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記事 15件
  • 【12万字・記事13本詰め合わせセット】鈴木千裕、斎藤裕、北岡悟、長井満也、朝倉未来KO…

    2023-11-30 23:59  
    600pt
    非会員でも購入できる大好評インタビュー詰め合わせセット! part117大好評記事16本15万字で600円!!(税込み)
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    part117◯RIZINフェザー級チャンピオン・鈴木千裕
    ◯斎藤裕「クレベルに勝てば、ケラモフ戦のラインに……」
    ◯RIZINアゼルバイジャンに見えた「PRIDE.1」■笹原圭一◯【年の差24歳婚】北岡悟 「格闘家と結婚」◯朝倉未来と島田紳助
    ◯朝倉未来vsYA-MANはなぜ◯◯にやってしまったのか
    ◯PRIDEからRIZINまで! 選手の名前をコールし続けた男・太田真一郎
    ◯フューリーvsガヌー“不平等の克服”のドラマ◯平本蓮、井上直樹、佐々木憂流迦、神龍誠のこれから■シュウ・ヒラタ◯猪木さんをあまりよく知らない人が『アントニオ猪木を探して』を見たら◯恐るべきプロレス団体リングスの真実■長井満也インタビュー◯「もう懲り懲りです」未払い、ずさんな扱い……女子プロレス団体への不満爆発!◯日本の女子プロレス文化のアメリカ的解釈『Sukeban』と『Kitsune』■斎藤文彦
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    大会後恒例!RIZIN笹原圭一さんのRIZINアゼルバイジャン総括です!(聞き手/ジャン斉藤)
    ――笹原さん!RIZIN初の海外開催となったアゼルバイジャン(以下AZ)大会はかなり大変だったんですよね?
    笹原 これがですねえ、笑っちゃうくらい大変でしたよ!
    ――やっぱり(笑)。
    笹原 だって疲れ果てて帰国して、会社の車で迎えに来てもらったんですよ。荷物もいっぱいあるんで。で、自宅の近くまで送ってもらおうと思ったら、車が動かないんですよ!「何これどういうこと?おかしいジャン!」となって。
    ――まさか、バッテリーが上がって動かないとかそういうくだらない理由ですか?
    笹原 そのまさかですよ! 迎えに来てくれた若手社員がJAFに電話したら「いまからだと1時間くらいかかりますね。そんなすぐに行けないジャン」とか言われて、完全に心が折れました。
    ――……笹原さん、せめて冒頭はAZ国内で起きたエピソードでお願いしますよ!(笑)。
    笹原 とにかく最初から最後まで本当に大変でしたよ。
    ――それにしてもAZ大会の結末は凄かったですね。鈴木千裕がケラモフに失神KO勝ちでフェザー級王者に。
    笹原 アゼルバイジャンに稲妻が落ちましたよ!! 君の拳は10000ボルトです!!
    ――追悼・谷村新司! 深夜3時にも関わらず、PPV視聴者がけっこういたことに驚いたんですよ。途中のハーフタイムショーでみんな心が折れなかったんだなと。
    笹原 あのダンスしていた子たちは、地上に降りた最後の天使ですよ(笑)。
    ――『君のひとみは10000ボルト』の歌詞をブッ込まれても、令和の格オタには1ミリも通じませんよ!
    笹原 まぁでも、あのハーフタイムショーには、皆さんよりもそもそも我々が心を折られてましたからね(笑)。
    ――ハハハハハハハ!  
    笹原 そのへんの話はあとにするにして、あんなド深夜なのにこれだけ注目されたのは、メインでタイトルマッチをやったことが大きかったですよね。今回はRIZINの本戦なんですけど、初めて海外開催。しかもあまり馴染みのないAZでやったことで番外編の感じはあったじゃないですか。AZでやるからには当然AZの選手たちが中心のマッチメイクになって、日本のファンからすれば「見なくてもいいかな」となりがちですけど。
    ――タイトルマッチをやったことで番外編感がなくなったというか。
    笹原 そうです。「乗りに乗っている鈴木千裕を見なくちゃいけない!」っていう空気がありましたよね。
    ――今回のケラモフは、よく知らない外国人相手にお茶を濁して、大晦日にタイトルマッチ……という流れもあったはずですけど、あえて直球勝負したことでドラマチックに動いたってことですよね。
    笹原  あんなペダラーダ、普通は当たんないですよ! 拳で稲妻落とすと思ったら脚から稲妻ですよ!五味隆典どころか木村健悟もびっくりですよ(笑)。
    ――これぞ稲妻レッグラリアット!!  しかし、試合後、木村千裕のレガースに凶器が仕込んでいたことが発覚して後楽園ホールでフジナミ・ケラモフvs木村千裕のワンマッチ興行が……って、これも令和に通じるネタじゃないですけど(笑)。鈴木千裕からすれば、テイクダウンされてもガードに持ち込めたのがホントに大きいですよね。
    笹原 あそこからパウンドを打とうとすれば身体を振ってくる。そのときに下から三角を狙えば、身体が起き上がるから、そこに合わせて蹴り上げしようと思っていた……ってことですけど、本当かよ!?って(笑)。
    ――鈴木千裕のキャラクターからは想像もつかない緻密さ(笑)。
    笹原 でも、実際に当ててますからねぇ。ああやって説明されると誰でもできそうな感じがしちゃいますけど、普通はあんなの当たらないです。良い子は真似しちゃダメ!(笑)。
    ――最初は下からのパウンドで決まったように見えたんですよね。ケラモフはトップキープしてるように見えるし、しかも下から鈴木千裕が暴れてたからケラモフが動いてるように見えて。でも、JMOCのレフェリーは最初からケラモフの動向を探っていたからさすがだなって。
    笹原 試合が終わった瞬間、会場は「え?何が起きたの?」みたいな感じで呆然とした空気でしたね。その前のセミがムサエフvs武田光司だったんですが、ムサエフは国民的な人気があって超盛り上がったんです。
    ――ケラモフはアゼルバイジャンMMAの先駆者にして、アルメニアの紛争では最前線に立っていたからカリスマ化してるんでしょうね。
    笹原 入場式のときからAZの選手には大声援で、とりわけムサエフはすごかった。え?BTS出てきたの?っていうくらい(笑)。なのでムサエフが武田選手をケージに押し込むだけで「うわあああ!!」ってみんな立ち上がって地鳴りみたいな歓声が起きてたんですよ。だからムサエフがKOで勝ったときはもちろん大爆発。そのあとメインのケラモフの試合が始まるんですが、試合が終わったばっかりのムサエフが走ってきて、ケージに入る前にケラモフを抱擁して、そのままケージサイドで応援してたんです。最後にケラモフがタイトルを防衛して「アゼルバイジャン万歳!」というエンディングになると思ってたら……。
    ――いままで引っ張ってきたムサエフ、これからを支えるケラモフ、この2人の力で成し遂げたAZ大会だったのに……。
    笹原 なんか総天然色映画が最後にいきなり無声映画になる感じですよ(笑)。
    ――それくらい静まり返っていたと。
    笹原 もっというと時間が止まった感じでしたよ。ただ今回全体的にAZのファイターはちょっと硬かったんですよ。ムサエフもすごく慎重だったし、ケラモフも表情が硬いように見えた。それは地元であの雰囲気の中でタイトルマッチですから負けられないってことでしょう。
    ――自国で戦うことで背負うものができたってことですね。ケラモフの落ち込みを想像したら胸が苦しくなりますよ。
    笹原 たぶんケラモフの家族も会場に見に来てたはずですからね……。ボクらはPRIDEのときからこんな格闘技の残酷さ、圧倒的な現実を何度も突きつけられたじゃないですか。
    ――残酷な結末にショックを受けて、とぼとぼ会場をあとにするという。ボクはたまアリの帰り道、やけになって赤羽で降りてタクシーに飛び乗って下北沢まで帰ったことがありますよ(笑)。
    笹原 AZ国民からすれば、初めての国を挙げて行われたMMAイベントですからね。「なんでこんな悲しい思いをしなきゃいけないんだ。思てたんとちがう!」ってなったと思うんですよ(笑)。でもこれ間違いなく癖になるんですよね(笑)。
    ――ハハハハハハハ! スポーツって国家のプロパガンダ的に使われる場合があるから、勝つことが前提なんですけど、負けを味わうエンターテイメントってあんまりないから中毒性はありますね。
    笹原 こんな圧倒的な現実を突きつけられてショックを受けたお客さんは多かったんですけど、次回あるとしたら今回来た人は絶対に見に来ますよね。
    ――AZ側の制作チームはどうだったんですか?
    笹原 今回AZの興行を請け負った会社はマックスさんという方がボスなんですけど。そのマックスさんは会場に来ていたAZ政府の偉い人たちをアテンドしていたんですが、大会の盛り上がりにみんな喜んでいたと。でも、その偉い人が帰るとき車に乗ってもしばらくエンジンをかけられなかったらしいんですね。
    ――あまりのショックで車を動かせないと... いい話です!
    笹原 それを見てマックスさんが「これは完全にハマったな」と、ニヤリとしたそうです(笑)。
    ――AZにも地獄のプロモーターがいた!(笑)。榊原さんや笹原さんたちも、必死に奔走して実現したPRIDE.1の高田延彦vsヒクソン・グレイシーがあんなにあっさり終わってしまったことで呆然としたわけじゃないですか。鈴木千裕vsケラモフはAZ国民にとっての「PRIDE.1」ですよ!
    笹原 AZのスポーツ大臣も大会後に行われたパーティーで「スポーツは人生と同じように思う通りに行かない。残酷な結末が待っていることがある。でも、これこそが我々がこの国で伝えたかったことだ」って演説したんですよ。
    ――なんて素晴らしい演説!
    笹原 その翌日にはマックスさんから「おい、来年の話をしよう」という連絡がさっそくありましたからね(笑)。
    ――ハハハハハハハ! 
    笹原 AZからしたらあの結末で終われないですよね。
    ――高田キャプテンじゃないですけど「もう一丁!」ですよね。高田vsヒクソンの再戦は1年後の同じ日にやりましたけど、千裕vsケラモフの再戦も11月4日にやりかねない(笑)。
    笹原 あの会場は国が管轄しているので、いつでも抑えられるはずなので、もう来年の11月4日を抑えている可能性があります(笑)。12万字・記事13本詰め合わせセットはまだまだ続く…… 
  • PRIDEからRIZINまで! 選手の名前をコールし続けた男・太田真一郎

