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人種と宗教をこえて10万食を提供。聖なるキッチンの舞台裏
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人種と宗教をこえて10万食を提供。聖なるキッチンの舞台裏

2014-09-09 00:00

    おいしいものがいっぱいの実りの秋は、いつも以上に食卓も華やかになります。そんな秋にぴったりな、おいしい映画をご紹介します。

    だれもがお腹を満たせる場所

    9月27日(土)から公開になるドキュメンタリー映画「聖者たちの食卓」。舞台になっているのは、インドのシク教総本山ハリマンディル・サーヒブ(黄金寺院)」ここでは毎日10万食の豆カレーが宗教も人種も階級も職業も関係なく、巡礼者や旅行者など訪れたすべての人のために、すべて無料で提供されています。

    想像もつかないほどの量の食事は毎日どうやって用意されているのかを、驚くべきキッチンの舞台裏と、それに関わる人びととをカメラが映しだしています。

    興味深かったのは、すべてがシンプルだという点。便利なキッチン用具も、ハイテクな配膳システムももちろんありません。ずっと昔から受け継がれてきた知恵や方法で、みんなが一緒になっておたがいのことを思いやりながら食事をしているのです。そうでなければ、この習わしが500年近くも続くことはなかったでしょう。

    この映画の監督を務めたのは、自らも移動式キッチンのシェフとして腕をふるうベルギーのフィリップ・ウィチュスとヴァレリー・ベルトー夫妻。 今回、来日したフィリップ・ウィチュス監督にお話をお聞きすることができました。

    「黄金寺院」はひとつの社会です。この場所にずっと住んでいる人もいますし、ひとつの世界が成り立っています。そして、わたしは、全ての宗教の人、誰でも入ることができて、食事ができるという考えに一番感銘を受けました。

    大人数の食事を作る姿に感動し、これを世界に届けなければと思いカメラを手にした監督。「黄金寺院」のキッチンを初めて訪れたときは、あまりに効率が良く食事を提供している様子が印象的で、組織されたカオスのように見えたのと同時に深い静けさも感じたそうです。

    お金は限られているのに、たくさんの食事を作ることができているのです。
    インドはけっして裕福な国ではありません。しかし、こういったことができることを皆さんにも知って欲しいですし、世界の人にとっての教訓になって欲しいと思います。

    この映画を観て改めて感じたことは、みんなで食卓を囲むことの大切さです。「独りで食べることにどんな楽しみがあるのかい? 大勢で食べるほうが楽しいのは 一目瞭然だよ!」と監督。すこしまえの日本では当たりまえだったのに、現代社会ではなかなかそうはいきません。

    外食すると高くつくのであれば、家に招待してみてはどうですか? 家が狭かったら、公園に集まって持ち寄って食べてもよいのです。安くてもいいから一緒に食べることが大事。

    メニューは、パスタなどの簡単なもので大丈夫。ベジタリアンメニューならだれでも食べられるので安心です。あと、彩りは豊かに、絵を描くように見た目を美しくしてください。メニューを先に考えるのではなくて、お天気に合わせて料理をしてください。

    毎回の食事をもっと丁寧に食べることはもちろん、団らん、人との繋がりなど、生きることに大切なことを改めて考えなおすきっかけに。観終わるとカレーが食べたくなります。もちろん、そのときは誰かを誘ってみてくださいね。

    舞台となった黄金寺院もとても美しく、夜の表情もすごく神秘的で実際に訪れてみたくなりました(実際に「黄金寺院」に行けるパッケージツアーもあります)。

    [聖者たちの食卓]
    監督:フィリップ・ウィチュス,ヴァレリー・ベルトー
    原題:Himself He Cooks
    2014年9月27日(土)より、渋谷アップリンク、新宿K's cinemaほか、全国順次公開

    RSSブログ情報:http://www.mylohas.net/2014/09/040633curry.html
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