たしかに、デリケートな赤ちゃんの肌と、わんぱく盛りの年齢の肌が必要とする清浄効果は同じではないでしょう。3種どの石けんにも共通する原材料は、シアバターですが、それ以外の油分や、香りにもなるエッセンシャルオイルは、異なるものが使われています。
また、子どもの乾燥肌用ブレンドオイルも最近開発されました。当然ながら、化学物質やアルコール、パラベン、保存料、パラフィン、着色料はフリーです。
生まれてきた娘のアトピーがきっかけ
このブランドを立ち上げたのは、2児の母でもあるAgnès Laffourcade(アニエス・ラフルキャド)さん。アメリカでジャーナリズムとコミュニケーションを学んだあと、そのまま米広告代理店で経験を積んだ女性です。
アニエス・ラフルキャドさん
6年のアメリカ暮らしののち、フランスに戻り、広報の仕事と、家業であるワイン醸造業の手伝いなどを経たのち、アンファンス・パリを立ち上げました。
バリバリのキャリアウーマンのアニエスが、子ども用オーガニック石けんに携わることになったきっかけは、生まれてきた娘さんのアトピー肌だったといいます。
アニエス自身、子どものころから敏感肌で、肌につける製品は、つねに注意深く選んできました。その経験から、娘さんのアトピー性皮膚炎にもすぐに気が付き、その肌に合うものを探したそうですが、納得できるものはひとつも見つけられなかったそうです。
縁とは異なもので、ちょうどそのころ、フィトケミカル専門家と知り合い、そのオーダーメイド製品を試してみると、効果はてきめん。その感動を、同じ問題を抱える母親たちに伝えたいと願ったのが始まりだそうです。
副産物は家族や友人との密な時間
製品の開発から、商品化、マーケティングと、その道のりは平坦ではなかったと思いますが、家族の絆は、かえって強くなったようです。
アニエス自身、アンファンス・パリの仕事を「冒険」と呼んでいますが、この冒険はアニエスひとりのものではなく、家族みんなのものだと語ってくれました。
「(アンファンス・パリの冒険には)夫にも、子どもたちにも協力を呼び掛けています。たとえば、パッケージの色や、香りを選んでもらったり、製品の名前を考えても らったりもしました。両親は両親で、文章校正をしてくれるし、兄弟は経理関係の手伝いをしてくれています。パッケージに製品を詰めるのも手作業で、これは 友だちの協力も得ていて、作業の後はみなでアペリティフ(食前酒)タイムになるのよ」(アニエス)
忙しいとはいえ、自分自身が120%納得した製品を扱い、家族や友だちとの密な時間も、副産物でついてくる生活。アニエスの生き生きと楽しげな表情の源は、そのあたりにあるのかもしれません。
オンオフの切り替えのために、子どもたちが学校から帰ってきたら、一切メールチェックはストップするというアニエス。「簡単なことよ」と彼女は言いますが、私には「言うは易し、行うは難し」に思えます。でも考えてみれば、こういう意志の強さを持っているアニエスだからこそ、家族での冒険をエンジョイできるんだろうなと、深く頷いた次第です。
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