨折と言われています。
骨密度は、20代女性の正常な骨密度を100%として判断します。80%以上の正常範囲に位置していれば問題なしですが、70~80%だと骨量減少、70%未満で骨粗鬆症です。
最終的な骨粗鬆症の診断には、骨密度測定のほかに、レントゲン、血液検査や尿検査による骨代謝マーカーの測定などを組み合わせて、診断します。
40歳以上の女性を対象に、5年刻みに骨密度の検診を行う自治体も多くなっています。閉経後になったら、女性は年1回検診を受けることが大切です。
骨粗鬆症は男性でも起こりますが、女性ホルモンの減少が骨密度を低下させるため、女性に多いのが現状です。それだけでなく、遺伝的要因やバランスの悪い食事(極端なダイエット)、運動不足、生活習慣も大きく関係します。
病院では、骨密度を調べて、骨量減少の診断が出たら、すぐに治療と骨折予防を始めます。適切な治療や生活習慣の改善で、骨密度の低下をくい止めることが可能です。
病院では、骨形成と骨吸収に関係する「活性型ビタミンD3」、骨形成促進作用のある「ビタミンK2」、更年期症状も併せて治療できる「女性ホルモン剤(エストロゲン)」、骨密度を増やす「ビスフォスフォネート」、エストロゲンと似た作用のある「SERM(サーム)」、骨吸収を抑制し鎮痛作用もある「カルシトニン(注射薬)」などの中から、その人の骨粗鬆症の状態に合わせて、最適なものを選んで治療します。
骨粗鬆症は、"骨の生活習慣病"とも言われています。30代、40代なら、いまから予防に心がけることで、病院で治療を受けなくて済みます。バランスのとれた食事と適度な運動で、骨密度の低下を防ぎ、骨密度の低下を遅らせることが可能です。
食事では、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンB群など、骨と筋肉にいい栄養素を積極的に摂りましょう。カルシウムだけ摂っていても実は、ダメなんです。特に、カルシウムとビタミンDは、同時に摂ることで、腸管でのカルシウム吸収率をアップすることができます。カルシウムは1日700~800mg、ビタミンDは1日10~20μgが目標です。
目安としては、乳製品、小魚、野菜、大豆の中から、1日2種類を組み合わせて摂ることで1日の必要量の約半分が摂取可能になります。
また、ビタミンBのサプリメントを使うときは、ビタミンB群(コンプレックス)で摂りましょう。B群の葉酸は、骨質を保つコラーゲンの生成を助けてくれます。
骨にカルシウムを蓄えるためには、体重をかける運動が大事です。特に有効なのは、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどです。運動は、エレベーターやエスカレーターを使わずに、階段の上り下りや歩くことを増やすだけでも効果があります。適度に太陽光を浴びながらのウォーキングもおすすめです。強い骨を作ることが、スタイルアップ、シェイプアップの基本です!
増田美加(ますだ・みか)さん
女性医療ジャーナリスト。
2000名以上の医師を取材。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/
■増田美加(女性医療ジャーナリスト)の「カラダケア戦略術」連載
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前編女性ホルモンは増やせばいいってもんじゃない!
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