    2023-11-27 12:14  
    200pt
    PRIDEからRIZINまで! 選手の名前をコールし続けた男太田真一郎さんの17000字インタビューです!(聞き手/松下ミワ)【1記事120円から購入できるバックナンバー】・レスリングを20年間、撮り続けきたカメラマン――保高幸子インタビュー
    ・格闘技はあなたの人生を変える! 違法薬物からの更生……咲間“不良先輩”ヒロトの場合
    ・ボクは最初からあのレベルの平本蓮を見ていたんです■石渡伸太郎
    ・至近距離から見たクレベル・コイケvs金原正徳■八隅孝平
    ――今日は、太田さんの取材で青二プロダクションのオフィスに来ているんですが、さっそく打ち合わせ室にTHE MATCHの記念Yogiboが置いてあります(笑)。
    太田 そうなんですよ。THE MATCHのようなビッグイベントに立ち会えた記念として買っておこうと思いまして。勝利した選手がもらえるのは「THE MATCH」のところが全部刺繍なんですけどね。これ、自分の家にも一個置いてあります。
    ――ということは、ふたつ買ったんですか!?
    池田マネジャー(以下、池田) ここに置いてあるのは、太田がボクに買ってくれたんですよ。せっかくだから会社に置いておこうと思って。
    ――いずれにしても筋金入りのマニアですね!
    太田 いやいや、筋金入りと言うほどまったくアレなんですけど。でも、ボクはDropkickの会員です。
    ――そうだったんですか(笑)。ありがとうございます!
    太田 全部を楽しく理解しながら読むほど、格闘技・プロレスも含めて詳しいわけではないんですけども。
    ――とはいえ、太田さんは格闘技・プロレス業界にはかなり関わりが長いですよね。
    太田 長いですねえ。2000年のPRIDE GP開幕戦からなので、年数だけ言ったら23年間、リングアナウンサーをやらせていただいてます。
    ――23年もやっている方ってなかなかいないですよ。
    池田 当時はレニー(・ハート)さんと一緒にスタートしたんだっけ?
    太田 いや、ボクが開幕戦で、レニーさんが決勝戦からじゃない? だって、開幕戦のときはまだ前の方がいた気がするから。
    ――さすが詳しい(笑)。というか、レニーさんの前の方がいたんですね。
    池田 いました、いました。じつは、ボクはPRIDE.1から関わっていて。というのも、以前はUインターでフロントスタッフをやっていた人間なんですよ。
    ――えっ! そうなんですか?
    池田 で、当時Uインターには小野坂昌也と吉水孝宏と石川英郎という青二の声優がリングアナで来ていたんですけど、その後、ボクが青二に転職して、それでPRIDE.1が開催されるとなったときに、ちょうどブッカーK(川崎浩市)さんが「池ちゃん、青二に移ったんだからリングアナをブッキングしてよ」と。それで小野坂昌也をブッキングしたんです。
    ――なるほど。だからそんなに詳細に。
    池田 だから、PRIDE.1とPRIDE.2を小野坂がやって、PRIDE.3をUインター時代に最後にやっていた吉水がやったんですよね。ちなみに、PRIDE.4からはたしかウチの服部潤という、いまトップナレーターのひとりとして活躍しているのが……ええっと、サクちゃん(桜庭和志)とホイラー・グレイシーの試合っていつでしたっけ?
    ――PRIDE.8ですね。
    池田 そこまでは服部さん確実にやってるはずですね。
    太田 服部さんはね、ボクが参加しはじめた開幕戦までいたんですよ。だって、ボクはそのときリング周りのアナウンスはやってないから。リング上のコールだけしてくれればいいと言われて、「あとは?」と聞いたら「何もしなくていい」という感じだったから。
    池田 そうか。で、英語のアナウンスは、たしか最初はローリングストーンズのファンクラブの会長をやってたマイク越谷という方でした。
    ――凄い情報が続々と(笑)。
    池田 「ヒクソ~ン・グレイシ~」みたいなちょっと味のある男性で。そのあとにも日本人のバイリンガルの方がやるんだけど、今後PRIDEは海外に向けても放送していくから英語ネイティブの人がいいということでレニーさんに決まったんですよね。当時、まだ彼女は青二の所属じゃなくてフリーランスでやってたんだけど。だから、ボクは太田さんは同じタイミングだったと思ってたけど、違ったんだね。
    太田 ボクの記憶では、レニーさんはGP決勝戦からだったような気がする。
    池田 いやあ、だいぶ記憶が遠くなっちゃったなあ。
    ――いずれにしても、PRIDEのコール関係は代々、青二プロダクション所属の方がやってらっしゃったということなんですね。
    池田 PRIDE.1からずっとそうですね。レニーもいつの間にかうちに所属になりましたし。
    ――そんな中でも、長年担当されてる太田さんは、そもそも声の仕事をしようと思ったのはいつぐらいからだったんですか?
    太田 最初は中学生の頃ですね。中学のときに学習塾で仲良くなった別の学校の友達がいたんですけど、高校になってからその子とラジオドラマみたいなのをつくるようになったんです。その場のアドリブで友達にセリフを言って、それに対してセリフが返ってきてという。アドリブで物語をつくるという遊びをやっていて、友達が音楽を入れて編集してくれていたんですけど、それがきっかけでこういう世界の仕事に興味を持ちました。
    ――へえ~、面白いですね。
    太田 で、高校卒業のときに、NHKの何かの番組で青二の養成所のことが紹介されていて。それで「ここに行こう」と思って入って、いつの間にかいまに至るということです。
    ――それまでって、なんかこう自分の声が人と違うなという認識ってあったんですか?
    太田 もう全然。まったくないです。とくにちっちゃい頃、ボクは「か行」が言えなかったんですよ。というか「か」は言えたんですけど、たまにちっちゃい子供にいるんですけど、「き」というのをしっかり言おうとして、ちょっと空気が漏れちゃうような「き」の言い方になっちゃう子がいて、「あー、ボクもそうだったなー」という。そのぐらい全然言えなかったですね。ただ、よくしゃべる子ではあったみたいで。それは、何かを読んだりとかじゃなく、ただおしゃべりだっただけという感じでしたけど。
    ――それで養成所に入って声の勉強をして。
    太田 ウチは東京校と大阪校があるんですけど、東京校で1年間やって。で、まあオーディションというんですか? 養成所から事務所に所属するための査定があって、それに受かって青二に入所ということになりました。
    ――そんな太田さんの最初の印象って、個人的に『料理の鉄人』のイメージが凄く強くて。
    太田 ああ~、ありがたいですねえ。もう、それはすっかり言われなくなりました(笑)。若いスタッフだと『料理の鉄人』という番組があったこと自体も知らない世代の人が多いので。でも、2000年の会社の新年会のときに、池田から「太田さん、リングアナやりませんか?」と自衛隊の勧誘のように言われて。
    ――自衛隊の勧誘(笑)。
    太田 よくわからないんだけど「やってみる」と。それでまあ動いたんですけど、そのときにやっぱり『料理の鉄人』をやっているということが、選ばれた中の理由として大きかったという話でしたよね?
    池田 ボクが榊原(信行)さんや加藤(浩之)さんに「太田っていいなと思ってるんですよ。『料理の鉄人』にも出てまして」みたいな感じで、『料理の鉄人』のVを持っていったんですよね。それでふたりとも「いいんじゃない?」と。だから『料理の鉄人』が凄くいいプレゼン材料になったとは思います。「あの声の人か」とすぐにわかるじゃないですか。「『福井さん! 福井さん!』のあの声の人ね」みたいな。
    太田 おかげで、リングアナになれました(笑)。
    ――その『料理の鉄人』は現場からのリポートというか、アドリブでしゃべる感じですよね?
    太田 いや、アドリブはほとんどないですね。じつは、あの横に作家さんがいるんですよ。で、もちろんその作家さんの想像でもなくて、鉄人側と挑戦者側にADさんがついていて、「いま、何を入れたんですか?」とそれぞれ本人に聞くんです。そのときに、たとえば鉄人・坂井(宏行)さんが「うるせーなー」と言って何も答えてくれなかったときは、そういうふうに言われたという情報が作家さんのところに来て、バーっと原稿を書いて「これ言って」と。だから、ボクのアドリブとなると、その情報を言うタイミングだけですね。
    ――そうだったんですね!
    太田 だから、ボクは「いまだと、まだこの情報を言うのはまだ早いな」とか。福井(謙二・フジテレビアナウンサー)さんと服部(幸應・料理評論家)さんがその話題に触れたときに入れようかなみたいな。
    ――それを、あのライブ感の中でやっていたなんて……。
    太田 だから怒られてましたよ。ADさんに「いま、この情報言えって言ってます! 言ってます!」と。でも、自分の中では「まだ言えない、まだ早い」と思って言わなかったら、ADさんのヘッドホンに「言えーー!!」というディレクターの怒号が届いたり(苦笑)。まあ、ボクはヘッドホンはしてないのでそれは食らってないんですけど、そこには戦いがありましたね。
    ――そんな過激な仕事がプレゼンとなってPRIDEにつながったんですね。最初の格闘技に関わることについてはどういう気持ちだったんですか?
    太田 あのー、こんなこと言っちゃうとアレなんですけど、ボク格闘技に微塵も興味がない人間だったんですよ。
    ――そうだったんですか(笑)。
    太田 「微塵も」と言うとちょっと語弊がありますけど、怖かったんですよね。痛いじゃないですか。当時は格闘技というより、プロレスのイメージだったと思うんですけど、なんか痛そうで。タイガーマスクかなんかは「カッコいいなあ」と思ったことはありましたけど、やっぱり血が出る、悲鳴を上げているというので、あんまりいい印象はなかったです。とくに、自分の近くに格闘技・プロレスというのがなかったので、声をかけられたときは何のことかわからなかったというのが正直なところですね。まあでも、せっかくの縁なので「やります」という返事はしました。
    池田 当時も「格闘技とかわかってないけど大丈夫なのかな?」と言ってましたよね。だからボクが「大丈夫です!」とあと押しして(笑)。
    太田 最初、現場ではリング上でのコールだけやればいいよという話だったので、「それなら、よかった」と。
    ――当時は、どうコールしようかというのは何かイメージはあったんですか?
    太田 最初に服部さんがやっていたのを聞いて、「こんなテンポで、こんなふうに言うんだな」というのはだいたい。あとは、リングアナってイメージはプロレスや格闘技を知らなくても、「青コ~ナ~」みたいな昔ながらのイメージもあったので。そのふたつをすり合わせてやってみたということだと思うんですけど、いかんせん、もう23年前の記憶なので(苦笑)。
    ――最初のコールってどの試合だったか覚えてます?
    太田 それが、覚えてないんですよねえ。ただ、2000年のPRIDE GP開幕戦と決勝戦は両方とも東京ドームでの開催だったんですけど、リングがあって、アリーナにお客さんもいて、そのアリーナからちょっと入れるところにトイレがあるんですけど、トイレで用を足していたら「お兄ちゃん、さっきのガイ・メッツァーのコールよかったで!」と言われたという記憶だけは残ってます(笑)。・リハーサルは朝8時から!
    ・「ボブチャンチン」のコールは難しかった
    ・高田延彦のいい話
    ・PRIDEとRIZINの違い……17000字インタビューはまだまだ続く
    この続きと鈴木千裕、斎藤裕、北岡悟、長井満也、朝倉未来KO…などの11月バックナンバー記事が600円(税込み)でまとめて読める「12万字・記事13本」の詰め合わせセットはコチラ https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202311 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!

