みなさん、こんにちは。アストロ・コミュニケーターの景山えりかです。
新月の日に願い事をしたり、満月の日にダイエットを始めたり......近年、多くの人が月に関心を寄せ、ライフスタイルに月のリズムを取りいれるようになりました。その根拠は、占い的なものが目立ちますが、月が人間に及ぼす影響について科学的にアプローチをした人がいます。それはアメリカの医学博士、アーノルド・L・リーバーです。
月と人の関係を考えるリーバー博士が著した『月の魔力』は、月と人間の関係について考える際の必読書といえますが、最近では本書を知らない人も多いので、ここで紹介しましょう。
日本で『月の魔力』の初版が発行されたのは1984年。その後、新たな章が加えられた『増補 月の魔力』が1996年に出版。そして、2010年に普及版がでて、現在に至っています。初版から数えると今年で30年になるわけですね。掲載されている資料やデータは古くなってしまいましたが、内容は今読みかえしてみても、好奇心を刺激するものばかり。時が流れたからこそ、古いものから新しさを感じるのかもしれません。
リーバー博士は、月の引力が海の潮の干満を引き起こすように、人間の体内にも潮汐作用が起きているのではないかという、壮大なバイオタイド理論を本書で展開しています。私の手元にある『増補 月の魔力』から引用しましょう。
生命あるものはすべて天体運動に共鳴している。われわれは息づいている宇宙の一部分である。潮のように遠のいたり近づいたりする天体の動きに、われわれはたえず影響されている。
(『増補 月の魔力』87ページより引用)
これはリーバー博士の考えにすぎず、天体が人体に与える影響については、いまだ科学的に実証されてはいません。けれど、『月の魔力』に書かれていることは、私たちが心のどこかで意識しなければいけないこと。なぜなら、私たちの存在が、宇宙の一部分であることには違いないのですから。
宇宙のリズムは、たいがいは弱いものばかりだが、規則正しくいつまでも反復されるので、環境や進化にしばしば影響の足跡を残してきた。だから、これらの力がもつ微妙な影響を無視してはならない。
(『増補 月の魔力』33ページより引用)
秋は月が美しい季節です。また、10月8日は皆既月食が起こります。『月の魔力』を読んでから夜空を見上げれば、月の見方が変わり、その存在が今までとは違うように感じ、新たな発見や気づきがあるかもしれません。
[増補 月の魔力]
photo by Thinkstock/Getty Images