でも、その「大人」ってどういうことでしょうか。年齢や常識の有無だけでは説明できない、本当の大人の条件とは何なのでしょうか。
そこに答えを提示してくれるのが、思想家の内田樹氏と、精神科医の名越康文氏、文筆家の橋口いくよ氏らによる『本当の大人の作法』(メディアファクトリー刊)。
偏っていいから、自分の意見を表明する本当の大人にはもちうるべき作法があるそうで、そのお作法をここでご紹介します。
ひとつめは、「中立ぶるのをやめる」。
ほんとうに広々とものを見ようとしたら、中立的な視点を僭称すべきじゃないんだよ。
(『本当の大人の作法』p117より引用)
ミーティングなどで意見対立したとき、自分は中立的立場です、とふるまうことは、自分の立ち位置や視点を相手に見せないということになる。それよりも、偏っていていいから、自分の意見を明らかにすることが大人としてのお作法。
私も対立をおさめたくて中立を選んでしまうことがあるけれど、大人として自分の立ち位置を明らかにして行きたいものです。
大人になっても前進することの大切さふたつめは、「執着をとる」。
名越 執着というのは、そこに留まり続けるということでもありますからね。
橋口 留まる、止まるというのは生命として進化を拒否することなのだから、やっぱり死に近づいてしまうってことですね。
(『本当の大人の作法』p159より引用)
誰かひとりの人間に執着してしまったり、何かひとつの仕事に執着してしまうことは、それに一生懸命取り組んでいたら当然起きてしまう感情です。でも、失うことを恐れて執着し続けると、成長することができなくなってしまいます。
子どもだったら、誰かにお尻を叩かれて前に進んでいくのかもしれません。でも大人は、自分自身を前進させることができなければいけない。
大人になるということは、自分のふるまいに常に意識的であることかもしれません。
[本当の大人の作法]