     
  • 日本の女子プロレス文化のアメリカ的解釈『Sukeban』と『Kitsune』■斎藤文彦INTERVIEWS

    2023-11-24 23:17  
    200pt

    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは日本の女子プロレス文化のアメリカ的解釈『Sukeban』と『Kitsune』です!

     

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■2010年代を駆け抜けたスーパースター、ブレイ・ワイアット

    ■スーパースター・ビリー・グラハムのサイケデリックな世界

    ■【WWEとUFCの合併】ビンス・マクマホンの幕引きはいつか

    ■猪木を語ることは自己の人生を語る行為である

    ■WWE総帥ビンス・マクマホン引退




    ――斎藤文彦さんのインタビュー連載。今回のテーマは……。フミ 日本の女子プロレス、というよりはジャパニーズ女子プロレス文化のアメリカ的な解釈といったほうがより正確かもしれない。『Sukeban』と『Kitsune』という2グループがアメリカでほぼ同時に旗揚げしました。いずれも日本人の女子レスラーの試合をフィーチャーしている。団体と定義していいのかどうかは現段階ではまだわからないけれど。
    ――まず『Sukeban』や『Kitsune』という団体名がすごいですよね。
    フミ いかにもアメリカ人が考えるところのカッコいい日本語の単語なのでしょう。
    ――アメリカで「スケバン」や「キツネ」の意味は通じているんですか?
    フミ まだ、英語化はされていない単語、というかコンセプトなのでしょう。「Sushi」や「Tempura」、「Sukiyaki」など食べ物は日本語がそのまま英語化しているし、古典的な単語では「Fujiyama」「Geisha」「Kamikaze」など最初は意味が伝わりにくかったものも、そのまま英語化されて定着していった。最近でいちばん広まった日本語の単語は「カラオケ」ですよね。アメリカ人の発音は「カラオーキ」ですが。『スケバン刑事』というTVドラマがヒットしたのは40年ほど前ですが、日本語的には死後に近いですよね。だれがそのスケバンという単語を発掘したのかはわかりませんが、「カッコいい!」と思っちゃったアメリカ人がいたということでしょう。
    ――『Sukeban』からスケバン刑事のヨーヨーまでたどり着いてほしいですね(笑)。日本ではもはや死語になってるところがまたいいというか。
    フミ ただ、ロスト・イン・トランスレーションと言って、翻訳したつもりなんだけれど、どこか微妙にニュアンスが異なるものがある程度の誤解・曲解を含んだまま外来語として定着することもあるんですね。『Sukeban』のプレスリリースには、スケバンという概念は60年代から70年代の日本におけるフェミニズムの発展に貢献した……とデタラメなことが書いてあった。
    ――トンデモすぎますよ!(笑)。
    フミ また、日本のJoshi女子プロレスは「マーシャルアーツだ」とも書いてある。
    ――たしかに全女はマーシャルアーツとはいえますけどね……。
    フミ このあたりもまたアメリカのマニア層が日本の女子プロレスをどうとらえているか、というヒントにはなりますね。日本語、日本人名がすでに英語化して定着している例では「エンズイギリ」「フジワラ・アームバー(脇固め)」「アサイ・ムーンサルト(ラ・ケブラーダ)」「サイトー・スープレックス(ひねりの利いたバックドロップ)」などがあり、WWEの実況アナウンサーもこの表現を用いています。
    ――「キツネ」はどういうニュアンスなんですか?
    フミ 「キツネ」は英語でフォックスですが、すごくかわいい女の子をフォックスと形容するスラングがある。ジミー・ヘンドリックスの代表曲のひとつに「フォクシー・レディ」というタイトルの曲がある。そのフォックスを日本語でなんというのかといったら『Kitsune』だったのでしょう。いったん整理すると『Sukeban』と『Kitsune』はアメリカが日本スタイルの女子プロレスをアメリカに輸入、導入したもの、アメリカ人がイメージするところのジャパニーズJoshiプロレスをアメリカ市場、英語圏で展開しようという試みといえます。――しかし、同時期に似たような団体がスタートするって面白いですよね。
    フミ 『Sukeban』がニューヨーク、『Kitsune』がロサンゼルスだから、東海岸と西海岸の大都会でよく似たコンセプトの日本式の女子プロレスが同時にスタートを切ったわけです。WWEではウィメンズ・ディビジョンという名称になっていますが、現在のWWE首脳部は男子部門と女子部門の選手数が半々くらいになってもいいと考えているらしいんです。90年代のWWEではアランドラ・ブレイズvsブル中野の1試合だけが男子の試合にサンドウィッチされてポツンと入っていたわけですが、あの時代と比べればウィメンズ・デビジョンの選手数は確実に増えているし、第3ブランドNXTは女子部門の選手のほうが多いようなイメージもあります。実際、フロリダ州オーランドのパフォーマンスセンターの練習生の数は男女半々ぐらいになっている。ウィメンズ・デビジョンは、そのステータスもニーズも商品価値も飛躍的に上がっていることはたしかなんです。女子プロレスだけの団体というと、いままでアメリカでは何団体か旗揚げしたことがあったけれど、いずれもそんなに長くは続かなかったんですね。――『Sukeban』と『Kitsune』はどこが運営してるんですかね?
    フミ それがいわゆるプロレス畑の人たちではないんです。『Sukeban』のほうは、日本の「Kawaii(かわいい)」カルチャー、秋葉原カルチャー、中野ブロードウェイ・カルチャー、地下アイドルのコンセプト、それからアメリカ人が大好きなジャパニーズアニメの要素を基本コンセプトにしている。オープニングや試合カード紹介のグラフィックも日本っぽいアニメだったりする。番組の進行・構成そのものは連続ドラマっぽくしてあって、画面全体がやや暗めで、ちょっと前の『ルチャアンダーグラウンド』に近い感じですね。
    ――ルチャをコンセプトにした連続ドラマ的プロレス。それの日本女子プロバージョンということですね。
    フミ 所属選手をそろえて、ツアーを組んでハウスショーをまわっていく形態の団体になるとはちょっと考えにくい。日本からまとまった数の選手たちをアメリカに呼んで、映像(番組)をタメ撮りして、シーズンいくつのエピソードいくつという具合に番組を制作して、ネット上で配信していく。これがこれからのプロレス団体の新しいかたちになるのかもしれない。『Sukeban』は9月21日にニューヨークで第1回のTVテーピングを開催して旗揚げしました。いっぽう『Kitsune』は10月22日にLAで旗揚げ。どちらもキーパーソンはウナギ・サヤカなんです。
    ――ウナギ・サヤカはどっちでも主役級の扱いですね。
    この続きと鈴木千裕、斎藤裕、北岡悟、長井満也、朝倉未来KO…などの11月バックナンバー記事が600円(税込み)でまとめて読める「12万字・記事13本」の詰め合わせセットはコチラ https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202311 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!

