対象国の中でもっとも税率が高く、冬の日照時間は短く、平均気温は0度だというのに、デンマークの人々は幸せを感じています。そのヒントになるのが「Hygge(ヒュッゲ)」という暮らし方。
デンマークで生まれた、心地よさを重視した暮らし方ピア・エドバーグ著『Hygge(ヒュッゲ) 北欧生まれの「世界一幸せなライフスタイル」実践法』によると、「Hygge」はデンマーク語で「居心地のよさ」という意味。名詞でもあり動詞でもありながらピタッと当てはまる言葉がないのですが、「家族のようなあたたかさ」などの意味も含まれているとか。
Hygge(ヒュッゲ) 北欧生まれの「世界一幸せなライフスタイル」実践法 / 1,300円(税別)自分の好きなものに囲まれて過ごし、その時間をいつくしむ暮らし方。
家の中で過ごすことを1日のせわしないルーティンのひとつとしてとらえるのでなく、その私的な、自分だけの時間を意識的に楽しむこと。(『Hygge(ヒュッゲ) 北欧生まれの「世界一幸せなライフスタイル」実践法』p.22より引用)
スウェーデン語の「Lagom(ラゴム)」とも似ていて、こうした考え方、暮らし方が徐々に広まってきているようです。
ミニマリズムにあたたかさをプラスした価値観昨今、日本でも「ミニマリズム」「ミニマリスト」という言葉をよく耳にするようになりました。必要最低限のモノだけで暮らし、人間関係や生活習慣も余計なものは排除。こうすることで本当に大切なものがわかり、ストレスが減り、思考もクリアになるといいます。
しかしミニマリズムを実践した著者は、何か物足りないような感覚になったそう。足りなかったものは「あたたかさのある、心地いい暮らし」でした。
何の意味もない余計ながらくたではなく、自分が好きだと思えるものに囲まれて過ごす。(中略)家の中を見渡したとき、喜びや安らぎ、愛、懐かしさを覚えるものに囲まれているのが理想です。
(『Hygge(ヒュッゲ) 北欧生まれの「世界一幸せなライフスタイル」実践法』p.137より引用)
とにかくモノを排除するという暮らしではなく、自分が好きなものを選りすぐって暮らすという考え方。余計なものがいらないのは同じですが、心地いいと感じるものとは一緒に暮らしていくということです。
豊かな心が育ち、人やモノにやさしくなれるヒュッゲの暮らし方を実践することで、自分の気持ちに余裕ができ、自分にも、周囲の人にもやさしくなれるといいます。電子機器に囲まれ忙しい毎日を送っている現代人が、心地よく過ごす時間を取り入れることで、自分自身を見つめるキッカケにもなりそう。
この本には、インテリア、おもてなし、家事、職場、服装、香り、料理など細かな部分で「ヒュッゲする方法」が書かれています。そして、それによってもたらされる効果も。ヒュッゲを取り入れることで、多くのものを愛しいと思えたり、多くのものに感謝したくなったり、いつもの何気ない行動や考え方がガラリと変わりそう。
1人の時間にテレビを消して、温かい飲みものを飲みながら、ゆっくりと読みたい本です。
[Hygge(ヒュッゲ) 北欧生まれの「世界一幸せなライフスタイル」実践法]