うどんのコシや、パンのもちもち感に欠かせない、小麦のタンパク質成分「グルテン」。
昨今のアメリカでは、グルテンが含まれている食品を摂らない「グルテンフリー生活」を送る人が増えています。
なぜグルテン摂取を避けるべきなのか? 避けたほうがよい人と必要がない人は? 避けるならどうするとよいのか、グルテンフリーに関する疑問に管理栄養士が答えます。
Q1. グルテンフリーはやせますか?
『JAMA Internal Medicine』誌で報告された研究によると、グルテンフリー生活を送るアメリカ人は、2009年から2014年の間に3倍にも増えたそう。
ダイエットのためにグルテンフリーをすすめるセレブも多数ですが、グルテンを排除してもやせません。特にグルテンフリーの加工食品を食べてしまったら、なおさら。
セリアック病やグルテン過敏症で悩む人はアメリカに300万人いると言われます。そういった人たちが膨満感やおなかのガス、下痢や腹痛といった症状を防ぐためには、グルテンフリーを取り入れることが最もよいとされます。
しかし、グルテンフリー生活をするということは、単にパンに手をつけないようにすることだけではありません。グルテンはしょうゆ、肉加工品、ポテトチップス、ドレッシングなど様々な食品に含まれているのです。
Answer! やせません。
Q2. グルテンフリーはみんなやったほうがいいの?
グルテン不耐性やセリアック病でなければ、生活をグルテンフリーにする必要はありません。
「グルテンフリーにすると体が軽く、調子よく感じることがありますが、それは添加物が多く含まれる加工食品を食べなくなるからだと言えます」と、米国栄養と食事のアカデミー広報担当者、トレイ・アムルさん(理学修士、管理栄養士、認可栄養士、スポーツ栄養士)
しかし、その利点を考慮してもなお、「グルテンフリーは、不耐性がある人のみが生活に取り入れるべき」とアムルさんは言います。なぜなら、全粒穀物を不必要に排除してしまい、ビタミンやミネラルといった体に重要な栄養素が不足するから。
グルテンフリーの代わりに、加工食品をなるべく減らしてみるとよいかも。「できるだけ野菜、果物、全粒穀物を食べ、不必要な添加物を避けるのがベスト」とアムルさん。
Answer! グルテン不耐性、セリアック病の人には推奨。そうでない人は栄養不足に注意。
Q3. 「グルテンフリー」と書かれた食品なら安心?
クッキー、ケーキ、パン、クラッカー、パスタなどさまざまなグルテンフリー製品が店頭に並んでいますが、多くの場合、グルテンフリーという表示は、単に健康そうな雰囲気を醸し出しているだけ。
「おいしくするために、グルテンを脂肪や糖分に置き換えてあるのです」とアムルさん。
なので、求められるのは、果物、野菜、脂肪分の少ない肉、健康な油、豆類、ナッツや種、乳製品といった自然の状態からグルテンを含まない食品を、できるだけ本来の姿のままで食べること。
その上で、加工食品はたまのおやつ程度に。
Answer! 加工食品よりも、未加工食品をおすすめ。
Q4. パンやパスタなど小麦製品だけ避ければよいの?
もしもグルテンフリーを実践するには、食品の原材料表示を確認するクセをつけることが重要です。
「グルテンは、いろいろな種類の全粒穀物に含まれるタンパク質」と、Grain Foods Foundationの監修メンバーであるアンジェラ・ジン・メドウさん(管理栄養士、認可栄養士、糖尿病療養指導士)。
原材料表示に小麦、大麦、ライ麦、ビール酵母、古代小麦(スペルト、ファッロ)、オートミール、小麦の胚芽やふすまがないか確認するのが大切に。
たとえば、ビール酵母はビールだけでなくワインにも含まれます。また多くの缶詰スープにも、とろみ付けに小麦粉が。
ハム・ソーセージ類や大豆ミート、小麦やナッツが多く入ったグラノーラバーにも微量のグルテンが入っている可能性も。
Answer! いいえ。
Q5. いっそのこと、穀物はすべてやめてもいい?
グルテンフリー生活だからといって、あらゆる全粒穀物を摂らないわけではありません。
キヌア、ミレット(雑穀)、玄米、そば粉、その他のいくつかの全粒穀物は問題ありません。
とはいえ、グルテンフリーにすると、選択肢は限られ、食物繊維やビタミンA、Eがどうしても摂りにくくなります。「全粒穀物には微量ミネラルと呼ばれる、鉄、亜鉛、銅、マグネシウムが豊富」(ジン・メドウさん)
アムルさんは、主な栄養素を不足なく摂るため、1回の食事の半分以上を果物と野菜にするようすすめます。
野菜や果物、グルテンフリーの全粒穀物、脂肪分の少ないタンパク質、健康的な油を色々と組み合わせ、食事にバリエーションを出すとよいかもしれません。
Answer! キヌア、ミレット(雑穀)、玄米、そば粉など問題ない穀物もあります。
Q6. 外食ではどうオーダーする?
レストランで食事をする前に、メニューを事前に調べておくのもよいでしょう。
「レストランに要望をもっと伝えてもよいでしょう。ていねいに説明すれば、レストランも工夫してくれるはずです」(アムルさん)
ソースのとろみ付けに小麦粉が入っていたり、パン粉のついた揚げ物にも気をつけるとよいでしょう。
Answer! 事前にメニューのチェックを。また、お店の人に聞くとよい。
Q7. 食べ物だけ気にしていればOK?
まさかと思うかもしれませんが、歯磨き粉、マウスウォッシュ、口紅、リップクリーム、サプリメント、特定の薬などにグルテンが含まれている場合があります。
セリアック病などを患っている人は、「グルテンフリーでない製品を使用したせいで、症状が起こることもあります」とジン・メドウさん。セリアック病ファウンデーションによると、疱疹状皮膚炎(セリアック病の症状のひとつ)にかかると、かゆみのある発疹が腕、膝、お尻に出るそう。
とくに飲み込む可能性がある製品には注意。このような反応は外用剤が原因のように思えますが、グルテンを体内に取り入れてしまって引き起こされます。成分表示をしっかりと確認しましょう。
Answer! 歯磨き粉、マウスウォッシュなどにも含まれていることがあります。
グルテンフリー、もっと知りたい!
Maggie Finn Ryan/6 Common Mistakes You're Making With Your Gluten-Free Diet, According to Dietitians/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)