     
  • 朝倉未来と島田紳助

    2023-11-22 10:33  
    200pt
    ジャン斉藤が語る朝倉未来vsYA-MANについて(ニコ生配信したものを再編集した記事です)
    【1記事から購入できるバックナンバー】・「魔法の煽りVをつくる男」 RIZIN演出統括・佐藤大輔17000字インタビュー・朝倉兄弟とYouTube論■菊地成孔

    オープンフィンガーグローブのキックルールで行なわれた朝倉未来vsYA-MANは衝撃的な幕切れでした。YA-MANが1ラウンドKO勝ち。完敗を喫した朝倉未来は試合後に引退を表明。その後、引退は撤回しましたが、格闘技界に大きなショックを与えました。
    先日のガヌーvsタイソン・フィリーのボクシングマッチのテキストでも触れましたが、異種格闘技戦って必ず試合前に茶番扱いされるんです。でも、ハマったときの爆発力が凄まじい。「なんでそんな試合をやるの?」と批判されながらもプロモーターや選手がついつい異種格闘技戦に手を出してしまう妖しい魅力が秘められている。だから試合前に「予定調和」がどうとか論じることは控えたほうがいいって、声をしゃがらせながら言いたいんですよ!(笑)。
    おぼえてるかどうはわからないですが、ボクが天心vsメイウェザーは「真剣勝負でやる」と主張したら、みんなから「やるわけねえだろバーカ!」って感じでめちゃくちゃ叩かれたんですよね。結果は凍りつくほどの真剣勝負でしたけど、ボクに謝ってきた人は誰1人いない!! これぞツイッター(現X)!!
    たしかにスーパーファイトやエキシビションは全盛期を越えたレジェンド同士だと予定調和的なものになりがちです。だって彼らにはもう体力とプライドが残っていないから。でも、引退状態のメイウェザーはともかくとして、あの頃の那須川天心がそんな茶番に乗ったら将来と信頼を失うし、今回のYA-MANと朝倉未来の2人も「やっぱりねー」みたいな予定調和なファイトで済まそうとするわけがない。異種格闘技戦という設定は基本的に無理があるので「やる必要がない」という意識から茶番扱いしたくなるのはよくわかるんですが、数多くのファイターの人生を変えたり、歴史に刻まれている試合もあることを思い出してほしいんです。
    那須川天心もメイウェザーにはやられちゃいましたが、あの試合を機に武尊との知名度が逆転したことで、世紀の祭典THE MATCH開催へと繋がっていった。堀口恭司の求心力がさらに増したのも那須川天心とのキックルールです。あのときはほとんどのMMAファンが堀口恭司の決断に大反対したんですよ。それは堀口恭司はキック初挑戦で生贄になる可能性があったから。「ルールが違うから負けても関係ない」ではない。関係のない試合に出て負けるから汚れた感じが出ちゃうのが異種格闘技戦。旧K-1の幻想が削れていったひとつには、K-1ファイターが流行りに乗ってMMAに出てあっけなく敗れことでした。レジェンドのピーター・アーツが大山峻護に足関を極められて秒殺負けした姿は「ルールが違うから」では済まなかった。朝倉未来ファンがこの敗戦が割り切れないのはそこです。
    この続きと鈴木千裕、斎藤裕、北岡悟、長井満也、朝倉未来KO…などの11月バックナンバー記事が600円(税込み)でまとめて読める「12万字・記事13本」の詰め合わせセットはコチラ https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202311 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!

     
  • 朝倉未来vsYA-MANはなぜ◯◯にやってしまったのか

    2023-11-18 12:30  
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    ジャン斉藤が朝倉未来vsYA-MAN』について(ニコ生配信したものを再編集した記事です)
    【1記事から購入できるバックナンバー】・評判の悪い映画『アントニオ猪木をさがして』について
    ・鬼越トマホーク坂井「プロレスはドロップアウトする人間が好きなジャンルなんです」
    ・QUINTETは邪道?/ドーピング驚愕の実態■高橋“SUBMISSION”雄己
    ・ぱんちゃん璃奈論〜前向きに注文を打ち間違える彼女〜


    間近に迫った朝倉未来vsYA-MANの記者会見はめちゃくちゃ面白かったですね。予定調和じゃなかったことで放送事故寸前に陥ったんですけど、なんとか成り立って。乱闘なしでここまで刺激的な会見はなかなかないですよ!
    ケルベロス選手に対する朝倉未来の知名度マウントに批判の声もあがってますが、たしかにいちばん重要なのは試合で勝つこと、魅せることです。ただ、記者会見というエンターテイメントの場に出てきちゃった以上はそこもひとつの勝負ではあるってことですよね。その点、RISE側はちょっと無用心すぎたのかなと。準備しないまま出てきて朝倉軍団に圧倒されてしまった感はある。ケルベロス選手は最後の手段として「暴れる」という手もありました。逆ギレしてウヤムヤにするってやつです。・一番のチャンスはケルベロス・朝倉未来のイライラ・唯一のミステイクは◯◯◯◯・RIZINと「FIGHT CLUB」の関係・将軍不在のキック界……まだま続く!
    この続きと鈴木千裕、斎藤裕、北岡悟、長井満也、朝倉未来KO…などの11月バックナンバー記事が600円(税込み)でまとめて読める「12万字・記事13本」の詰め合わせセットはコチラ https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202311 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!

     
  • 「もう懲り懲りです」未払い、ずさんな扱い……女子プロレス団体への不満爆発!

