アポなし突撃訪問だけで保活終了
私たちがとったやり方はいたってシンプル。自宅から歩いて通える範囲すべての託児所(以降、Kita)にベビーカーを押しつつ突撃訪問し、順番待ちリストに名前を載せてもらう、という方法です。電話やメールだけではちゃんとリストに名前を載せてもらえたのかわからないし、やはりちゃんと自分たちの目で見て決めたかったから。それと、我々の顔(と誠意も)を見せて園側と話をし、こちらの意思を直接伝えることは重要だと判断したので。
実際訪問したKitaは全部で7、8件でしょうか、一年以上先までおそらく空きは出ないと言われることもありました。けれど運よくそのひとつに3か月後から空きを一枠見つけ、なんともあっけなく保活終了。娘がちょうど一歳半のときにKitaデビューとなりました。
隣の自治体は待機児童も
ところが、ひとつ隣の自治体をのぞいてみると、現状は全く違います。妊娠中から保活にいそしんだにもかかわらず、待てど暮らせど空きが見つからず、職場復帰が先延ばしになっている。とか、何とか空きは見つけたものの希望のところには入れずじまい、結局自宅からも職場からも遠いところで手を打たなければならなかった(しかも保育料は高額!)、なんていう話も。
そんな感じなので、ドイツの保活事情を総じて語るのは難しく(ドイツの抱える大きな課題のひとつともいえます)、地域間格差というか、不公平感は否めないのが現状です。
保育料を完全無料化!?「託児所クーポン券」
近年スタートし、ハンブルク市やベルリン市などで取り入れられているシステムが、託児所クーポン「Kita-Gutschein」。子どもをKitaに預ける際、その費用をクーポン券で支払うことができる仕組みです。クーポン券は役所で手続きさえすれば、どの子どもに対しても発行されます。ちなみにハンブルク市では就学前のすべての子どもに対し、一日5時間分までのクーポン券の発行を保障、場合によっては各家庭の事情(両親の職業や就業時間、世帯収入額、一人親など)を鑑みて追加時間のクーポンが発券されることもあります。
我が家の場合だと、娘をKitaで毎日8時間預かってもらっているので、そこからクーポン券5時間分を差し引いた、一日3時間分、プラス給食費や遠足費などの実費を保育料としてKitaに支払っているという感じ。この制度、かなり助かっています。
これはもちろん「社会福祉の充実」「子育て家庭に優しい政策」といった目的があって行われているわけですが、しかし、もう一歩踏み込んでみると、移民国家ドイツならではの独特の事情もあったりして......。
ということで、次回は旬の話題でもある「移民問題」とKitaについて、お話したいと思います。