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新生DREAM発進! ピエール・アンデュランド会長に話を聞いた■橋本宗洋の格闘技酔拳批評
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新生DREAM発進! ピエール・アンデュランド会長に話を聞いた■橋本宗洋の格闘技酔拳批評

2012-10-28 22:39
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     あぁ、ありがたいなぁ……。ライターの気持ちとしては変なのかもしれないが、本当にそう思った。先週、DREAM大晦日会見がファン公開形式で開催されることが発表されると、ツイッターのタイムラインがわき立ったのだ。

     まあ、僕がフォローし、僕をフォローしているのは基本的に格闘技ファンが多いから、そうなっても当然といえば当然なのだが、しかし中にはDREAMに関して、日本格闘技の大晦日に関して冷めてしまっている人もいる。僕が嬉しかったのは、冷めてしまった人よりも、盛り上がっている人のほうが圧倒的に多かったことだ。そうか、まだ待っていてくれたのか。それが、主催者でもなんでもないのに、ありがたかった。

     ギリギリのタイミングではあったと思う。これ以上待たせていたら、冷める人は増える一方だったはず。もし大晦日開催がなくなっていたら、いよいよヤバかったんじゃないか。だからとにかく、発表することが、「やる」と明言することが大事だったと思う。今回の会見では具体的なカードは発表されなかったのだが、まずは「よかった」と言いたいのだ。

     おそらく、10月中に開催発表(だけ)をすること自体、難しかったんじゃないかと思う。以前から「DREAMのスタッフはまだあきらめてないらしい」とは聞いていた。それが「だうやらやるらしい」に変わり、そこでグローリーとの提携も耳にした。
     だが、最近になって違う噂も聞いた。グローリーとの話が「壊れた」というのだDREAMのスタッフが単独で強行開催する、と。でも、そこに発展性はないように感じられた。「どこにそんなお金が?」であり、最悪の場合“やるにはやったが大赤字→未払い→それっきり”ということも考えられる。「やるにはやるけど、会場はさいたまスーパーアリーナではなく、コミュニティアリーナのほうらしいよ」という話もあった。

     僕がその噂を聞いたのは10月に入ってからだ。ということはおそらく、今回の発表は急転直下の大逆転。決まったところで「とにもかくにも正式発表を」ということだったんだろうと思う。
     大晦日、さいたまスーパーアリーナで開催されるイベントのタイトルは『DREAM.18』。大晦日独自のタイトルではなく、あえてナンバーシリーズにしたのは“DREAMは生きている”“これからも続く”とアピールする意図もあってのことだろう。

     とはいえ、これは“新生DREAM”でもある。主催は実行委員会名義で、出資するのはGSI(グローリー・スポーツ・インターナショナル)。会見にはGSIのピエール・アンデュランド会長とスコット・ラッドマン氏、バス・ブーン氏も出席している。思い切り簡単に説明すれば、SGIがかつてのFEGのような立場でお金を出し、笹原圭一氏ら日本スタッフが現場を取り仕切るといった感じだろう。ただ、GSIが“仕切る”分野は、FEG時代よりも多いかもしれない。バス・ブーン氏はとにかくDREAMに対して前向きで、大変な熱の入れようらしい。

     GSIと旧来のスタッフの関係がどうなっていくのか。そもそも、DREAMにどんな魅力を感じて出資することを決めたのか。どんな大会にしていきたいのか。まだまだ見えないことも多い中、会見後、ピエール会長に短い時間ながらインタビューすることができた。その中から、印象に残った部分をいくつか紹介しよう。

     まずは、GSI体制のDREAM、その基本的なスタンスについて。
    「我々は短期的にものごとを考えるタイプの人間ではありません。長期的な視点で、いろいろなニュースをお届けしたい。儲からないからといって、すぐに手を引くようなことにはなりません。一歩一歩、進めていくだけです。ただ、日本の格闘技マーケットが再び盛り上がるまでには、そう時間はかからないのではないかとも思っています。なぜなら、日本では多くのファンが待っているからです。そのファンのみなさんに我々が真剣に取り組んでいることを伝え、大晦日にいいショーをお見せできれば、(人気復活まで)長くはかからないはずです」

     DREAMに出資する魅力とリスクについては、こんなふうに語ってくれた。

    「会見で“ここまでには慎重になった、時間がかかった”と言ったのは、キックボクシングをやってきた我々がMMAも手がけることでファンを混乱させないだろうかという気持ちがあったからです。ですが、DREAMは素晴らしいブランドで、大会制作のレベルも高いということは知っています。我々が関わることで相乗効果が生まれ、魅力的なストーリーが提供できる。日本の格闘技の大会は素晴らしいもの。特に制作に関しては他の国にはないようなものになっています。ただ問題だったのは、この世界に関わるべきではないような人たちがいたこと。我々はそれを一掃して、クリーンなものにしていきたい。そうすれば、放送局の人たちからもいい感触が得られるはずです」

     世界的な組織になったことで、方向性がどうなるのかも聞いてみた。日本のファンに向けた大会を世界に発信するのか、それとも世界中のファンに向けた大会を行なう場所が日本、ということなのか。ピエール氏の答えは明快だった。

    「DREAMは日本のファンにフォーカスした大会です。それをやっていけば、おのずと海外のファンも目を向ける。それだけ、これまでも日本独自のハイレベルな大会作りがなされてきましたからね」

     希望的観測、という感じも確かにする。そう簡単にはいかないんじゃないのかな、と。でも、GSIが日本の市場とファン、日本ならではの大会作りを高く評価していることは間違いないし、ちょっとずつやっていこうという意思も感じられた。ピエール氏はもともと投資家。状況を冷静に分析しているはずだとも思う。そもそも“儲かるだろうと思って手を出したが、思いのほか儲からないのですぐに手を引いた”なんてタイプの人だったら、日本での格闘技ビジネスに関わらないんじゃないか。

     ピエール氏は「まずは大晦日をやってみてから」とも言っている。大会ごとに変化していく面もあるだろう。とはいえ“日本のファンに向けた、日本独自のイベント作りをすることが世界マーケットへのアピールにもなる”という明確なビジョンもある。“とりあえずお金を出してみた”ではないわけだ。世界基準に合わせるのではなく、独自のことをやるからウケる。それはビジネスの世界で生きてきた人らしい発想なのかもしれない。

     もちろん、「これでもう大丈夫だ」などと言うつもりはない。でも「ホントに大丈夫かよ」、「どうせ
    ダメだろ」と悲観的になるようなセンスは僕にはない。ゼロから、もしくはマイナスからの再スタートだったとしても、とにかくDREAMは続く。カード発表、実際の大会、それに来年以降。まだまだいろんなことがあるはずだし、“これ”という形になるまでには時間もかかるだろう。だがとにかく、その“いろいろ”を見ていきたいのだ。(橋本宗洋)


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