    2023-11-17 22:52  
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    アメリカンプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマは「もう懲り懲りです」未払い、ずさんな扱い……女子プロレス団体への不満爆発!です!
    <1記事から買えるバックナンバー>・問題児マット・リドル、WWEを解雇…JFK空港狂言事件の顛末
    ・CMパンク、AEW電撃解雇の顛末
    ・サインボードから巻き起こった女子レスラーの告発騒動
     

    日本の女子プロレス団体スターダムが、大会開催の前日に開始時間を2時間半遅れに変更したことで問題となった。女子選手らの指摘により、その際の会社側の対応が不誠実だったとみなされたこともあり、会社が糾弾される大炎上騒ぎへと発展。騒動を鎮静化するために、ブシロード社の木谷高明オーナーと、ブシロードファイト社の原田克彦社長の団体トップ2人が急遽、大会当日、会場の茨城県牛久運動公園体育館を訪れる。来場した観客の前で直接謝罪することで事態を収束させねばならなかった。
    一方、アメリカでも、ある女子プロレス団体の問題が表面化していた。
    10月23日午後6時35分、X(旧ツイッター)とインスタグラムに3人の女子選手連名で、以下の告発声明文が同時投稿される。
    「団体による最近の行動が、ロッカールームとファンの双方に大きな影響を与えたことを考慮し、私たちは即座にタイトルを返上し、団体から永久に身を引くという共同決定を下します。
    団体がしてきた行為は、私たち選手が信じて行ってきたこととは相反するもので、断じて容認できることではありません。私たち同様、被害に遭われた方々には心よりお詫び申し上げるとともに、私たちの行動がこのような事態の再発防止に役立つことを願います」
    3人の王者が団体に対し共同声明を出し、チャンピオンベルトを一斉返上、団体からの永久撤退を宣言する騒ぎが起こったのは、米ニュージャージー州の女子プロレス団体CCW(キャピタル・チャンピオンシップ・レスリング)だ。
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  • RIZINアゼルバイジャンに見えた「PRIDE.1」■笹原圭一

    2023-11-17 21:48  
    200pt
    大会後恒例!RIZIN笹原圭一さんのRIZINアゼルバイジャン総括です!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・【クレベルに完勝】金原正徳「みんなもっとMMAの練習をしよう!」
    ・パンクラス24年間のすべてを知る男・坂本靖
    ・那須川天心の胴回し回転蹴りは「掛け逃げ」なのか?■鈴木秀明
    ・サトシ、クレベル…ボンサイ柔術の大恩人・坂本健インタビュー
    ――笹原さん!RIZIN初の海外開催となったアゼルバイジャン(以下AZ)大会はかなり大変だったんですよね?
    笹原 これがですねえ、笑っちゃうくらい大変でしたよ!
    ――やっぱり(笑)。
    笹原 だって疲れ果てて帰国して、会社の車で迎えに来てもらったんですよ。荷物もいっぱいあるんで。で、自宅の近くまで送ってもらおうと思ったら、車が動かないんですよ!「何これどういうこと?おかしいジャン!」となって。
    ――まさか、バッテリーが上がって動かないとかそういうくだらない理由ですか?
    笹原 そのまさかですよ! 迎えに来てくれた若手社員がJAFに電話したら「いまからだと1時間くらいかかりますね。そんなすぐに行けないジャン」とか言われて、完全に心が折れました。
    ――……笹原さん、せめて冒頭はAZ国内で起きたエピソードでお願いしますよ!(笑)。
    笹原 とにかく最初から最後まで本当に大変でしたよ。
    ――それにしてもAZ大会の結末は凄かったですね。鈴木千裕がケラモフに失神KO勝ちでフェザー級王者に。
    笹原 アゼルバイジャンに稲妻が落ちましたよ!! 君の拳は10000ボルトです!!
    ――追悼・谷村新司! 深夜3時にも関わらず、PPV視聴者がけっこういたことに驚いたんですよ。途中のハーフタイムショーでみんな心が折れなかったんだなと。
    笹原 あのダンスしていた子たちは、地上に降りた最後の天使ですよ(笑)。
    ――『君のひとみは10000ボルト』の歌詞をブッ込まれても、令和の格オタには1ミリも通じませんよ!
    笹原 まぁでも、あのハーフタイムショーには、皆さんよりもそもそも我々が心を折られてましたからね(笑)。
    ――ハハハハハハハ!  
    笹原 そのへんの話はあとにするにして、あんなド深夜なのにこれだけ注目されたのは、メインでタイトルマッチをやったことが大きかったですよね。今回はRIZINの本戦なんですけど、初めて海外開催。しかもあまり馴染みのないAZでやったことで番外編の感じはあったじゃないですか。AZでやるからには当然AZの選手たちが中心のマッチメイクになって、日本のファンからすれば「見なくてもいいかな」となりがちですけど。
    ――タイトルマッチをやったことで番外編感がなくなったというか。
    笹原 そうです。「乗りに乗っている鈴木千裕を見なくちゃいけない!」っていう空気がありましたよね。
    ――今回のケラモフは、よく知らない外国人相手にお茶を濁して、大晦日にタイトルマッチ……という流れもあったはずですけど、あえて直球勝負したことでドラマチックに動いたってことですよね。
    笹原  あんなペダラーダ、普通は当たんないですよ! 拳で稲妻落とすと思ったら脚から稲妻ですよ!五味隆典どころか木村健悟もびっくりですよ(笑)。
    ――これぞ稲妻レッグラリアット!!  しかし、試合後、木村千裕のレガースに凶器が仕込んでいたことが発覚して後楽園ホールでフジナミ・ケラモフvs木村千裕のワンマッチ興行が……って、これも令和に通じるネタじゃないですけど(笑)。鈴木千裕からすれば、テイクダウンされてもガードに持ち込めたのがホントに大きいですよね。
    笹原 あそこからパウンドを打とうとすれば身体を振ってくる。そのときに下から三角を狙えば、身体が起き上がるから、そこに合わせて蹴り上げしようと思っていた……ってことですけど、本当かよ!?って(笑)。
    ――鈴木千裕のキャラクターからは想像もつかない緻密さ(笑)。
    笹原 でも、実際に当ててますからねぇ。ああやって説明されると誰でもできそうな感じがしちゃいますけど、普通はあんなの当たらないです。良い子は真似しちゃダメ!(笑)。
    ――最初は下からのパウンドで決まったように見えたんですよね。ケラモフはトップキープしてるように見えるし、しかも下から鈴木千裕が暴れてたからケラモフが動いてるように見えて。でも、JMOCのレフェリーは最初からケラモフの動向を探っていたからさすがだなって。
    笹原 試合が終わった瞬間、会場は「え?何が起きたの?」みたいな感じで呆然とした空気でしたね。その前のセミがムサエフvs武田光司だったんですが、ムサエフは国民的な人気があって超盛り上がったんです。
    ――ケラモフはアゼルバイジャンMMAの先駆者にして、アルメニアの紛争では最前線に立っていたからカリスマ化してるんでしょうね。
    笹原 入場式のときからAZの選手には大声援で、とりわけムサエフはすごかった。え?BTS出てきたの?っていうくらい(笑)。なのでムサエフが武田選手をケージに押し込むだけで「うわあああ!!」ってみんな立ち上がって地鳴りみたいな歓声が起きてたんですよ。だからムサエフがKOで勝ったときはもちろん大爆発。そのあとメインのケラモフの試合が始まるんですが、試合が終わったばっかりのムサエフが走ってきて、ケージに入る前にケラモフを抱擁して、そのままケージサイドで応援してたんです。最後にケラモフがタイトルを防衛して「アゼルバイジャン万歳!」というエンディングになると思ってたら……。
    ――いままで引っ張ってきたムサエフ、これからを支えるケラモフ、この2人の力で成し遂げたAZ大会だったのに……。
    笹原 なんか総天然色映画が最後にいきなり無声映画になる感じですよ(笑)。
    ――それくらい静まり返っていたと。
    笹原 もっというと時間が止まった感じでしたよ。ただ今回全体的にAZのファイターはちょっと硬かったんですよ。ムサエフもすごく慎重だったし、ケラモフも表情が硬いように見えた。それは地元であの雰囲気の中でタイトルマッチですから負けられないってことでしょう。
    ――自国で戦うことで背負うものができたってことですね。ケラモフの落ち込みを想像したら胸が苦しくなりますよ。
    笹原 たぶんケラモフの家族も会場に見に来てたはずですからね……。ボクらはPRIDEのときからこんな格闘技の残酷さ、圧倒的な現実を何度も突きつけられたじゃないですか。
    ――残酷な結末にショックを受けて、とぼとぼ会場をあとにするという。ボクはたまアリの帰り道、やけになって赤羽で降りてタクシーに飛び乗って下北沢まで帰ったことがありますよ(笑)。
    笹原 AZ国民からすれば、初めての国を挙げて行われたMMAイベントですからね。「なんでこんな悲しい思いをしなきゃいけないんだ。思てたんとちがう!」ってなったと思うんですよ(笑)。でもこれ間違いなく癖になるんですよね(笑)。
    ――ハハハハハハハ! スポーツって国家のプロパガンダ的に使われる場合があるから、勝つことが前提なんですけど、負けを味わうエンターテイメントってあんまりないから中毒性はありますね。
    笹原 こんな圧倒的な現実を突きつけられてショックを受けたお客さんは多かったんですけど、次回あるとしたら今回来た人は絶対に見に来ますよね。
    ――AZ側の制作チームはどうだったんですか?
    笹原 今回AZの興行を請け負った会社はマックスさんという方がボスなんですけど。そのマックスさんは会場に来ていたAZ政府の偉い人たちをアテンドしていたんですが、大会の盛り上がりにみんな喜んでいたと。でも、その偉い人が帰るとき車に乗ってもしばらくエンジンをかけられなかったらしいんですね。
    ――あまりのショックで車を動かせないと... いい話です!
    笹原 それを見てマックスさんが「これは完全にハマったな」と、ニヤリとしたそうです(笑)。
    ――AZにも地獄のプロモーターがいた!(笑)。榊原さんや笹原さんたちも、必死に奔走して実現したPRIDE.1の高田延彦vsヒクソン・グレイシーがあんなにあっさり終わってしまったことで呆然としたわけじゃないですか。鈴木千裕vsケラモフはAZ国民にとっての「PRIDE.1」ですよ!
    笹原 AZのスポーツ大臣も大会後に行われたパーティーで「スポーツは人生と同じように思う通りに行かない。残酷な結末が待っていることがある。でも、これこそが我々がこの国で伝えたかったことだ」って演説したんですよ。
    ――なんて素晴らしい演説!
    笹原 その翌日にはマックスさんから「おい、来年の話をしよう」という連絡がさっそくありましたからね(笑)。
    ――ハハハハハハハ! 
    笹原 AZからしたらあの結末で終われないですよね。
    ――高田キャプテンじゃないですけど「もう一丁!」ですよね。高田vsヒクソンの再戦は1年後の同じ日にやりましたけど、千裕vsケラモフの再戦も11月4日にやりかねない(笑)。
    笹原 あの会場は国が管轄しているので、いつでも抑えられるはずなので、もう来年の11月4日を抑えている可能性があります(笑)。・自分を信じきれる男・鈴木千裕
    ・武田光司のフェザー級転向
    ・AZ大会放送中止の危機
    ・ハーフタイムショー実施で衝突・ベラトール新体制にもホットラインはある……12000字インタビューはまだまだ続く
    この続きと鈴木千裕、斎藤裕、北岡悟、長井満也、朝倉未来KO…などの11月バックナンバー記事が600円(税込み)でまとめて読める「12万字・記事13本」の詰め合わせセットはコチラ https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202311 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!

