返事にこまるシーンといって真っ先に思い出すのが愚痴です。相手がどんな返事をもとめているのかがわからないので、どう応えていいのか悩みます。そんなときはどうすればいいのでしょうか?
愚痴を言う人は、自分の愚痴が相談でないことはよく承知しています。
ですから、話を聞いた最後に「まあ、そんなもんですよ」と言うぐらいでちょうどいいと思うのです。それで相手もサッパリします。
(『気にしない練習: 不安・怒り・煩悩を「放念」するヒント』P39より引用)
愚痴は聞き役に徹するのがいいと言われます。だれかの悪口のような愚痴など、どう答えても角が立つときが多いからです。また愚痴を言う側にしても、ただ聞いてほしいだけなのに、解決策や問題点を鋭く突いてこられるとがっかりすることもあります。
そう考えると、やはり「まあ、そんなもんですね」くらいがちょうど良いのかもしれません。
「そういう考え方もあるね」も効果的人にはそれぞれ異なる価値観があって当たり前だと、頭では思っていても、やっぱり自分と反対の意見の人との会話は心が穏やかでいられません。そんなときはどうすればいいのでしょうか?
(前略)理解と同意は違います。私は同意するかは別として、理解できるという意味で「ま、そういう考え方もあるよね」と思い、相手に伝えることにしています。
(『気にしない練習: 不安・怒り・煩悩を「放念」するヒント』P41より引用)
異なる意見同士でぶつかり合っても埒があかないこともあります。自分の価値観を押し通すよりは、同意はしなくてもせめて相手の言いたいことを理解し、またそのことを伝えることで、ぶつかることなくお互いを尊重し合えそうです。
「親切にどうもありがとう」も使える自分がどれほど親切な人なのか、いろんな人にアピールしたがる人がいます。でもそのアピールは受け取る側にしてみると過度に感じ負担に思うことも。そんなときにはどう対応したらよいのでしょうか?
他人のことに口出しをしたがる人との接し方は、「ご親切にありがとう」と言うのが大人の対応。
(『気にしない練習: 不安・怒り・煩悩を「放念」するヒント』P43より引用)
本心では「大きなお世話です」と言いたいところですが、そんなことを言えば角が立つのは目に見えています。ここはひとつ距離を置くように、「ご親切にありがとう」のひとことで受け流してしまうのが良いようです。
また同書によると、おせっかいはひとつの慈悲であり、それをコントロールする力を智恵というのだそうです。
愚痴のお相手をするとき、価値観の違う人と話をするとき、お節介な人と接するとき、この困ったシーンで使えるご紹介した返事のしかたは、人とのあいだに摩擦をおこさない潤滑油のような智恵でもあります。
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