ファッションも休暇も楽しむ保育士
子ども達も自由なら、先生もかなり自由! ネイルや、タトゥ、ボディピアスなんて当たり前。移民の国なので、ドイツ語がネイティブではない先生もたくさんいます。休暇も連休でしっかりとり、みなさんバケーションをたのしんでいるもよう。
けれど、そういった先生たちの見た目やライフスタイルにとやかく言う人はいません。先生個人の風貌ではなく、教育者としての「仕事ぶり」をしっかり見ています。そう、仕事さえちゃんとしてくれていれば、あとのことは重要ではないのです。
ちなみに、先生が休暇をとるときは、別の先生やバイトさん、保育士としてジョブトレーニング中の学生さんなどがヘルプでやって来ます。日本の感覚だと、「え? ウチの子どものことよく知らない先生がみるなんてどうなの? 」となるかもしれませんね。
けれど、子どもたちは子どもたちでちゃんと「先生は休暇中」だということをわかっているようで、お迎えに行ったときなど、娘に「今日、先生いなかったの?」と聞くと、「先生は今週休暇なの。だから別の先生なの」と言います。この理解はおそらく、自分のパパママが勤め先でちゃんと休暇を取得しているのをふだんから見ているから。「休暇」という単語そのものと、それが意味するところを体感的に知っていて、慣れ親しんでいるのです。
保護者からすると、もちろん毎日同じ先生が休むことなく子どもをみてくれるほうが安心なのは言うまでもありません。でも、自分だって会社の有給休暇はしっかり消化するのに、幼稚園の先生はダメだとなぜ言えるでしょう? ドイツ人(ドイツ社会)の休暇文化に対する割り切りの良さには、見習うべきところがあるような気がします。
とことん向き合う保護者
さて、やはりドイツでも親が園に関心を持つことは大切。教育熱心で、園の行事や先生とも積極的に関わりを持とうとします。数か月に一度、Elternabend(保護者の集い)というのが催され、園と話し合いの機会が持たれるのですが、夕方18時ぐらいからの開始であっても仕事で来れない、という親はあまりおらず、出席率はかなり高め。
子どもはベビーシッターに預け、両親で参加、というのもめずらしくはありません。もうとにかくみんな熱心で質問、要求、苦情がかなり出て毎回3時間近くかかります。けれど大事な子どもが一日何時間も過ごす場所。それがすこしでも良くあるようにと願い、議論を重ねるのはごく当然。親としての義務でもあるような気がします。
ちなみにこうした話し合いの場では必ずと言っていいほどお茶やお菓子が出るのがドイツ。お互いがリラックスした雰囲気の中で話し合えるこの文化、とてもいいなあと思います。
【第24回】心地よさと個性を尊重するドイツ式ようちえんライフ
image via Shutterstock