     
  • 恐るべきプロレス団体リングスの真実■長井満也インタビュー

    2023-11-12 22:36  
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    UWFやリングス、K-1まで、様々なリングで戦ってきた長井満也インタビューシリーズ第4弾!  今回はリングス入団編です (聞き手/ジャン斉藤)



    長井満也インタビューシリーズ


    ①「我が青春のスーパータイガージム、シュートボクシング」②地獄の新生UWF新弟子③いつのまにか解散してしまった新生UWF

    ――大怪我のリハビリ中に新生UWFは解散しちゃって、練習生だった長井さんは流れるままにUWFインターに参加することになりますが、旗揚げ前に離脱しちゃいますよね。その理由はなんだったんですか?
    長井 もう若かったんです(苦笑)。前回のインタビューで話したとおり、Uインターに入ったというより、そのままUWFに残ったというイメージだったんですよね。
    ――Uインターの取締役だった鈴木健さんに誘われて。
    長井 いまになったらですよ、リングス、藤原組、Uインターの3派に分かれるわけだから、それぞれの団体がカラーを出さなければいけないということもわかるし、「立ち技やダブルバウト(タッグマッチ)もいいんじゃない?なんだったら6人タッグもやっちゃおうよ!」という頭の柔らかさはあるんですけど。
    ――Uインターが取り入れたスタディングバウトやダブルバウトがイヤだったと。
    長井 あのUWFがUインターでもそのまま続くもんだと思っちゃったんですよね。だから、ボクがあまりにもガキンチョだったから「ちょっとそれは違うな……」と思っちゃって。
    ――スタンディングバウトやダブルバウトをやることはどんなかたちで知らされてたんですか?
    長井 あのとき自分はデビューすらしてなかった新弟子だし、会社がどういう方向に行くのか、どういう色合いを出していこうって決める場所にはいるわけじゃないし。「こういう風に行くからな」って一方的に報告を受ける立場でしたから。
    ――まあ、そうですよね。長井さんがいた頃ってUインターの道場はもうあったんですか?
    長井 いや、まだ道場はまだなくて。ちょっとうる覚えなんですけど、たしか高田さんが神奈川の綾瀬市だったかに一軒家をお持ちになってて。そこをUインターの寮にしたんですよね。田村(潔司)さん、垣原(賢人)くんと自分、すぐに新弟子を応募したと思うんですけど。1回目の入門テストで合格したのが、のちにリングスにも来る金原(弘光)ですね。
    ――長井さんもその寮には住まわれたんですね。
    長井 田村さんと垣原くんが一部屋ずつで、あとから入った若い子は1階のリビングを相撲部屋の大部屋みたいな感じで使って。
    ――道場がなかったから練習は近所の公園だったんですよね?
    長井 そうです。最終的に以前UWF道場だったところをお借りするじゃないですか。自分たちのときはまだそれも決まっていなくて。10時になったら近くの公園で練習でしたね。青空道場ですけど、夢があってよかったですねぇ。何もないところから作ってスタートしていくんだみたいな感じで。ボクはまだ週に何回かは首のリハビリとチェックも兼ねて東京の飯田橋にあった警察病院に通っているぐらいの体調で。まだハードな練習もできなかったと思うので、自分にとってもいいスタートだったのかもしれないし、いい思い出ですよねぇ。田村さん、垣原くん、自分と新弟子が公園でガンガン練習してるんですからね。
    ――3派に分かれたことで人間関係もだいぶ変わって、過度なイジメやしごきはなくなった感じですかね。
    長井 そうですねぇ(苦笑)。ボクが以前のインタビューで話してたようなああいうことは、なくなったんじゃないかなと思いますね。
    ――そうして道場を使える頃にはUインターをやめてしまうと。
    長井 そうです。旗揚げ戦に向けていろいろ動き出している最中ですよね。変な言い方ですけど、新弟子が夜逃げげしたみたいなもんですよ……。「こういう風にやっていく」って話をいろいろと聞いて、ちょっと俺の中では違うなって。これも言っていいのかな。リングスの公式記録員をもやっていた田代(徳一)さんとはずっと連絡を取り合ってたんですよ。田代さんには「Uインターはこういう風にやっていくみたいなんだよね」「自分はこう思ってる」みたいな考えも伝えてたんです。
    ――田代さんは新生UWFではトレーナー的な立場でしたね。そこからリングス入団に繋がっていくと。
    長井 前田さんは外国人を集めてやろうとしているという話を聞いて。いまでこそデビューしてから30年以上やれてるけど、当時のボクとしては長くやれるかどうかもわかんないし、どうせやるんだったら自分のやりたいようなスタイルをやってみたいなと思ったんですよね。それでUインターをやめようと。
    ――Uインターの誰かに相談はしたんですか?
    長井 いや、Uインターでそんな相談できるような人もいなかったし、あまりにも皆さん先輩だから。同期の垣原くんを巻き込んでも迷惑がかかるなって思ったんですよ。でも、何も言わないでやめるのもイヤだから、事務所にだけは挨拶に行ったんですよ。事務所に鈴木健さんがいたのかな。やめることを話したら「ちょっと待ってろ」と言われて。ある先輩が事務所に来て「長井の思っていることを全部聞いてやるから話してみろ」と。だから自分の思ったことを全部言ったんです。プロレスのリングでなぜ立ち技をなんでやるのか。UWFの試合をしたいから、つらいこともガマンしていたし、耐えてきた。「思っていたよりもプロレスの方向に行くのは違うと思います」と言ったら、その先輩から「黙って聞いてりゃいい気になりやがって」と怒られました(苦笑)。
    ――うわー!! 言われたとおりに吐き出したら怒られる理不尽さ(笑)。
    長井 ボクはもう黙るしかなかったですよね……。それで話は終わりました。
    ――長井さんとしては競技に近いスタイルをやりたかったんですか?
    長井 ボクはバリバリのプロレスファンなんですよ。背がちょっと高いからこの世界に入れただけだし、シューティングジムに入ったのも、前のインタビューで話したように全日本に入ろうとして(ジャイアント)馬場さんと面談したときに「何かやったほうがいい」と言われたからで。ただ、シューティングジムに通ったり、シュートボクシングで試合をするようになったから、格闘技路線寄りだったかもしれないですね。
    ――新生UWFでデビューできていれば、また考えが違ったのかもしれないですね。・前田日明とマンツーマントレーニング
    ・プロレスと格闘技の狭間をいったリングス
    ・ゴルドー戦は“完全競技”だった
    ・試合後の揉め事は日常茶飯事
    ・リングス最大の貢献者はヴォルク・ハン
    ・リングスオランダのヤバさ……まだまだ続く
    この続きと鈴木千裕、斎藤裕、北岡悟、長井満也、朝倉未来KO…などの11月バックナンバー記事が600円(税込み)でまとめて読める「12万字・記事13本」の詰め合わせセットはコチラ https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202311 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!

     
  • RIZINフェザー級チャンピオン・鈴木千裕13000字インタビュー

    2023-11-12 09:16  
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    ケラモフを破りRIZINフェザー級チャンピオンに輝いた鈴木千裕13000字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・極真世界王者・上田幹雄「大山総裁ならRIZINに殴り込んでいたと思います」
    ・【クレベルに完勝】金原正徳インタビュー「みんなもっとMMAの練習をしよう!」
    ・RIZIN44とLANDMARK名古屋を語ろう■笹原圭一
    ・【RIZIN初参戦】佐藤将光センターラインな12000字インタビュー
    ――絶望から始まったRIZINですが、まさかこうなるとは思わなかったです!
    千裕 あのときは地獄でしたよ。何回やめようとと思ったことか……二刀流のチャンピオンになると信じてくれていた仲間もいましたけどね。
    ――RIZINデビュー戦で負けたのに、そのあとチャンピオンになったのは鈴木千裕選手が初めてだから、相当すごいことです。試合後はフワフワしているということで実感が湧いていない印象でしたけど、アゼルバイジャンから帰国されていかがですか?
    千裕 ちょっとずつ湧いてきましたねぇ。チャンピオンとしての自覚は勝った瞬間からあったんですけど、アゼルバイジャンのときはアウェイだったこともあって変な感じで。めちゃくちゃいい国だったんですけどね。
    ――国外だったことで現実感がなかったんですかね。負傷した親指の具合はどうなんですか?
    千裕 まだ痛いですね。親指でパウンドを打っちゃったんで、ちょっとずつ治療していく感じで。
    ――検査はまだしてないんですか?
    千裕 今週、行きます。いまは時差ボケがヤバくてずっと寝てますね(笑)。
    ――アウェイ感はすごかったんですか?
    千裕 入場してコールされるときに「ブー!」で、相手のケラモフ選手がコールされると大歓声。まあそれはそうだなって。日本だと誰でも受け入れるというか、外国人だからってブーイングはないんですけど。アゼルバイジャンでは試合以外で何かアウェイ感があったわけではないですね。
    ――千裕選手が勝った瞬間、会場は静まり返ってましたよね。
    千裕 それも初めての経験ですねぇ。普通はあんな勝ち方をしたら大歓声ですよね。でも、「負けたの……?」ってシーンとしちゃって。でも、こっちは勝ったんだから関係ねえ!って感じですよ(笑)。いつもどおりに行こうと。
    ――ケラモフ選手は母国開催ということもあっていつもより緊張していたという話も聞こえてきますが、対峙して何か感じることはありました?
    千裕 当然ボクも緊張していましたし、前回のケラモフ選手の試合(朝倉未来戦)は日本じゃないですか。ケラモフ選手はやってくる側なので、そこは今回とは違ったんでしょうけど。
    ――ホームのプレッシャーがあるか、ないか。
    千裕 でも、ケラモフ選手のコンディションはアゼルバイジャン開催ということで過去最高によかったと思うんですよね。自分の国で減量できるわけですから。自分のことでいえば、いつもと違うこともあってコンディションはよくなかったですね。
    ――アゼルバイジャンには試合の何日前に入ったんですか?
    千裕 3日前ですね。日本からアゼルバイジャンまで18時間かな。ボクはウォーターローディングといって1日に7リットルの水を飲まなきゃいけないから、飛行機の中でずっと水を飲んでましたからね。
    ――怪しい(笑)。飛行機の中はどう過ごしてたんですか?
    千裕 ずっとイメトレです。機内食じゃなくて自分で持ち込んだ減量用のお弁当を食べながら。リカバリーするにしても日本とは勝手が違うじゃないですか。
    ――アウェイの厳しさを感じたわけですね。
    千裕 まあでもそんなに関係ないっすけどね。みんな大変だっていうけど、時差5時間なら5時間早く寝ればいいだけだし、食事もレトルトになっちゃうけど日本から持っていけばいいだけだし。そんなことで勝敗が左右させられちゃうような、甘ったれた練習はしてないですよ。関係ない。
    ――さすがです!(笑)。でも、減量の不安はありませんでした?
    千裕 全然大丈夫です。一度ダメだったフライ級のときと違って学生じゃないし、いまはちゃんと減量トレーナーも付いているし、練習できる時間もしっかりあるので。片手間じゃないからそこはもう大丈夫です。
    ――プロとして取り組んでいるってことですね。最初に右ストレートを当てられたじゃないですか。テイクダウンされることは想定していたそうですが、打撃はどうだったんですか?
    千裕 そこも想定してました。ストレートを打ってきた瞬間、アゴを引いて額にポジションを変えたから、脳が揺れるとかダメージはなかったです。アゴだったら危険ですけど、アゴをちゃんと引けばオデコに当たるんで。
    ――それはケラモフの打撃が見えていたってことですね。
    千裕 見えてました。すぐにリターンしようとしたらすぐにテイクダウンにきて。あれはうまかったですねぇ(しみじみと)。
    ――あのテイクダウンは見事ですよね。
    千裕 ケラモフ選手の練習を見てるとスパーリングをいっぱいやってるんですよね。だからスパーの慣れが出てるというか、たぶん相手が攻撃したらテイクダウンするという動きが身体に馴染んでる。勝手に身体が動くんでしょうね。それは練習をすごくしてるんだろうなって。
    ――千裕選手はケラモフ相手ということで、今回はレスリングを強化されてきたんですよね。
    千裕 いつもよりは力を入れましたね。レスリングの高谷(惣亮/ロンドン&リオ五輪代表)さん、あとは日大レスリングの選手たちが協力してくれて。
    ――4部練までやっていたという話ですよね。ある日のスケジュールは朝1時間の階段ダッシュ、10時からボクシング練習1時間、14時30分からキック3時間、21時からレスリング1時間30分……身体と精神がよくもつなあと。
    千裕 まあ、いつもどおりだったりするんですけど、そこは覚悟ですよ。それがボクの仕事だし、勝つためにはなんでもやるしかないんで。
    ――ケラモフにテイクダウンを許しても、ちゃんとガードに戻したことが勝利を引き寄せたところがありますね。
    千裕 やっぱり総合格闘技なので、普通に全部できないと勝てないですよね。倒されてもそこから立ち上がる。ポジションを変える。そこはクレベル選手のときに学んで。あのときは倒されたあとにポジションを変えられなかったんですけど、今回は修正できたから、少なからずあのときより強くなってます。
    ――クレベル戦の反省が活かされてると。
    千裕 常に格闘家は何かを改善しながら毎日生きているんで、昨日より強くならないといけないですし、一歩でも強くなっていかないといけないんで。
    ――朝倉未来戦のバックチョークの動きも当然参考になったんですか?
    千裕 そうですね。あのバックチョーク、狙われるなと思ってました。テイクダウンされて、中途半端に立とうとするとバックを取られるんでガードポジションに戻そうと。そこから立とうとすればいいし、その中の攻防で何か見つければいいんで。そうやって構えられる余裕を練習することで作りました。倒されて「ヤバい、ヤバい」って焦るんじゃなくて「倒されても全然大丈夫。じゃあどうやって立とうかな」っていう余裕。そこを作れたことが大きいですね。
    ――練習を重ねることで次の一手が用意できたし、ピンチに慌てない精神力を身につけたと。
    千裕 そう、用意してるんですよ。テイクダウンされてもべつに焦ってない。全然冷静だったし、じゃあ次は何をやろうかと。あたふたしない心の強さと自信を身につけてきたんで。
    ――そうして衝撃のフィニッシュシーンが訪れるわけですけど……あの蹴り上げは作戦でもなく、なんとなく思いついたそうですね。
    千裕 やっぱり戦いの中で答えを見つけるのがボクのスタイルなんで。そこは頭の隅に知識としてあったんですよ。沖縄へ練習に行ったときにパラエストラ沖縄代表の松根(良太)さんから「RIZINは蹴り上げがある。蹴り上げの殺傷力は非常に高いから、バンバン蹴ったらいい」って言われてたんですけど。そういえば松根さんはあんなことを言ってたな……と。
    ――テイクダウンされたときに思い出したんですか!(笑)。
    千裕 そうなんですよ! で、ケラモフ選手はパウンドを打ちたいフェーズだなと。パウンドを打つために上体を起こす動きを察したんで、三角絞めをかけるふりをしたんです。そこはクレベル戦の対策にも繋がってるんですけど。クレベル選手が三角にきたら、すぐに上に胸を張って上体を起こしてリセットするっていう練習をいっぱいやってきたから、相手の動きがわかるんですよ。
    ――クレベル対策を練ったことでケラモフ打倒の道筋が!
    千裕 フェイクの三角を仕掛ければ上体を起こしてくれるだろうと。実際にそうなったので、おもいきり蹴り上げたんですよね。だから松根さんのアドバイス、あとクレベル戦の三角対策が合わさったことでの蹴り上げですよね。
    ――蹴り上げって普段の練習では試せないですよね?
    千裕 無理っすねぇ。でも常にイメトレしてたからできるんですよね。たとえばランニングするときも常に試合のことを考えて「空間が空いたらやってみよう」とか。だからドンピシャで当たったんだなって。
    ――蹴り上げだから、手ごたえという表現ではないですけど。感触はありました?
    千裕 足ごたえがありましたねぇ! パンチで倒すときの感覚はあったんで「これ、効いてるかもしれない」って。ケラモフ選手の身体が降ってきたときに足でガッチリ支えて追撃して終わらせようと。
    ――カメラの角度だからだとわからなかったんですけど、ケージサイドのお客さんが撮った映像だと、ケラモフが蹴り上げで失神してるシーンがよくわかるんですよね。下から殴ってる瞬間、ケラモフの意識が落ちていることはわからなかったですか?
    千裕 いや、落ちてることはわかってました。間違いなく落ちてました。でも、手を緩めたら意識が戻ることもあるので。ここで決めようと思って、できるかぎりのパウンドを打とうと思って。・「不良が格闘技の質を下げる」発言について大演説!
    ・パトリシオはRIZINを舐めている
    ・次の目標はベラトールのベルト
    ・UFC出撃の可能性
    ・朝倉未来の「高確率で勝てる」発言には?
    ・五味隆典の存在
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    ・斎藤裕選手はラーメンを食べたほうがいい……13000字インタビューはまだまだ続く!
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  • 猪木さんをあまりよく知らない人が『アントニオ猪木を探して』を見たら

    2023-11-09 16:12  
    200pt

    猪木さんをあまりよく知らない人を探して『アントニオ猪木を探して』の感想を聞きました!(聞き手/ジャン斉藤)


    【1記事から購入できるバックナンバー】・評判の悪い映画『アントニオ猪木をさがして』について
    ・「怒りとプロレス」……中邑真輔、アントニオ猪木を語る
    ・猪木さんは「おまえ、俺のことを信用してねえだろ」と……鈴木秀樹インタビュー
    ・“最後の側近”甘井もとゆきが語るアントニオ猪木&ズッコ夫妻

    ――物議を醸す映画『アントニオ猪木を探して』なんですが、昭和・新日本やブシロード新日本どっちもボンヤリしている人間はどう見たんだろう……と気になって各方面を探しまくったんですが、そんな人は猪木さんの映画を見るわけない中、ようやく関係者Dさんにたどり着きました! ギリギリ明かせる情報は関係者Dさんは女性で、格闘技メディアにうっすら関係があったPRIDE直撃世代の方になります。
    関係者D 匿名で申し訳ないです(笑)。
    ――Dさんは現役時代の猪木さんに詳しくないってことですよね。
    関係者D ……さっそく猪木ファンに怒られそうですけど、ちゃんと見た試合は猪木vsモハメド・アリだけかもしれないです。
    ――匿名でよかった!(笑)。しかし、なんでまた猪木vsアリだけ見てるんですか?
    関係者D それは仕事のために見ました。ずいぶん昔の話ですけど……。
    ――能動的に見たわけではないと。猪木さんにはどういうイメージがあるんですかね?
    関係者D むちゃくちゃな人……誰かを驚かせることに喜びを感じているのかなって。PRIDEのときに猪木さんを知ったので、プロレスラーとしてのイメージはないですね。
    ――プロレスラーとしてのイメージはないんだ……衝撃だなあ。
    関係者D 私でさえそうなんだから、新しいプロレスファンはホントによく知らないんじゃかなと。「ダーッ!!」をやる面白い人というか。
    ――猪木さんはPRIDEのアイコンだったわけですし、過去の偉業を調べようとは思わなかったんですか?
    関係者D うーん……なんだろうな。調べなくても勝手に入ってくるところはありますね。私は格闘技ファンだからなのか、周りにはプロレスからの流れで格闘技を見ている人たちが多かったし、猪木さんのことになると熱い人が多いから……。
    ――隙あれば「人間不信!」や「猪木を愛で殺せ!」とかアントン例えを出してくる人たちがいたと。
    関係者D よくわからないけど、「なるほど!」って感じです(笑)。
    ――その熱に当てられて、猪木さんの試合を見たくならなかったですか?
    関係者D うーん……正直いうと、プロレスの試合にあんまり興味がないかもしれない。それは格闘技から入ってるからかもしれないです。
    ――それは格闘技的な勝負論がプロレスには見えないってことですかね。
    関係者D そうですねぇ。競技ではない試合の見方が私にはちょっとわからなかったし、何を争ってるのかがよくわからない。
    ――推している選手がいれば、その勝ち負けのドラマに一喜一憂できたんでしょうね。たとえばアイドルを応援するみたいな感じで。
    関係者D 推しのレスラーはいないですねぇ。そういう意味でいえば、『ハッスル』はストーリーがあるから、まだ見られたなと。
    ――エンタメでいえばDDTとかは?
    関係者D 全然興味なかったです。
    ――そこは入り口がなかったってことですかね。PRIDEからハッスルの接点はあったけど。
    関係者D そうかもしれないです。私の場合、DDTにつながるものがなかったなあ。
    ――WWEもそうなんでしょうね。
    関係者D あっ、WWEでいうと、話題になってたから見てみた中邑真輔vsグレート・ムタは面白かったです。いままで見たことないような試合展開が面白いなと思って。
    ――たしかにあの試合は予測不可能ですね。
    関係者D プロレスがすごいなと思うのは、格闘技だと知名度がなくても、どっちが強い弱いで勝ったほうが認められるじゃないですか。プロレスも強さは問われるんだろうけど、お客さんを呼べるパワーとか、他の選手を納得させる力は重要ですよね。それは格闘技よりも、ある意味難しいのかなって思ったりします。
    ――プロレスはチャンピオンになっても認められないことがありますね。
    関係者D プロレスラーって何をすれば認められるかハッキリしてないから大変だなと。
    ――猪木さんも格闘技的な強さだけじゃなくて、エンタメ的でもあったり、総合的に秀でたプロレスラーだったんですよね。
    関係者D それはちゃんとした技術の強さがあって、なおかつみんなを認めさせる人間性、スター性があったわけですよね。私は詳しくは知らないですけど、オカダ・カズチカは見た目に華があるし、かっこいいし、この人はチャンピオンだよなって。プロレスをよく知らない私でさえも説得力を持って受け止められる感じがありました。
    ――オカダ・カズチカさんは猪木さんを語ること以外、完璧なんですよ(笑)。格闘技的な強さに関していえば、そこは薄いんでしょうけど、いまはMMAというジャンルが確立されてるから、そこまで問われるものではなくなってるのは時代性なのかなと。
    関係者D プロレスラーが大変なスポーツであることはわかるんですが、私にはプロレスの面白さがなかなか……プロレスラーには惹かれはするんですよ。それはエピソードや人間関係だったり。だから猪木さんの面白い話には興味があります。
    ――ピラニアが泳ぐアマゾン川に藤波辰爾を突き落とそうとしたり。
    関係者D ムチャクチャですよね(笑)。
    ――そんなプロレスぼんやり層のDさんが見た『アントニオ猪木を探して』はどうでした?
    関係者D ……まったく面白くなかったですね(苦笑)。
    ――ハハハハハハ。まあそうですよね。
    関係者D でも、斉藤さんは褒めてましたよね?
    ――映画自体を褒めてはないですね。ひとつの見方を提示したというか、「猪木ファンならこう見たら面白いんじゃないか」と。
    この続きと鈴木千裕、斎藤裕、北岡悟、長井満也、朝倉未来KO…などの11月バックナンバー記事が600円(税込み)でまとめて読める「12万字・記事13本」の詰め合わせセットはコチラ https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/202311 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!